水難救助犬と島へ渡れるか!?
 
 

 夏に入り、海水浴のシーズンを本格的に迎え、海や川など水辺で楽しむ人が増える季節となった。
 しかし、その一方で、去年一年間だけでも、水難事故は約1,000件も発生し、約500人もの溺死、行方不明者が出ているのである。

 このような状況に対して、日本でもあるものが、水難救助において注目されてきた。

 それは、水難救助犬。

 この水難救助犬は、溺れている人にロープや救命胴衣を渡したり、服などに噛みつき安全な場所まで連れてきたり、意識を失って沈んでしまった人を探し出したりして、突然の水難事故に対応する。
 海外ではすでに実際に導入されている所もあり、ビーチでは緊急事態に備える彼らの凛々しき姿を見かけることもある。
 日本ではその育成は遅れていたが、最近になって急ピッチで育成が行われているところがあり、今年の夏の海水浴シーズンに間に合わせるために、厳しい訓練が行われている。

 今回登場するのは、2匹のラブラドル・レトリバー。現在日本で最も訓練が進んでいるこの2匹は、すでに波のない場所で短い距離を泳ぐという基本的な訓練項目はクリアしている。
 しかし、実際の水難救助活動においては、長距離を泳ぐことや海のような流れが速かったり、波がある場所での活動も当然ありうる。
 その試練を乗り越え、困難を克服することができて、水難救助犬としての訓練も事実上の卒業を迎える。

そこで、この挑戦。
水難救助犬は島へ渡れるか!?

 この卒業課題ともいえる挑戦が行われるのは、沖縄本島の北に位置するエメラルドグリーンに澄んだ海に囲まれた沖縄県の伊是名(いぜな)島。ここからさらに3キロ離れた無人島、屋那覇(やなは)島まで泳いで渡ることを目指す。

 挑戦をサポートするのは太一と松岡。2匹の犬と一緒に泳ぎ、共に屋那覇島へ渡ろうとする。また、空からは城島が、海の状況を泳いでいる二人に伝え、挑戦を安全に行うための羅針盤役をつとめる。

 犬たちが初めて挑むことになる海には、潮の流れや波など、今までに出会ったことのない難関が待ち受けている。そんな困難に立ち向かいながら、果たして2匹の犬は、見事、島へ渡ることはできるのだろうか!?

 灼熱の太陽が照りつけて、美しく輝いている青いエメラルドグリーンの海の前に、太一と松岡が立っている。すると…美しい海の中から、麦わら帽子をかぶった男の「助けて〜」と、救いを求める声が。でも、この声、どこかで聞いたことがあるような…。
 そう、実は、助けを求めているのは城島だった。

 城島だと気づいた松岡は、「お約束ですから。」と、この溺れるフリをしている城島を放っておいた。

 すると…勢い良く2匹の犬が、青い海に飛び込んだ !!

 海に飛び込んだ犬は、つり革式の救助用ロープ(片方を犬がくわえ、もう片方を人がつかめるようになっており、それを犬が引っ張ることによって救助することができるもの)を口でしっかりくわえながら、犬かきで、一直線に少し沖合いで溺れている城島のもとへ。
 そして、城島のもとについたその犬は、口にくわえた救助用のロープをタイミング良く口から離した。
 さらに、城島がしっかりと救助用のロープに捕まったのを確認してから、一気に、城島を引っ張りながら砂浜まで犬かき。
 そして、砂浜に到着し、見事、城島の救助成功 !!

 この「ただ者」ならぬ、「ただ犬」ではない2頭の犬、「RJ」と「トミー」。一体、この犬たちの正体は?

 この2頭の正体は、「水難救助犬」。

 水難救助犬とは…「海や川などの水辺で溺れるなどをした人を助けるために訓練された犬」。

 海外では、この水難救助犬の育成は、訓練種目が競技になるほど盛んであるが、日本では現在、日本レスキュー協会にいる12頭が水難救助犬としての訓練を積んでいるのが現状。

 そして今回のチャレンジの数日前、太一は、日本で訓練されている水難救助犬の実力を確かめるために、訓練施設がある滋賀県大津市の「メイテツマリーナ」を訪れていた。

 太一がやってくると、日本レスキュー協会の松崎直人ヘッドチーフと松崎正人チーフトレーナーの指導のもと、水難救助犬はボールキャッチ訓練の真っ最中。
 水に投げ込まれたボールを、追いかける水難救助犬の泳ぎの速さに、太一は、驚き、さらに「水の生き物みたいになっているよね。」との感想。

 続いて、水難救助犬は、ボートを使っての訓練を開始。すると、太一が、何かを思い出した。

 それは、あの日…。そう、千葉県木更津に流れる小櫃川(おびつがわ)で、木更津ケーブルテレビにて放送されている「鉄骨!DASH !!」のTOKIQに、初めて遭遇した日のこと(平成11年4月11日放送)。

 対岸に、ついにTOKIQを発見した太一は、近くにあった手こぎボートを使って、向こう岸に渡ろうとした。
 しかし、この日は、一日中、海からの強い風が吹いており、川でさえ海のような水のうねりが、太一の乗る手こぎボートを襲った。そして…、
 太一は、なんとボートを操作する時に、最も重要なパーツである「オール」を流してしまい、身動きがとれなくなってしまったのである。

 そして、これから水難救助犬が行おうとしているのが、この太一のようなケース「自力でボートが進めなくなった場合」を想定した、救出訓練。

 約30m位先の水面に浮かぶ1隻のボート。このボートには、オールを持たずに、ただ流れに身をまかせている人が乗り込んでいる。

 すると、桟橋にいた松崎ヘッドコーチの掛け声と共に、水難救助犬のRJは、勢い良く、水面に飛び込み、松崎ヘッドコーチから渡された救助用のロープをしっかりとくわえた。
 そして、RJは、数十メートル先に浮かんでいるボートの元へ、せきをきったように泳ぎ出した。

