STORY

第七首
せをはやみ
2025/8/20

競技かるた高校選手権東京都予選まで、あとわずか。近江神宮を目指す藍沢めぐる(當真あみ)たち梅園かるた部の練習もいよいよラストスパート。

そんな中、優勝候補の筆頭・瑞沢高校かるた部に、テレビの取材がやってくる。カメラを気にしてせっせとメイクを直すのは、顧問の綾瀬千早(広瀬すず)に代わってかるた部の面倒を任されたOG・花野菫(優希美青)。しかし、カメラを向けられるのは部員たちだけで、菫の出番はなく…。インタビューで入部の動機を聞かれた新入部員たちは、皆一様に、月浦凪(原菜乃華)に憧れたり、凪の押しに負けて入部したと答える。菫はかつて自分も千早から熱心に誘われたことを思い出し、「まるで綾瀬先輩だ」と、凪の姿に千早を重ねて頬を緩ませる。……と、新入部員の中に1人、見覚えのない顔を発見。それは、瑞沢の制服を着た八雲力(坂元愛登)で…。

一方、梅園は、与野草太(山時聡真)の提案で、都予選に向けて他校の偵察を始めていた。実力で劣る梅園が予選を勝ち抜くには、真正面からぶつかるのではなく、他校のデータをなるべく多く集めて作戦を立てるしかない。大江奏(上白石萌音)が京都へ行ってしまった今、それができるのは自分だけだと言う草太は、自らプレーヤーを退き、マネジメント役を買って出る。「梅園を勝たせるためだったら何だってしたい」。高校最後の大会だというのに、チームのために裏方に徹する草太。その思いに応えたいめぐるたちは、みんなで手分けして他校へ出稽古に行き、せっせと情報集めを開始。

そんな中、凪がテレビのインタビュー取材を受け、かるたを始めたきっかけを語る。それは、千早との出会い、そして幼馴染だっためぐるとの苦い思い出でもあり…。

それぞれの思いを胸に、ついに東京都予選が開幕!開会式に登場したのは名人の綿谷新(新田真剣佑)!名人が語る言葉とは…。

梅園、1回戦突破なるか!?運命の相手は…!

以下、ネタバレを含みます。

瑞沢に捕らわれた八雲を、手の空いていた風希(齋藤潤)が1人で迎えに行く。瑞沢のエース・懸心(藤原大祐)に誘われて一戦交えることになった風希は、いきなり懸心から札を取り、瑞沢メンバーを驚かせる。懸心は「やっぱり思った通り」と風希の実力を見抜いていた様子。しかし、健闘はするものの、懸心との力の差はまだまだあり…。途中で吹奏楽部の練習時間となり、勝負はお預けに。
懸心との一戦を終えた風希に、凪が「今日は、めぐるちゃんは?」。めぐると凪が知り合いだったことを初めて知る風希。凪が言うには、めぐるとは生まれた時から家が隣同士で、幼稚園も小学校も習い事も全部一緒。服もおそろいで、姉妹のように育ったらしい。でも、途中で凪が引っ越したことで、疎遠になってしまったという。風希は「それで、高校になってかるたで再会したんだから運命じゃん」。それはまるで、『せをはやみ』の歌のよう…。『せをはやみ 岩にせかるる 滝川の 割れても末に あわんとぞ思う』――川の流れは岩で2つに裂かれても、やがて1つに戻る運命――。凪は「そうだね。運命かもね」と言いつつ、表情を曇らせ…。

都予選が3日後に迫り、他校のデータ収集を終えた梅園は、駒野(森永悠希)と一緒に作戦会議を開く。梅園勝利の鍵は『オーダー読み』。団体戦はオーダーの組み方で勝率が劇的に変わる。例えば瑞沢と対戦する場合、相手のエース・懸心と梅園のエース・八雲が対戦しても負ける確率が高い。しかし、八雲の相手が瑞沢のC級選手だったら確実に1勝できる…。つまり、相手のオーダーを読んで有利なカードを組むことができれば、強豪校と互角に渡り合うことも可能。勝利への活路を見いだした梅園は「なんか希望が見えてきた!」と、ますます勢いづく。

