STORY

第九首
このたびは
2025/9/3

東京都予選1回戦で宿敵・瑞沢に敗れた藍沢めぐる(當真あみ)たち梅園かるた部は、敗者復活トーナメントを勝ち上がり。第2代表を決める最終予選に進出。一方、まさかの優勝を逃した王者・瑞沢も、敗者復活戦を勝って最終予選へ。全国大会への最後の切符は、梅園、瑞沢、北央、アドレの4校で争うことに…。

3週間後の大一番に向け、最後の追い込みをかける梅園。予選で右手の古傷が再発してしまった白野風希(齋藤潤)は、左手一本でかるたをとるべく、瑞沢OB・真島太一(野村周平)のもとで猛特訓を開始。風希の練習につきっきりで付き合うめぐるは、塔子(内田有紀)と進(要潤)に「お願い、今だけ塾を休ませて」。残り3週間、かるたに全集中したいめぐるを、進と塔子も「やってやれ、めぐる!」と全力でサポート。

一方、背水の陣で最終予選に臨む瑞沢のエース・折江懸心(藤原大祐)は、名人・綿谷新(新田真剣佑)に指導を仰ぐ。「懸心は強いけど、団体戦で怖い相手ではない」と言う新。「団体戦で本当に怖い相手は、かるたが強いだけじゃない。仲間ごと強くしていくんや」。その言葉を聞いた懸心は、めぐるの顔を思い浮かべ…。

もっと強くなるために、新と練習を重ねる懸心!太一と猛特訓する風希!風希VS懸心の戦いは、まるで太一VS新の代理戦争…!

そんな中、めぐるのかるたを見ていた太一が「藍沢さんのかるた、独特で面白いね」。読まれた札と残った札から、次に読まれる可能性の高い方を見極めて手を出すめぐる。そんなめぐるの性格を見抜いた太一は「藍沢さん、かるたの考え方、ちょっと変えてみない?」と秘策をアドバイス。そして運命の最終予選前日、梅園メンバーの前に、思いがけない人物が現れて――。

全国への切符はラスト1枚…!後がない梅園、御三家相手に大番狂わせを起こせるか!?

以下、ネタバレを含みます。

最終予選前日、梅園かるた部のもとに、奏(上白石萌音)が大きな荷物を抱えて帰って来た。「袴、お届けに来ました」。最終予選の前にみんなにひと目でも会いたくて、約束の袴を持って駆け付けたのだ。まさか会えると思っていなかった梅園メンバーは大喜び。めぐるも「お帰りなさい!」と笑顔がはじける。

めぐるは奏に誘われ、神社へ願掛けに行く。境内に落ちている紅葉を拾い集め、お参りする2人。『このたびは 幣もとりあへず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに』――お供え物の代わりに、この紅葉を手向けます。あとは神の御心のままに、お任せいたします――。手を合わせて一生懸命お祈りするめぐるに、奏が「ずいぶんと念入りでしたね」。めぐるは「私は、徳の積み立てがマイナスからのスタートだから」。あの日、もしも凪(原菜乃華)と同じ道に進んでいたら、もっと違う自分になれたんだろうか…。「怖いんです、すごく。もし明日、凪ちゃんにコテンパンに負けたら、先生と出会う前の自分に戻っちゃいそうで」。そんなめぐるに、奏は「もしもタイムマシンがあったなら、私は小学生のめぐるちゃんに会いに行く。…伝えるんです。道を間違えてくれてありがとうって」。こっちの道を選んでくれたから、めぐるは奏と出会い、かるたと出会い、梅園のみんなにも巡り会えたのだ。奏はめぐるに優しくほほ笑んで、「忘れないでください。いつまでも、どこにいても、私は応援しています」――。

最終予選当日。観覧席には、横断幕を掲げる真人(高橋努)、進、塔子、駆(榎本司)、の姿もある。みんなが見守る中、袴姿の梅園メンバーが凛とした姿で登場!梅園観覧席は「わぁ!」と沸き上がる。最終予選は、梅園、北央、瑞沢、アドレの4校による総当たり戦。全国に行けるのは、4校のうち1校のみ…。めぐると凪の視線が合う。今日のめぐるは、凪から目をそらさない――。

その頃、会場ロビーでは、菫(優希美青)と駒野(森永悠希)が鉢合わせ。梅園に肩入れする駒野に、菫は「そんな不義理なことあります!?」と文句タラタラ。そこにスーツ姿の筑波(佐野勇斗)が合流。てっきり瑞沢の応援に来たかと思いきや、筑波は運営側で「どっかに肩入れするわけにいかないのよ」と言い残して行ってしまう。しばらくして太一も会場に駆け付け…。