 この訓練の日は、太一がオールを流されたあの時のように、風が強く、さらに、水のうねりも激しかったが、水難救助犬のRJは、この「風」、そして「うねり」に、負けることなく、力強く泳いでいく。
 そして、RJはボートに到着し、口にくわえていた救助用のロープを、ボート上にいる人に上手に渡す。

 しかし、水難救助活動は、これだけで、終わりではない。というのも、水難救助活動とは、危険に直面している人を、安全な場所まで避難させて、はじめて任務終了になるからである。
 RJは、これからこの手こぎボートを、松崎チーフトレーナーに渡した、救助用のロープを手綱にして、桟橋まで引っ張っていかなければならないのである。
 一かき、一かき、しっかりと水をとらえ、ゆっくりとだが確実に、桟橋へ近づくRJ。

 懸命な水難救助犬の姿に、太一は、「すごい !!」と驚く。

 口を大きく開け、思いっきり酸素補給をしたいはずにも関わらず、RJは、ボートとの、唯一のライフラインである救助用のロープをしっかり噛みしめたまま、離さない。

 そして…RJは、見事、桟橋に到着。
 このRJの姿に、太一は、ただただ感心。

 このように、水難救助犬の訓練は、「自力で動くことの出来なくなったボートを引っ張ること」や、「溺れている人を助ける」などの、常に実際の水難事故を想定したもとで行われている。

 こうした日々の努力を重ね、水難救助犬は、いつ起こるかわからない水難事故に対応できる様になっていくのだが、真の水難救助犬になる為には、避けて通ることの出来ない、ある大きな壁があるという。

それが今回のチャレンジ !!「海で長距離を泳ぐこと。」

 松坂ヘッドチーフは、2頭の犬が初めて挑戦するこの「海で長距離を泳ぐ」という最終訓練を前に、いくつかの問題点をあげた。それは…

(1)「最終訓練にチャレンジする2頭の犬とも、まだ1度も海で泳いだ経験がない。」

(2)「海独特の潮の流れや、波があるために長距離を泳ぎきるだけの十分なスタミナがあるかどうか?」

(3)「真水ではなく、塩分を多く含んだ海水が目や水に入るため、泳ぎづらいのではないか?」

とのことであった。

 しかし、この困難を克服し、「海で長距離を泳ぐ」という最終訓練を成功させることができたならば、晴れて一人前の水難救助犬になることができるという。

そして、この最終訓練の舞台となるのは、沖縄県にある伊是名(いぜな)島。

 この伊是名島は、「琉球王統 第二尚氏始祖(だいにしょうししそ) 尚円王金丸(しょうえんおうかなまる)誕生の地」。そのため、島の各所に琉球王朝時代の風情が、数多く残っている島である。

 そして、この伊是名島の南端に位置する伊是名漁港から、水難救助犬達は、サンゴ礁が水面下に望める海を渡って、「屋那覇(やなは)島」の北側に位置する砂浜を目指す !!

 距離にして、全長約2,000m。 

 そして、この「海を泳ぐ」という最終訓練に望むのは、訓練を受けている日本レスキュー協会の12頭の中でも、最も優秀なこの2頭。
RJ(アール・ジェイ・4歳・オス・水難訓練歴1年・ラブラドールレトリーバー・金毛)、通称アール。
 このRJは、今年起きた広島土石流災害でも活動した経験を持つ。そして、現在は、陸だけでく、水難事故にも対処できるように、訓練中。

トミー(5歳・オス・水難訓練歴1年・ラブラドールレトリーバー・黒毛)。
 災害救助犬としても活躍するトミーは、ペルー・ナスカ地震で、実際に救助に参加するなど、海外でも活躍している。

 そして、太一がRJと、松岡がトミーと共に泳ぎ、2キロ離れたゴールを目指す !!

 果たして、RJとトミーは、見事、海を渡りきり、一人前の水難救助犬になることはできるのだろうか!?

午後0:00 雲ひとつない晴天のもと、ハンドマイクを持った城島の掛け声と共に、伊是名漁港から、いざ最終訓練がスタート !!

初めて一緒に水難救助犬と並んで泳ぐ太一は、予想以上のRJの泳ぐスピードに思わず、
「(アールが)速い !!追いつけない !!」

 スタート地点付近は、区切られた入り江のため、RJもトミーも、それほど恐怖心はないのか、順調で速い泳ぎをみせる。
 順調に先頭を泳ぐRJ。最後尾となってしまったパートナーの太一と、かなりの差がでてきてしまう。

 その頃城島は、この最終訓練の様子を上空からレポートするために、ヘリコプターに乗り込む。

 入り江を抜け、RJ・トミー、そして太一・松岡は、ついに波や潮の流れがある海へと進むことに。

 ぐいぐいと海の水を掻き分けるように、力強く前へ前へ進む先頭のRJ。

 依然、太一はなかなか泳ぐスピードは上がらない。さらに、RJだけでなくトミーと松岡にも遅れだし、かなり後方で泳いでいる。

 一方、トミーと同じペースで泳いでいた水泳得意の松岡さえも、徐々に泳ぐペースが落ち、遅れだした。

 今の状態は、RJとトミーがかなり先を泳ぎ、その後を松岡、そしてさらに遅れて太一という順番で、いわば犬達に先導され、人間がついていくような感じ。

 かなりRJに離されてしまった太一。その差は、70m近くありそう。表情は、まさにSOS状態。
 そこで、やむなくスタッフの判断により、太一は一度船に乗り込むことに。太一は、激しく体力を奪う海の怖さを痛感。

