第五首
おおえやま
2025/8/6
「塾の合宿に行く」と家族にウソをついてかるた部の合宿に参加していた藍沢めぐる(當真あみ)の前に、母・塔子(内田有紀)と父・進(要潤)が現れ、塔子がめぐるを平手打ち…!
最終日を残して合宿所を去ることになっためぐる。複雑な気持ちで見送る奏(上白石萌音)と部員たち…。
かるたを続けることを両親に認めてもらえないめぐるは、次の武蔵野大会を最後に退部することを決断。ショックで肩を落とす梅園メンバーに、めぐるは「だからこそ残りの時間は今まで以上に練習がしたい。1試合でも多く、みんなとかるたをするために」と思いを伝える。
翌朝、村田千江莉(嵐莉菜)は1人で朝練をするつもりで学校に行くと、与野草太(山時聡真)と奥山春馬(高村佳偉人)、さらに白野風希(齋藤潤)とバッタリ。みんな、思いは同じなのだ!そんな中、めぐるは誰よりも早く部室に来て、奏と一緒に練習していて…。2人に駆け寄る千江莉たちは「やるからには北央も瑞沢もぶっ飛ばして優勝する!」と奮起し、みんなで猛特訓を開始!しかし、武蔵野大会1回戦で、予期せぬ難敵と当たってしまい…。
一方、塔子と進は、娘の気持ちをなんとか理解しようとするも、めぐるがかるたにこだわる理由が分からないままで…。
終わりたくない、終わらせたくない…!弱小かるた部、初の公式戦へ!思いよ届け!!
めぐるは小学6年生の時、中学受験の合格発表後に友達と出かけたまま迷子になり、行方が分からなくなる騒ぎを起こした。翌朝になって警察と一緒に帰ってくるまで、塔子は生きた心地がしなかった…。そのことがあったから、今回再び心配をかけためぐるを、塔子はつい感情的に怒ってしまったのだった。振り返れば、めぐるが『効率』や『エビデンス』という言葉を使い始めたのはちょうどその頃。塔子と進は、めぐるが何を考えているのか、なぜ「かるたをやりたい」と素直に言ってくれなかったのか、理由が分からなくて…。
学校で校長と奏から謝罪を受ける塔子と進は、奏に案内され、かるた部の部室をこっそり見学。みんなと一緒に何かのデザインを楽しそうに考えるめぐるの姿を、じっと見つめる塔子と進。奏は「めぐるさんの言葉で、一つ忘れられないものがありまして」。それは、めぐるが言った『青春は、ぜいたく』という言葉。「それを聞いた時、何とかしたいって、つい思ってしまったんです。差し出がましいマネをしてしまいました」と、めぐるを部活に誘ったことを改めて謝罪する奏は「今度の武蔵野大会、ご覧に行かれますか?よろしければご案内いたしますが」。しかし塔子と進は「その日は2人とも仕事で」と言って誘いを断り…。
武蔵野大会に向けて練習に明け暮れる梅園かるた部。めぐるも毎日ヘトヘトになるまで練習し、家に帰っても夜遅くまで自主練を繰り返す。そんなめぐるの頑張りを、塔子は複雑な思いで見守る。
迎えた武蔵野大会当日。新生・梅園かるた部にとって初めての公式戦。風希の父・真人(高橋努)も派手な法被姿で応援に駆け付け、風希は「変な目立ち方すんなよ!」と恥ずかしがる。
強豪校が集う中、瑞沢かるた部が王者の風格を漂わせる。堂々とした月浦凪(原菜乃華)の姿に、めぐるもクギ付けになるが…。梅園も負けていられない!みんなでデザインしたそろいのTシャツを着て、いざ決戦の舞台へ!しかし、あろうことか1回戦の相手は、瑞沢、北央に次ぐ東京御三家、アドレ女学院に決定…。動揺する梅園に、北央の部長・奥山翔(大西利空)が「アドレは“モメ”が多いから気を付けて」とアドバイス。弟の後押しを受けた春馬は、拳を握りしめて奮い立つ…!