テレビで瑞沢かるた部の密着映像が放送され、めぐるたち梅園は画面にかじりつく。インタビューに答える凪は、かるたを始めたきっかけを聞かれ、「かるたとの出合いは、小学生の時です。地元の公民館で、かるた教室を開いていたので、仲の良かった幼馴染と一緒に行きました」。その“幼馴染”とは、めぐるのことだ。小学生の時、めぐると凪は、偶然出会った千早に誘われ、千早が教える『競技かるた教室』に一緒に行く約束をしていた。しかし、実際には、めぐるは行かなかった…。受験に失敗し、両親を失望させてしまっためぐるは、家に迎えに来た凪にそっけない態度をとり、「受験合格おめでとう凪ちゃん。引っ越すんでしょ。私たちここで別れる運命だったんだよ。さよなら」。めぐるはそう言うと、公民館とは別の道へ駆け出したのだった…。
高校生になった今も、めぐるは凪を目の前にすると自分が惨めに思えて仕方がない。凪は何も悪くないのに…。この気持ちはどうすれば決着がつくのか、今はまだ、自分でも分からなくて…。

そしてついに、東京都予選当日!風希の父・真人(高橋努)が相変わらず派手な格好で応援に駆け付け、風希は苦笑い。千江莉(嵐莉菜)のもとには野球部の優樹(山崎雄大)が差し入れを持って現れる。照れ臭そうにそのまま野球部の練習に戻っていく優樹を見て、ほほ笑む千江莉。そんな中、めぐるは感慨深く会場を眺め、「まさか自分がここに立つなんて、想像もしてなかったよ」。1年前の先輩たちの涙を思い出すめぐるに、草太が「ありがとう、藍沢さん」と握手を求めるが、めぐるは「まだ早いよ、こっからでしょ」と、草太とグータッチ。

東京から全国に行けるのはたくさんいるこの高校の中から2校だけ。いやが上にも緊張してしまうめぐるたちに、八雲が「みんなでコレつけましょー」と、自作の鉢巻きを1人1人に配る。しかし、ダサすぎて誰も着けようとせず…。そんな梅園メンバーに、奏からメッセージが届く。『行けなくてごめんなさい』。実はこの日、奏もA級公認読手選考会に挑んでいて――。

開会式。審判長として開会宣言をするのは、名人・綿谷新(新田真剣佑)。自身も高校最後の年にこの大会に挑戦し、派手に負けてしまった。もっと早くから団体戦に向き合うべきだったと後悔した新は「だからみんなに伝えたいです。過去の選択はやり直せないけど、それを正解にしていくことなら今からでもできます。今日は存分に力を発揮して、正解にしていってください」。新の言葉を受け止める瑞沢、北央、そして梅園――。

抽選の結果、梅園の初戦の相手は、あろうことか瑞沢に決定…!その瞬間、めぐると凪の目が合い…。風希と懸心もお互いを意識。懸心は風希に向かって指で『1』を示す。明らかに、風希を誘っている…。それを察した風希は、オーダーを考える草太に、「俺、見つけたかもしれない、糸口」――。

運命のオーダー発表。梅園の1番は、風希……ではなく、めぐる!対して瑞沢の1番は予告通り懸心。梅園は、風希で確実に1勝を取るために、懸心にぶつけるのを避けたのだ。2番は春馬(高村佳偉人)と篠原(石川雷蔵)のB級対決、3番は千江莉が捨て駒となって吉野(瀬戸琴楓)と対戦、4番は風希と庭野(髙橋佑大朗)のB級対決、そして5番は八雲と凪のA級対決…。春馬と風希と八雲が踏ん張れば、梅園にも勝機がある!草太のオーダー読みが見事にハマり、追い風しかない梅園!いざ、めぐるの声が響き渡る「梅園ファイトー!」――。