 そして松岡にも、疲れがみえはじめ、徐々にトミーとの差も大きくなっていってしまった。

 だが、RJとトミーのペースも、海に出て、徐々に落ち始めていた…。

 上空からヘリコプターで、今回のチャレンジを見守る城島。双眼鏡をつかって眼下に広がる大きな海とは対照的に、小さく点在する挑戦者達の姿を探す。
 すると、城島の目に、ちょっと気になる光景が飛び込んできた。

 それは、太一・松岡・RJ・トミーが皆、船に乗りこんでいるのである。

 これに城島、「何か(トラブルでも)あったのか?」

 実は、この時、海上では、太一・松岡・RJ・トミーの一同が、一旦、船に乗
り込み、緊急ミーティングを開いていたのだった。

 というのも、ここまで、かなりのハイペースで泳いできた、RJとトミー。しかし、このままのペースで泳ぎ続けた場合、後半のスタミナにかなり影響が出てきてしまう可能性があるという。
 また、太一のスタミナは、すでに限界にきてしまっており、一時の休憩ではゴールまで泳ぐのに必要な体力を回復するのは不可能。また、松岡の体力も予想以上に消費されていた。

 しかし、このチャレンジは始まったばかり。まだ、ゴールまでは1,812mもある。

 この緊急ミーティングの結果、もし太一が再び泳ぎだし、これ以上遅れを出した場合、かえってパートナーであるRJのペースを乱してしまう可能性があるということで、これ以上、太一が泳ぐのは難しいのではないかとスタッフは判断した。

 だが、太一は、「せめて海の中からでも応援したい」と希望。
 そこで、太一は、浮き輪に捕まりながらRJと共にこのチャレンジに参加することに。

 また、まだ泳げる松岡、そして、RJとトミーは、泳ぐペースを少し落すことに。

 さらに、この先には、大きな「潮の流れ」が存在する。そこで、RJと太一は、この潮の流れに上手く乗りながら、ゴールの砂浜を目指す。

 一方のトミーと松岡は、この潮の流れを横断し、最も直線的なルートで、ゴールへと向かう作戦をとることに。

 この決定に、松岡は「一緒に泳ごうな!」と優しく、そしてしっかりと2頭の犬に声をかけた。

 そして、最終訓練再開 !!

 トミーと松岡が進むルートは、潮の流れに逆らいながらも、ゴールまで直線的に泳ぐことができるかがポイント。
 ミーティングを含めた休憩後、体力を回復したのか、順調に前へ泳ぎ出した松岡。

 しかし、松岡と同じルートでゴールを目指すトミーは、徐々に潮の流れに乗って進むRJの方へ、流されてしまっていた。

 これを見た、松岡は、泳ぎながらも必死にトミーの名を呼んだ。

 すると、トミーは、この松岡の呼び声に気がついたのか、力を絞り、徐々に方向を変え、松岡のもとへ。
 そして、トミーと松岡、合流成功 !!

 その頃、太一とRJは、潮の流れを上手く利用して、ゴールを目指していた。
 ミーティング後、順調に泳ぐ太一とRJ。しかし、徐々に波が高くなってきた。

 クロールで泳ぎ続ける松岡。しかし、クロールは、息継ぎや腕のフリなど運動量が多い泳ぎである。この泳法でスタミナは、大丈夫なのか!?

 その頃、ヘリの中から挑戦を見守る城島は、松岡のクロールに、やはり不安を感じていた。

 スタートから30分が経過。すると松岡も、クロールの息継ぎで顔を上げる際の体力消費を恐れたのか、シュノーケルを使いはじめた。これで、ある程度は体力消費を防ぐ事ができそう。

 その頃、太一とRJは、約500mを泳ぎ、残り1,551m付近。しかし、先程から高くなった波は、依然、おさまる様子がない。風も、強くなってきた。このままでは、まだまだ波は高くなりそうな気配。しかし、この波に負けじと、前を見つめ、一生懸命に泳ぐRJ。
 太一は、すぐ横から「頑張れ!」「アール !!」「頑張れ !!」と、声援を送る。

 一方、城島は、屋那覇島の砂浜にあるゴール地点を確認するために移動してみると、なんとゴール地点の犬小屋は、強風のために、屋根が飛ばされてしまっていた。
 この屋根を吹き飛ばしてしまうほどの「風」、そして徐々に高くなってくる「波」。
 もしや…。
 そう、この日のロケが行われた7月31日放送のニュースの天気図には、日本の南の海上に位置する「台風7号」の大きな渦巻き雲が、しっかりと映し出されていた。
 さらに、ニュースによると、このまま「台風7号」は進路を変えずに、8月1日の夜には、沖縄本島に接近するというのだ。
 この海を荒れさせ、ゴール地点のある犬小屋の屋根までも吹き飛ばした「風」の正体は、「台風」だった。今後、天候状態は悪くなると考えられ、この挑戦に不安の影が立ちこめる。

 その頃、松岡とトミーは、約700mを泳ぎ、残り1,271m地点。

 4本の足で水を蹴るように、犬かきをしながら前へ進むトミー。しかし、松岡は、ほんの少しではあるが、再びトミーに遅れをとりだしてしまった。

 さらに、松岡の泳ぐ動きが止まった。何かあったのか!?

 しかし、松岡は、再び泳ぎはじめた。大丈夫のようだった。

 だが…再び水を蹴るために、足を動かすのを止めてしまった松岡。何か、おかしい。

 そして、松岡はついに顔を上げ、シュノーケルを口から離し「ごめん。(足が)つった。」と悔しそうに言った。

 足がつり、泳ぐことができなくなってしまった松岡。すると、トミーが前へ進むのをやめ、引き返し、松岡のもとへ向かった。
 トミーは、それとなく、一緒にこのチャレンジに挑戦している松岡の異常に気がついたのだろうか?

