第二首
しらつゆに
2025/7/16
梅園高校競技かるた部の幽霊部員・藍沢めぐる(當真あみ)。青春よりも将来への投資にこだわるめぐるは、文化祭でかるたの楽しさに触れたものの、退部の意思は変わらず…。
そんな中、同じクラスの白野風希(齋藤潤)がかるた部への入部を希望し、顧問の大江奏(上白石萌音)と部員の与野草太(山時聡真)は大喜び!素人の風希にさっそくかるたの手ほどきをする奏と草太。風希に試合の雰囲気をつかんでもらおうと、次の土曜日に行われる草太の個人戦をみんなで観に行くことに。しかし、めぐるは誘いを断り、奏に退部届を出してしまう…。
一方、訳あって野球部を退部した村田千江莉(嵐莉菜)もかるたに興味津々。一緒に野球部をやめた奥山春馬(高村佳偉人)と2人、かるた部の練習をコソコソ偵察し始めて…。
その夜、めぐるは塾の帰りに、瑞沢高校かるた部のエース・折江懸心(藤原大祐)と鉢合わせ。3年生の引退試合でめぐると戦った懸心は、あの後、全国大会まで勝ち進み、団体戦と個人戦で優勝、高校生日本一になっていた。その懸心から「やろうよ一緒に」と改めてかるたの世界に誘われ、困ってしまうめぐる。そこにロードワーク中の風希が現れて…。
アマチュアボクサーでもある風希は、ボクシングジムを経営する父・真人(高橋努)の期待を一身に受け、幼い頃からボクシング漬けの毎日。今はケガで練習ができないため、「治るまでの間、反射神経を鍛えたい」と、真人に頼んでかるた部への入部を許してもらったが、実は風希には、真人に言えない秘密があり…。
草太が念願のB級昇格を目指して強敵に挑む中、風希の秘密を知っためぐるの心が揺れ動く…!!
土曜日の草太の試合を楽しみにしている風希に、父・真人が「土曜日、新しい病院予約したから」。一刻も早くケガを治してボクシングに復帰してほしいと願う真人に、その日はかるたを見に行く予定だと言えない風希…。物心ついた頃から父に言われるまま当たり前のようにボクシングをしてきた風希は、「自分の考えが何もないんだよ」と、めぐるに本音を漏らす。「自分で決めてこなかったツケが、今になって回ってきてる気がするもん。要は、空っぽなんだよな」。だから、文化祭でめぐるたちが生き生きとかるたをする姿がまぶしくて…。初めて自分の意志で“やってみたい”と思えたかるたが、今は楽しいと言う風希。その言葉が、めぐるに刺さり――「からっぽ…私もだよ」。
土曜日。めぐるは草太の応援には行かず、ピザの配達のバイト。真人からピザの注文が入って配達に行くと、病院に行くはずの風希がジムで練習をしていた。「あいつね、治ったって言うんですよ」と真人。ケガが治ったからかるたの試合を見に行かせてほしいと頼んできた風希に、真人はボクシングの練習を優先しろと命じたという。リングの上で精彩を欠く風希は、練習相手にめった打ちにされていて…。
練習が終わり、めぐるに本当のことを話す風希。ケガをしたというのは、ボクシングから逃げるためについたウソだった。「前に、すげー強いやつとやったんだ。手も足も出なくて、その辺から、余計なこと考え始めた。俺のやりたいことってこれなのかなって」。黙って耳を傾けるめぐるに、風希が「あとでちょっと練習に付き合ってよ」。
一方その頃、個人戦に出場中の草太は快進撃。現在C級の草太は、このまま決勝まで勝ち上がれば、念願のB級への昇格が決まる。会場で見守る奏、千江莉、春馬の応援にも力が入るが…。
めぐるは風希に頼まれ、かるたの練習に付き合うことに。ジムのリングの上にかるたを広げ、かるたの取り合いをする2人。でも素人同士、全然手が出なかったり、お手付きしたり、しっちゃかめっちゃか。だんだんおかしくなってきて、めぐるは久しぶりにおなかを抱えて笑い転げる。そんなめぐるに、「なんで青春しちゃいけないんだよ」と風希。めぐるは真顔になって、「あの時だと思う。聞いちゃったんだ」。中学生の頃、夜中に父・進(要潤)と母・塔子(内田有紀)がこっそり話しているのを偶然聞いてしまっためぐる。『もしも、めぐるの中学受験にかかったお金をぜんぶ投資に回していたら…』。その時、めぐるの心に湧いたのは悲しみではなく、怒りの感情だった。両親の思いも、お金も、時間も、全部を無駄にした自分に対する怒り。だから、青春なんて、してる場合じゃない――。今まで誰にも言えなかった苦悩を初めて告白するめぐる。…と、風希のスマホに奏から電話がかかってくる。電話の向こうで興奮した様子の奏は「与野さんがすごく頑張ってて、まだ勝ち残っています!次がいよいよ準決勝です!」。草太の準決勝の相手は、めぐるの目標の人、瑞沢高校の月浦凪(原菜乃華)――。奏の話では、草太はめぐると風希が来るのを、時間ギリギリまで駅で待っていたという。たった一度でもかるたに振り向いてくれた2人のことを、諦めたくない…と。草太の思いを知っためぐると風希は、居ても立ってもいられなくなり…。
試合会場では、準決勝直前の草太に奏がアドバイス。奏の予想では、凪の得意札は『つきみれば』と『よをこめて』。凪の苗字が“月浦”であることから『つきみれば』は一目瞭然だが、なぜ『よをこめて』が得意札なのか?実は『よをこめて』を詠んだのは清少納言。一説によれば、その本名はナギコ…。「きっと、彼女の狙い札です」と奏。草太は「分かりました。きっとをとってみせます。先生と藍沢さんの」と力強く宣言。そんな草太の背中を見送る千江莉は「なんかいいな、かるたって。男も女もなくてさ。私にもできるかな」――。
めぐると風希が会場に駆け付けると、草太が凪を相手に大接戦を繰り広げていた。しかし、草太はあと一歩のところで凪に敗北…。奏、千江莉、春馬の前で悔し涙を流す草太。その光景を目に焼き付けた風希は、「悪いけど、俺は先に行かせてもらうよ」と、かるた部の輪の中へ入っていく。めぐるも後に続きたいが、どうしても一歩が踏み出せない…。そんなめぐるに、奏が手を差し伸べる。「何度でも言わせてください。藍沢めぐるさん、私たちと一緒に、かるたをやりませんか?」。めぐるは「できません。ここでぜいたくしたら、また全部水の泡になる。…でも。でももし、先生がエビデンスになってくれるなら、もう一度信じてみたい。かるたで宝物を見つけられた人は、その10年先で絶対に明るい未来が待ってるんだって、私に見せてください」。めぐるの思いに、奮い立つ奏。「分かりました。なってみせますエビデンスに。私の、身を尽くして」。
めぐるは退部を撤回。風希と千江莉と春馬も正式に入部が決まり、かるた部は5人に!草太は「これで団体戦ができる」と大喜び!目指すは、かるたの甲子園、近江神宮!
一方、瑞沢高校では、B級に昇格した凪が「懸心、次はうちとやろ!」と懸心を相手に練習に励む。その部室には、綾瀬千早(広瀬すず)と部員たちの集合写真が飾られていて――。