第1試合、梅園はアドレに敗れ、いきなり崖っぷちに立たされてしまう。続く第2試合で北央に負ければ、梅園の全国大会出場はなくなる…。勝つしかない梅園は、北央戦では風希に代わって草太(山時聡真)を起用。即席の左手で勝てるほど甘くないと分かった風希が、自ら草太に交代を申し出たのだ。「風希の代わりなんて…」と尻込みする草太に、風希は「俺知ってんだ。草太がどれだけ練習してきたか。草太ほどかるたが好きなやつ、俺は他に知らねーよ」。その言葉に、草太が奮起!「弱くたって、流れを作ることなら、僕にもできる!」。風希の期待に応えるように、草太が北央から1枚抜いた!「ナイスーっ!」。勢いに乗る梅園は、幸先よく八雲(坂元愛登)が1勝!しかし、前の試合で瑞沢に敗れている北央も意地の反撃。千江莉(嵐莉菜)と草太が立て続けに敗れ、北央が逆転…。崩れ落ちる草太の背中を、めぐるがポンとたたき、「あとは任せて」。まだ諦めていないめぐるは、太一がくれたアドバイスを頭の中で徹底的に反すうする。――かるたで勝つのに大差は必要ない。相手よりもたった1枚、多く取ればいい。場にある札を全部狙いにいくよりも、狙う札に優先順位をつける。敵陣の1字、2字決まりは相手に取らせ、その代わり3字決まり以上は全部取りにいく。狙った札は、札の角一点を目掛けて最短距離で手を伸ばす。指先数ミリを惜しめ――!太一のアドバイスを胸に、北央の副将・黒田(橘優輝)に立ち向かうめぐる!「こんな私でも、きっと強くなれる。私が、私を諦めなければ!」。めぐるの手が、狙い定めた札に向かって最短距離で伸び、札の角数ミリをはじいた!「梅園、2勝!!」――めぐるが、黒田に勝利!これで2勝2敗!残る春馬(高村佳偉人)も、双子の弟・翔(大西利空)と互角の戦い!「今日は負けらんないよ、翔」。強い気持ちで向かっていく春馬に、翔は「遅ぇよ。やっと兄貴らしさが戻ってきたかよ」。ふっと笑い合う2人。どっちも一歩も譲らず、息が上がるほどの大接戦!最後は春馬が体全体で札を払い――「梅園、3勝です!」。北央を破る大番狂わせを起こした梅園は、勢いそのままに、瑞沢との最終試合へ!…ところが、北央戦で全力を出し切った春馬がダウン。10分後の試合までに回復できそうにない…。すると風希が「もう一度、俺にチャンスくれねーか?」と覚悟を決め、再び畳の上に!

そんな中、空港で足止めを食っていた千早(広瀬すず)が西田(矢本悠馬)と一緒に会場に駆け込んで来る。相変わらずドタバタの千早にあきれる太一、駒野、筑波、菫。その姿を見つけた凪が「あや先生!」と千早に抱き着き、瑞沢メンバーが千早の前に勢ぞろい。千早は「待たせちゃって本当にごめんなさい。みんなここまでよく頑張ってくれたね」。そう言って、選手たちの緩んだタスキを結び直す千早。それを手伝う太一たち瑞沢OB。1人1人、つないできたものを託すように…。その思いを受け止める凪や懸心を、千早が力強く送り出す。「みんな、自分を信じて、仲間を信じて、今までで一番楽しいかるたにしておいで」――。

最終試合直前、風希は右手のサポーターを外し、テーピングを巻き始める。「この試合は、右手じゃないと勝てない。この試合に勝てんなら、どうなってもいい」と言う風希に、めぐるは「『どうなってもいい』なんて、一生言わないで。私たち6人はこれから先も、ずっとかるたを続けるんだから」。うなずく風希。めぐるがみんなを促して円陣を組む。「私、今まで、道を間違えたって思いながら生きてきたの。でもそこで先生と出会って、かるたと出会って、みんなとも巡り会えた。この道で良かったんだって、今日こそ証明してみせる。勝とうよ。勝って全国行こう。私たちの中に積もったもの、全部瑞沢にぶつけよう。いくよぉ梅園!」――。

梅園対瑞沢、最後の戦い。運命のオーダーは、千江莉VS篠原(石川雷蔵)、草太VS庭野(髙橋佑大朗)、めぐるVS凪、風希VS懸心、八雲VS音(瀬戸琴楓)。そして、審判が読手の名を告げる――「読手は、大江奏A級公認読手です」。びっくりする梅園メンバー!観覧席の千早や駒野ら瑞沢OBも驚いて目を見張る!読手席に現れたのは、凛とした袴姿の奏で――。