 松岡は、足のつりを治すために、ボートへあがる。

 やはり、スタートから、徐々に高くなる波の中800m近くもバタ足を続けた松岡の左足には、かなりの負担が、そして、かなりの疲労がたまっていたのだ。「なんだよ…。」と悔しそうで、かつ苦しそうな表情を浮かべる松岡。

 松岡が休むボートから、ほんの少しだけ離れたもう1艘のボートでは、トミーが松岡のことを、じっと見つめていた。
 さらに、トミーは、松岡の安否を心配しているのか「きゅーん。きゅーん。」と鳴きだした。すると…ボートであおむけになり、足の筋を伸ばしていた松岡が立ちあがった。

 まだ、足は完全に治ったという様子ではなさそうだが、松岡は再び泳ぎ始めることを決心した。
 そして、松岡は、勢いよく海に飛び込んでいき、トミーの名を呼んだ。
 すると、パートナーの復活を願っていたトミーも、すぐさま海へ飛び込んだ !!
 松岡の復活に、トミーは嬉しいのか、力強い泳ぎをみせる。

 RJと太一は、高くなった波と戦いながら、スタートから約1時間が経過。ゴールまで残り1,345m。一方のトミーと松岡は、ゴールまで残り972m。

 再びトミーとの距離が離れてきた松岡。やはり、先程、つってしまった足が、後を引いているのか?
 先を行くトミー。すると、トミーが遅れる松岡に気づいたのか、Uターンをし、松岡のそばへ。そして、松岡を気遣うかのように並んで先を目指し始めた。

 スタートから1時間30分が経過。その頃、RJと太一は、残り900m付近を泳いでいた。相変わらず台風の影響で、海の波は高い。残り1キロを切ったが、ここからが勝負であるということは間違いない。

 松岡とトミーは、1,700m泳ぎゴールまであと300mとなった。しかし、こちらも太一達と同様に、ここへきて徐々に波が高くなってきた。

 だが、松岡とトミーは、ゆっくりとではあるが、少しずつではあるが、距離を伸ばし続けていた。すると…松岡の動きが、再び止まってしまった。もしや、また足がつってしまったのであろうか?
 トミーが松岡のもとへ近づく。そして…松岡が立ちあがった。かなり浅瀬となったために、松岡は足につけたフィンを外していたのであった。

 城島は、空から松岡とトミーの姿を見ていた。その目には、松岡達がいる少し先に、もうゴールである屋那覇島の白い砂浜が映っていた。

 最後の力を振り絞って、ゴールを目指すトミー。松岡は、後ろから、トミーの姿を見つめ、声をかける。ゴールまで、あとわずか !!

 その頃、RJと太一は、依然、高い波にもまれながら、少しずつであるが着実に、ゴールへと進んでいた。しかし、高波は容赦なしにRJと太一を打ちつける。
 だが、RJは、前に進むのを止めようとはしなかった。そう、とにかく、ゴールを目指していたのだ。ゴールまで残り、あと570m。

 一方、トミーと松岡は、残りあと148m。もう海も、トミーの足が、しっかりと海の底をとらえることができる深さになった。
 松岡とトミーは、仲良く二人で、ゴールへと歩いていく。そして…砂浜に入る直前、ついにトミーと松岡は走り出した。

 上空から、今まさにゴールをしようという二人を見守る城島。空から見える、白い砂浜には、小さな、しかし、トミーと松岡にとっては、大きな意味のある足跡が、一歩一歩、刻まれていく。そして…スタート1時間52分で、トミーと松岡、ついにゴール !!

 城島は、共に泳ぎ、共に困難を乗り越えたこの二人のコンビを、あの名物刑事コンビの名にちなんで、こう呼んだ。「トミーと松。おめでとう !!」と…。

 その頃、RJと太一も、ゴールまで残りあと303mとなっていた。高い波と戦い続けたRJ。かなり体力も消耗しているはず。そんなRJに、必死に声をかける太一。「頑張れ!」「負けるな!」「あとちょっとだ!」
 太一の応援を受け、RJは泳ぎ続ける。必死に、一生懸命に、前だけを見つめて、泳ぎ続ける。
 そして、ついに海の深さは、太一が立つことができる高さまでになった。もう、ゴールまで、あと少し。ゴール直前、泳ぐペースをあげるRJ。そして、ついに砂浜に到着。

 最後の力を振り絞って、ゴールゲートと犬小屋に向かって走るRJと太一。そして…2時間4分で、RJと太一も、ついにゴール !!

 挑戦を終え、この日のRJとトミーの泳ぎを振りかえる、太一と松岡、そして松崎ヘッドコーチと松崎チーフトレーナー。

 松岡は、コーチ達に「合格ですかね?」と質問。

 そして、「そうですね。良く頑張ったと思います。」とコーチ達から、水難救助犬としての最終訓練の合格のお墨付きをもらった。

 ここに、一人前の水難救助犬である、「RJ」と「トミー」が誕生した。

 すると、どこからか、聞き覚えのある声が…。

 声がする方角を見てみると、なんと城島が今度はヘリコプターではなく、パラセーリングをして空に浮かんでいた。

 太一と松岡は、「何、バカンスしてんだよー。」と呆れムード。

 すると、城島のパラセーリングが、おりからの台風の風に揺られてか、急に高度を下げていった。そして…墜落 !!

