ぶらり途中下車の旅

もともとは日本料理屋として200年ほど前に創業したというこちらのお店は、
寿司屋を始めてから100年以上経つ銚子有数の老舗。
銚子の郷土寿司“伊達巻き寿司”は、豊漁の際、重労働に疲れ果てた漁師たちの
「疲れがとれて、目一杯腹がふくれるものが食べたい」というリクエストに応えて、
大久保の板前さんが考案したものです。
伊達巻き寿司が作られ始めた明治の初期は、鶏卵はまだ高価で貴重なものだったので、
豊漁で羽振りの良かった漁師からすれば、贅沢するにはぴったりの食材だったよう。
そもそも豊漁であればあるほど、重労働になり稼ぎも多くなるという事情が、
伊達巻き寿司誕生に一役買っていたようです。
煮溶かした砂糖と卵だけを材料に作られるこの伊達巻き寿司、
カスタードのような甘さといい、きめ細かいつるんとした食感といい、
伊達巻きというよりは現在のプリンの方がずっと近いため、
いつしか“漁師のプリン”と呼ばれるようになったとのこと。
大久保で発祥したこの伊達巻き寿司は、現在では銚子市内の他の寿司屋にも伝播し
それぞれの製法で作られていますが、こちらのお店では、明治初期の頃から
変わらぬ製法で作られる“元祖”伊達巻き寿司が今も頂けます。