一方その頃、塔子と進は、めぐるの弟・駆(榎本司)から思いがけない話を聞かされる。以前、駆がめぐるに「FIRE目指すのはいいけど、その後は何すんの?」と聞いた時、めぐるは「FIREするのは私じゃなくてお父さんとお母さん、私が遅らせた2人の人生計画を、私が取り戻すんだ」と言ったという…。塔子と進は、めぐるが中学受験に失敗した後、『今までかかったお金と時間が水の泡になった』と話したことを思い出し、激しく動揺する…。
アドレ女学院との1回戦、梅園は序盤から練習の成果を発揮!めぐるが、草太が、春馬が、千江莉が、次々と札を取る!さらに、風希が払った『しらつゆに』の札が、他の場所から飛んできた札とぶつかってはじけ飛ぶ!飛ばした相手は、瑞沢の折江懸心(藤原大祐)…!高校生No.1の懸心と同じ速さで札を取った風希の成長に、奏は「白野さん、化けるかも」と驚き…。風希と懸心は、互いに意識し合ってバッチバチ!
そんな中、草太がアドレとモメ始め…。「今のは私の取りだと思います」と抗議された草太は、「でも、僕の手がこう…」と反論。審判がいないかるたでは、試合中の微妙なプレーは選手同士が話し合って解決するのが基本。初めての『モメる』という状況に、動揺を隠せない梅園。すると人の良い草太は「分かりました。じゃあそちらの取りで」と譲ってしまい…。そこから梅園は一気にペースを崩して劣勢に…。
めぐるも札をどんどん取られてしまい、万事休す。ここまでか…と諦めかけたその時、観覧席の方でスマホの着信音が鳴る…。「すみません」と周囲に頭を下げている夫婦を見て、めぐるは目を見張る。その夫婦は、塔子と進だ――。2人に気付いた奏が声をかけると、塔子は「見届けるべき、という気がしまして」――。
諦めない梅園は、風希が1勝を挙げたのを皮切りに反撃開始!めぐるも息を吹き返したように自陣の札を次々と取る!その雄姿を固唾をのんで見守る塔子と進に、奏が「最後まで入部を迷っていた子の姿だとは、とても思えません」。ぜいたくしたら、また全部『水の泡』になる――めぐるがそう言って入部をかたくなに拒否していたことを知った塔子は、あの夜の会話をめぐるに聞かれていたと確信。「めぐるを迷子にしたのは、私なんだ…」と、がくぜんとする…。進も「塔子さんだけじゃない。俺もだよ」と自分を責め…。
めぐるが払った札が観覧席の方まで飛んできて、塔子は思わず駆け出して札を拾い、めぐるに手渡す。その札は、『おおえやま』――。『大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立』。めぐるは黙って札を受け取り、試合に戻っていく。その背中を見つめる塔子と進に、奏が歌の意味を解説。「まだ親離れできていないねとからかわれた少女が、とっさに詠んで返した歌なんです。親の力を借りずとも、私は自分の足で立っていますと」――。途端に、塔子はあふれ出る涙を堪えきれず、「その少女は、自分の誇りを取り戻したくて歌を詠んだのでしょうか…。あの子も…自分を取り戻すために…かるたを…とるのでしょうか…」。声を震わせて泣き崩れる塔子…。その肩を、進がそっと抱き寄せる…。
めぐるは最後の力を振り絞り、懸命に札を追いかける!楽しいな…。終わってほしくないな…。先輩たちも、こんな気持ちだったのかな…。あの日に帰って自分を殴ってやりたいよ…。もっと自分を積み立てとけばよかったな…。もっと早く…巡り合いたかったな…!しかし、力及ばず、試合は4対1でアドレ女学院の勝利に終わった――。
試合後、めぐるは塔子と進に、「ありがとう、来てくれて。わたし…明日から…」。言いかけるめぐるを塔子がギュッと抱き締める。「お帰り、めぐる」。塔子は「大江先生。めぐるをよろしくお願します。この子の気が済むまで、かるたを教えてやってください」。めぐるは驚き、奏も「はい!誠心誠意、お預かりいたします!」。喜びを噛み締めるめぐるに梅園メンバーが笑顔で飛びついて――!
決勝戦は、瑞沢が北央に格の違いを見せつけて圧勝。大会終了後、めぐるは会場で凪とばったり鉢合わせる。緊張で固まってしまうめぐるに、凪は「やってるんだね、かるた。いつか、うちとやろうね」――。そう告げて去って行く凪の後ろ姿を、めぐるはじっと見つめて――。
翌日、奏は、めぐるのかるた部残留を校長に報告。「今まで以上に気を引き締めて、顧問を務めてまいります」と誓うが…。「大江先生の契約は今年度一杯とさせてください」――奏がクビに!?