 突然の落下に驚いた城島は、かなりの水を飲ぬことに。むせる城島。
 城島は「助けて〜。トミーと松 !!」と、救いを求める。

 しかし、「さあ、帰ろう」と太一と松岡は、冷ややかに一べつ。RJと太一、トミーと松岡は、帰っていった。

 全長2,000mにも及び、海を泳ぐという今回の水難救助犬「最終訓練」。

 この日、最終訓練を見事成功させ、晴れて一人前の水難救助犬「RJ」と「トミー」が誕生した。彼らは、この後、いくつも水難事故に対処し、いくつもの危険から人々を守り、そしていくつもの命を救っていくことになるだろう。

 しかし、私達は忘れてはならない。最も大切なのは、「私達が水難事故に遭わないように注意しなればならない」ということを。きっと、「RJ」と「トミー」もそれを望んでいるはず…。

緊急報告
 8月15日に放送した「水難救助犬は海を渡れるか!?」で、見事、沖縄の海を渡りきった、救助犬「RJ」。
 この放送の2日後、トルコでは大地震が発生。そのためRJは、瓦礫の下に埋もれてしまった人々の救助を行うため、日本レスキュー協会の松崎直人ヘッドチーフコーチと松崎正人チーフトレーナー連れられ、同じく災害救助犬のドイルと共に、8月19日、トルコに向けて成田空港から出発した。現地のトルコでは、ヤロバとアダパザルで捜索救助活動に従事した。

 自分でも犬を飼っているという動物好きの松岡君。この日のロケも、大好きな犬との撮影ということで、かなり楽しそう。ロケ前、松岡君は、この挑戦をする2匹の犬を前に、「頑張れ!できるぞ!」と真剣に話しかけていたのが印象的でした。
安全走行 チャイルドシート 寝た子を起こさずどこまで行けるか!?
 


 1999年7月13日、道路交通法施行令を改正する政令が、閣議で決定した。
 今回改正された道路交通法では、2000年の4月1日から6歳未満の幼児が車に乗る際には、チャイルドシートの着用が義務付けられることになる。
 チャイルドシートとは、乳幼児を交通事故から守るために、座席の上に固定して取りつける、乳幼児のための専用シート。
 日本では現在、チャイルドシートの着用率はわずか15%であるが、チャイルドシート着用していなかった場合と着用していた場合を比べてみると、着用時の重症率は、非着用時の3分の1、致死率は9分の1と着用による効果は大きい。そのため欧米では、すでに、子供を車に乗せる際に着用が義務づけられているところが多く、子供達の尊い命が守られている。

 このように着用していると事故発生時に安全なチャイルドシートだが、子供を事故から守るために何より大切なのは、運転者の注意。
 さらに、子供を乗せた運転には、丁寧さが求められる。そこで、子供にやさしい運転を心がけるこの実験!!

チャイルドシート 寝た子を起こさずにどこまで行けるか!?

 今回の実験の舞台は「東京」。

 車に乗ってチャイルドシートに座った子供がお昼寝を始めたところでスタート。

 運転するのは、一人はペーパードライバーだが、海外での運転や、「渋滞を行く車に自転車は勝てるのか?」という企画のロケ等で徐々にその腕も鍛えられてきた城島。
 もう一人は、巧みなドライビングテクニックを持ち、運転には自信のある達也。

 寝た子を起こさないようにする運転のポイントとしては、


1.発進や減速、ギアチェンジでの振動に注意する。
2.できるだけ走行時の衝撃を少なくするために、凹凸の少ない平坦な道を選ぶ。
3.車線変更やカーブでの横揺れに注意する。

といった点があげられる。
 加えて、交通量が多く、複雑な細い道も多い東京、どこに子供が目を覚ましてしまうような障害が待ち受けているかわからない。

 果たして、寝た子を起こさずに、城島と達也はどこまで行く事ができるのだろうか!?

 今回、安全走行にチャレンジするのは、ペーパードライバーではあるが、海外での運転経験も豊富(?)で、渋滞での運転はもうお手のもの「城島 茂」と、JAF(日本自動車連盟)のロードサービス隊員の経験を持ち、運転には、絶対の自信をもつ「山口達也」の二人。

 そして、2人は、今回のドライブのパートナーを探しに、ある場所へ向かった。

 その場所とは、東京都港区にある「みなと保育園」。
 早速、園内を散策する二人。すると、小さな小さな、子供用の便器を発見 !!

 思わずまたがる城島。さらに、「あんがー。あんがー。」と童心に返った後、照れる。

 その後、二人は、子供達がいる部屋へ。そして、今回のパートナーを発見。

 達也が運転する車に乗るのは、忠平夏海(ただひらなつみ)くん、1歳。パッチリした目が印象的な、口数の少ないちょっと内気な男の子。

 一方の城島が運転する車に乗るのは、生後まだ6ヶ月の朝霞麗未(あさかれみ)ちゃん。もみじよりも小さな手をした、とってもかわいい女の子。

 早速、それぞれの車に乗せる子供達とコミュニケーションをとり始める、城島と達也。しかし…顔をくしゃくしゃにして、城島のパートナーの麗未ちゃんは、泣き出してしまった。城島は、どうしていいのか分からず、慌ててお母さんを探す城島。

 一方の達也のパートナーである夏海くんも泣きはしないが、笑ってもくれない。上手くコミュニケーションがとれていない様子。

 こんな調子で、今回のチャレンジは、果たして上手くいくのであろうか?

 今回のルールは、それぞれの子供達のお昼寝開始と共に、東京都港区にある「みなと保育園」をスタートする。ママと子供を車に乗せて、達也は東、城島は西へ向かい、子供を起こさずにどこまで行けるかというもの。

 ただし、ドライブ中に、「昼食」「給油」「駐車」「夕飯の買い物」という、以上4つの項目をクリアしなければならない。

 麗未ちゃんの目がトロンとしてきた。そろそろお昼寝の時間か? そして、スタートはできるのか?

 眠りにつきそうな麗未ちゃんを、そっとチャイルドシートに座らせようとするママ。しかし…麗未ちゃん、泣き出してしまった。残念、城島、スタートできず !!

