渚の記録

新たな生物の発見と春の大潮の影響

コドラート法による生態調査

コドラート法と呼ばれる生物調査を行なった。コドラート法とは一定の範囲の生物の数を調べる方法で、これを行なうことで全体の生物個体数を推測できる仕組み。まずコドラートを置き、体重をかけて砂の中に沈めたコドラート内の砂を採取し、ふるいにかけて中の生物を調べた。

アラムシロの生態実験

砂の中で見つかったのはアラムシロと呼ばれる貝の一種。この貝は肉食性で死んだ生物などを食べる。
そこで、その生態を観察するために鮭の切り身を使った実験を行なった。アラムシロと切り身を観察トレイに入れると、アラムシロは切り身に群がり、その生態を観察することができた。

春の大潮の影響

春の大潮の影響で水が引き、普段、水没していた西側の水底が姿を現した。春の大潮とは彼岸の頃に起きる大潮のことで、1年の中で干満の差が最も大きくなる。
そこで早速、何か生物がいないか調べることにした。すると、紅藻類という赤い海藻やケフサイソガ二、アカニシ、さらに動きが面白いタテジマイソギンチャクを発見することができた。
しかし、見つかったのは水が汚い場所でも棲める生物ばかりだった。

野島干潟の観察

木村さんいわく、春の大潮で現れた干潟では多くの生物が確認できるとのこと。そこで、横浜市に唯一残る自然干潟である『野島干潟』に生物観察に訪れた。
500mに渡って広がる砂浜でまず見つけたのは、お馴染みのゴカイの一種であるタマシキゴカイ。さらに片方のハサミだけ大きい特徴を持つニホンスナモグリの姿も確認できた。

アマモ場の観察

アマモとは海草の一種。アマモが生える場所は、「海のゆりかご」とも呼ばれるほど穏やかで、魚介類の産卵や幼稚魚の保育・成育の場所としての大きな役割を担っている。
水産研究センターの工藤さんとともにアマモ場の生物を調べていくと、ワレカラやメバル、そして、アマモの葉の上にしか棲まないウミナメクジなどの様々な生物を確認することができた。

魚を確認

再びDASH海岸に戻ってみると、増えたプランクトンの影響で海岸の海水は以前より濁っていた。木村さんいわく、このプランクトンを求め、ボラ等の魚が来ている可能性があるとのこと。ボラは驚いた時などに水面を飛び跳ねる性質があるため、その性質を利用し、海面を棒で強く叩いて観察することに。
バンッ!という海面を叩く音に驚いたボラは水面を跳ね、その姿を見せた。
さらに干潟のフェンスの周りにボラの稚魚とハゼ科のチチブの姿も確認できた。

曝気作業

最後は備中ぐわを使って海底を掘り起こす。この曝気(ばっき)と言われる作業は水中に酸素を供給し、微生物による有機物の分解を促進させることができる。こうすることで、ヘドロになっていた有機物が分解され、ヘドロの量を減らす効果がある。

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