 その頃、達也は、まだチャイルドシートの取り付けをしていた。しかし…付けてはみたものの、全く安定感がなくグラグラ。これでは、せっかくのチャイルドシートの意味がない。

 しかし、チャイルドシートを持っている人でも、達也のように、正しい装着の仕方ができていない人が多いという。

 ここで、正しいチャイルドシートの取り付け方を説明しておくと、

(1)まず、シートベルトを適度に調整し、チャイルドシートの後ろ側についている横穴に、調節したシートベルトを通す。

(2)そして、シートベルトをカチッというまでしっかりと締め、グラグラしないか、きちんと固定されいるかを確認して、取り付け完了。

 ちなみに、チャイルドシートは、後部座席で使わなければいけない。

 さて達也もなんとか、チャイルドシートの取り付けを完了。早速、夏海くんを座らせて、反応をチェックしてみると…大丈夫、座り心地は、よさそう。

 城島はスタート前に、トランクに「赤ちゃんが寝ています」のシールを貼った。これで、もう準備万端。あとは、麗未ちゃんが寝てくれるのを待つだけ。

 すると、麗未ちゃんのママが「寝ました。」と、笑顔で報告。
 麗未ちゃんのママが、今度は起こさない様に、ゆっくりと麗未ちゃんをチャイルドシートへ。
 まだ、目を開けない麗未ちゃん。このままなら、スタートできるかも!?
 あとは、麗未ちゃんが乗る後部座席のドアを城島が閉めるだけ。慎重にドアを閉めなければいけない。しかし…「バン !!」大きな音が鳴ってしまった。焦る城島。

 気になる麗未ちゃんの反応は…残念 !! お目めパッチリ、起きてしまった…。またも、城島、スタートならず !!

 一方、達也の夏海くんは、大好きなママの腕に抱かれながら、今、まさに眠りに落ちそうな気配。
 そして、ついにお昼寝突入。ゆっくりとチャイルドシートに、夏海くんを座らせて、午後2時12分、達也チーム、慎重にスタート !!

 先行く友を、口を開けて見送る城島。麗未ちゃんは、まだまだ起きている。一体、いつ城島はスタートできるのか!?

 スタート後、達也チームは、港区から東へ向かい、千葉方面を目指すことに。そして、最初の交差点にさしかかった。横揺れが起きないよう、スピードを落し、ゆっくりとハンドルを切る達也。曲がり切り、気になる夏海くんの様子は…スヤスヤと寝ていた。

 その頃、城島は、何やら作業中。
 というのも、少しでも早くスタートしたく、またスタート後も、快適に麗未ちゃんに寝てもらいたい城島は、ハンカチで窓に「日よけ」を作っていたのだった。
 すると、この作戦が功を奏したのか、ついに麗未ちゃんもお昼寝突入。そして、達也チームよりも11分遅れて、午後2時23分待ちに待った待望のスタート !!

 マニュアル車にまだ慣れないのか、城島は、上手くクラッチをつなぐことができずに、いきなりエンジンが大きな唸りをあげた。このままでは、麗未ちゃんが起きてしまうぞ !!
 しかし、麗未ちゃん、このエンジンの唸りも気にせずにお昼寝続行。
 今度は、デコボコした坂が出現。この坂の揺れに、麗未ちゃんは耐えられるか!?

 だが、なんとかこの坂も通過成功。まだ、麗未ちゃんは夢の中。

 その頃、達也チームは、品川方面へ向かっていた。すると…達也は、前方の赤信号に、ブレーキを踏むのがワンテンポ遅れてしまった。このままでは、滑らかな停車ができない。達也、ピンチ !!
 ところが、夏海くんは、このちょっと遅れたブレーキングに、微動だにともしなかった。
 こんな夏海くんに、達也は「ガン寝です !!」とホッと安心。

 一方、城島チームは、スタートから5.2km地点の渋谷区広尾で、渋滞に巻きこまれていた。車線変更を突然してくる車を上手くかわしながら少しずつ距離を稼ぐ城島。

 また、車内には、夏の午後の強い日差しが、車内に注ぎ込む。まぶしくて、麗未ちゃんが起きてしまうのではないかと心配する城島は、日陰を選んで走行することに。

 日陰がある、細い道に入ろうとしたその時 !! 「ゴン!ガリガリ !!」と路肩に車をすってしまう城島。
 すると、麗未ちゃんが、なんと目を開けてしまった。城島、ここで、チャレンジ終了か?
 が、麗未ちゃんは、首の位置を置き換えて、また目を閉じて夢の世界へ。城島、危機一髪セーフ !!

 一方、達也は、スタートから5.4km地点の品川区北品川から湾岸方面へ向かっていた。すると、前方に「踏みきり」が出現。

 踏みきりは、渡る際に、線路の上を通過するため、かなりの振動が伴うポイント。
 なるべく速度を落とし、慎重に踏み切りを通過する達也。しかし、無情にも車はガタガタと音を立て、振動を伝える。
 だが、ガン寝の夏海くん、この程度の揺れと音では、まったく起きる兆候なし。

 時刻は、午後2時31分。達也チームは、スタートから19分が経過し、5.5km地点で、ここから千葉方面へ。

城島チームは、スタートから8分が経過し、5.5km地点で、神奈川方面を目指す。

 ここまで共に走行距離が5キロを越えた。子供は、夏海くん、麗未ちゃんともに、まだまだお昼寝を続けてくれそう。

 スタートから11.6km地点の世田谷区三軒茶屋に入った城島は、ここでガソリンスタンドへ。すると、城島、「俺、給油したことないねん。」と気になる一言。
 案の定、城島は、どこからガソリンスタンドに入っていいのかわからない。しかし、なんとか入り口を見つけ、いざスタンドへ。だが…道路端に寄りすぎてしまった城島の車は、エンセキに乗り上げそうになってしまう。そして、当然「ガリッ!ガリガリ!」。焦る城島。しかし、麗未ちゃんは、この城島の運転にも、スヤスヤ夢の中。
 やっとの思いでスタンド内に到着。そして、給油の注文。もちろん、小声で。
 すると店員さんが、「ボンネットの点検の方はよろしいですか?」と元気な声でサービスを薦めてくれた。
 しかし、この時ばかりは、思わず城島も、そして麗未ちゃんのママも、口の前に指を立てて、「シー。シー。」
 そして、店員さんの窓拭きなどのサービスをする際の、車体の振動が気になりつつも、給油完了 !!

 その頃、達也チームは、スタートから10.2km地点、トラックの往来が激しい、湾岸方面の江東区有明を走行中。すれ違うトラックのエンジン音にも、まだまだぐっすりモードの夏海くん。
 しかし、眠る夏海くんを乗せ、安全走行を続ける達也の車の後ろに、大きなダンプカーがピッタリとついていた。
 そして、トラックは、それでも安全走行を続ける達也の車に、クラクションを鳴らし、追いたてる。夏海くん、お目覚めか!?
 しかし、夏海くん、このクラクションにも起きず、ただ寝返りをうっただけ。セーフ !!

 一方、城島は、スタートから13.6km地点の世田谷区若林付近で、行き交う車の騒音を避け、静かな裏道へと飛び込む。
 しかし、裏道へはきたものの、予想以上に細い道。人を避けながら進むのがやっとの広さ。
 だが、順調に安全走行を続ける城島。麗未ちゃんは、ぐっすりと寝ている。
 すると、城島が麗未ちゃんのママにこう呟いた。「今だけ、女に戻りませんか?」
 すると、麗未ちゃんのママの「えー。」と言いながら、でもチョット嬉しそう。
 と、その時 !! 小さな曲がり角から、突如、トラックが出現 !! 運転の順調さに油断をした城島に、天罰が !!

 慌ててブレーキを踏む、城島。さらに、慌てて麗未ちゃんが起きていないかを確認。すると、麗未ちゃんは、まだグッスリと眠ったまま。

 その頃、ようやくトラックの騒音から逃れてきた達也チームは、スタートから11.9km地点の江東区フェリー埠頭で、順調な走りをみせていた。すると、達也が前方に何かを発見。

 それは、スピードの出しすぎを防止するための「段差舗装」だった。
 達也は、なるべく衝撃を少なくするために、安全を確認した後、できるだけスピードを落し、この段差舗装を通過。達也のこのとても優しい運転に、夏海くんは寝返りすら打たずに熟睡中。
 すると、前方に、また段差舗装が出現 !! しかし、ここでも達也は、事前にスピードを押さえ、優しすぎるほどの運転をし、振動の少ないスムーズな走りをみせる。依然、夏海くんは、熟睡中。

 一方、城島は、スタートから15.1km地点で、世田谷区豪徳寺にある裏道を走行中。すると、前方に「踏みきり」出現 !!
 電車の通過音と踏みきりの警告音で、麗未ちゃんは起きてしまうのか!?
 なんとか城島、ここも乗り切る。

 その頃、達也は、スタートから15.3km地点の江東区東雲(しののめ)地点で、渋滞の列の中に。
 夏海くんのママによると、走行時に微妙に伝わる揺れがないような渋滞では、かえって夏海くんは、起きてしまうかもしれないとのこと。
 そこで、達也は、夏海くんが起きないうちに、渋滞を回避するルートを選択し、亀戸方面へ向かうことに。

 一方、城島は、スタートから17.4km地点で、世田谷区船橋の裏道を走行中。
 城島チームの車は、ますます狭い道へ。しかし、その道の狭さゆえか、かなりの安全走行。麗未ちゃんが起きる気配は、全くなし。

 時刻は、午後3時18分。達也チームは、スタートから1時間6分経過し、16.8km地点を走行中。一方の城島チームは、スタートから55分が経過し、17.5km地点を走行中。

 達也チームは、江東区にある路地に入りこんでいた。そして、そのまま、車は商店街へ。
 道端に止めてある自転車を上手く避けながら、ゆっくりと前へ前へと進む達也の車。と、その時 !!
 なにやら楽器の音が聞こえてきた。そして、その音は徐々に、夏海くんが眠る達也の車に近づいてくる。この楽器の音は、一体、何なのか?
 それは…、商店街の宣伝をする人達が奏でる音だった。
 思わず、口の前に人指し指をたて、この宣伝隊に静かにしてくれと祈るような気持ちの達也。
 だが、ますますは、宣伝隊は、達也のもとへ近づいてくる。そして、夏海くんも、ついにこの音に気づいたのか、体を右へ左へと動かし始めてしまった。もしや、ついに、夏海くん、お目覚めか!?
 ついに、宣伝隊は、達也の車の真横へ。これには、達也、冷や汗が出る思い。そして、問題の夏海くんは…大丈夫。まだ寝ていた。
 そして、達也チームは、賑やかな商店街を、なんとか通過することに成功 !!

 その頃、城島チームは、スタートから18.8km地点の世田谷区船橋で、二つ目のチェック項目である「昼食」をとるために、ドライブスルーへ。
 運転慣れしていない城島は、注文カウンターを行きすぎてしまう。
 しかし、どうにかカウンターに到着。そして城島は、静かにオーダーを店員さんに告げた。
 城島の小さい声にも関わらず、しっかりと、そして元気な声で、注文を繰り返す店員さん。これには、城島、思わずヒヤッとし、慌てて麗未ちゃんの顔を伺う。
 しかし、城島の心配をよそに、麗未ちゃんは、依然、スヤスヤと寝ていた。
 そして、城島チームは、元気な店員さんに別れを告げ、環状8号線を町田市方面へ向かう。買ったポテトを、麗未ちゃんのママに、口まで持っていってもらう城島。これには、城島、たまらず「すんげー恥ずかしい…。」と、言いつつも、顔はにやけていた。

 その頃、達也は、スタートから20.6km地点の江東区北砂で、チェック項目の駐車に挑戦中。大きな振動を与えない様に、慎重に、ゆっくりと駐車する達也。そして、夏海くんのママが、この間に、夕食のお買い物へ。
 達也は、夏海くんが、大好きなお母さんがいなくなったことに気づき、目が覚めないかを心配そうに、車外から見つめる。

 その頃、城島チームは、スタートから21.5km地点の世田谷区成城の静かな住宅街を走行中。そして、ここで城島の大の苦手な難関が出現。

それは…「坂道発進」
 やはり苦手な坂道発進に、案の上、城島の車は、後ろに下がってしまう。また、クラッチを上手くつなげずに、車は、前へ後ろへと、大揺れ。すると、麗未ちゃん、ピクッと体を動かした。このまま、麗未ちゃんは起きてしまうのか!?
 しかし、なんとかセーフ !! 麗未ちゃんは、まだ眠っていた。

 一方、達也チームは、夏海くんのお母さんが夕食の買い物から戻ってきて、再びスタート。夏海くんの熟睡は続いている。

 時刻は、午後4時16分。達也チームは、スタートから2時間4分経過し、20.7km地点。一方の城島は、スタートから1時間53分が経過し、21.9m地点。
 坂道発進でのピンチを何とか乗り越え、住宅街を抜けた城島チームは、順調な走りが続く。すると…前方から救急車がサイレンを鳴らして走ってきた。麗未ちゃん、今度こそ起きてしまうのか!?
 目覚めてしまうのではないかと、ビクビクしながら麗未ちゃんを見つめる城島。しかし、この城島の心配をよそに、麗未ちゃんは起きなかった。

 その頃、達也も、麗未ちゃんのママが夕食の買い物で見つけたお団子を、城島と同じように、食べさせてもらって「昼食」を済ませることに。
すると、達也は「ありがとうございます。」と、照れくさそうな笑みを浮かべた。
 そして、後ろに乗る夏海くんは…さっきとは、態勢を変えて眠っていた。この態勢の変化は、お目覚め近しのサインか!?

 一方、城島は、スタートから25.1km地点の狛江市狛江駅前でチェック項目の「駐車」をするために、駐車場へ。入り口の段差が気になる。しかし、ここもどうにか通過。ところが !!
 入り口にある駐車券を配る機械の声が予想以上に大きかった。これには、城島、とにかく焦った。だが、麗未ちゃん、この機械の声にも全く動じない。そして、なんとか駐車を完了。麗未ちゃんも、お目覚めの気配なし。
 そこで、お母さんは、この隙に夕食の買い物へ出かけることに。残った城島は、麗未ちゃんの子守り。
 後部座席に移り、起きないことを願いながらも、どうしても、その可愛さに負け、小さな頭をなでてしまう城島。
 運転席に戻った後も、目は、麗未ちゃんに向けられたまま。すると…「プッ !!」と、城島、誤ってクラクションを押してしまった !!
 慌てる城島。だが、麗未ちゃんは、依然、可愛い寝顔を見せたまま。城島は、ホッと胸をなでおろした。
 やがて、麗未ちゃんのママも、夕食の買い物を完了し、戻ってきた。

 その頃、達也チームは、スタートから28.3km地点の江戸川区西葛西にあるガソリンスタンドでチェック項目である「給油」を行っていた。
 元気な店員さんの声にヒヤヒヤしながらも、そつなく給油をこなす達也。

 一方、城島チームは、スタートから27.7km地点で、達也チームよりも一足先に、東京を脱出するため、多摩川にかかる橋を渡っていた。
 夕方の強い西日が、後部座席に眠る麗未ちゃんの熟睡を脅かす。すると、前方に「よみうりランド」が見えてきた。
「こんな遠いところまで来れたのかー。」と浮かれていた、その時 !!
 車の前に、小さなボールが転がってきた。そして、城島は、慌てて急ブレーキ。
 どうやら、子供がボール遊びをしていて、誤って道路に転がしてしまったようだ。
 城島は、しっかりと安全を確かめて、再スタート。しかし…麗未ちゃんが突然、泣き出してしまった。そして、ついにお目覚め。

午後5時18分、城島チームのドライブは、ここで終了。そして、城島は、お目覚めした麗未ちゃんに、優しくキスをした。ところが…麗未ちゃん、またも泣き出してしまった。安全走行は、果たせたものの、あやすことには、ことごとく失敗した城島だった…。

 その頃、達也チームは、スタートから28.7km地点で、こちらも東京を脱出し、千葉県浦安市・葛西通りを走行中。
 夏海くん、そろそろ起きそうな気配…。これから、どれだけ距離を伸ばせるかが勝負。
 そして、達也チームの車は、海へ到着。達也と夏海くんのママは、思わず興奮。
 夏海くん、もう今にも起きてしまいそうな様子。そこで、達也は、さらにスピードを落し、慎重な運転を重ねる。
 海岸沿いを走る達也の車。すると…前方は、なんと行き止まり。そこで、静かに、ゆっくりとUターンをすることに。しかし !! 夏海くん、泣きだしてしまい、ついにお目覚め。午後5時27分、達也チームのドライブも終了 !!

 結果、チャイルドシートに寝た子を乗せた安全ドライブは、達也チームが3時間15分走り続け35.3km、城島チームが2時間55分走り続け34.1kmで、その差1.2kmたらず。

 達也と城島の優しい運転が心地よかったのか、麗未ちゃん・夏海くんとも、この日はいつもより、少し長いお昼寝となった。

 このロケの時、城島君と達也君は、初めて間近でチャイルドシートを見たそうです。そんな二人は、「年の割に、大きくなってしまった子供の場合はどうするのだろう?」という素朴な疑問を抱いていましたが、ご心配なく。チャイルドシートの対象年齢は0歳から10歳くらいまでで、年齢や体の大きさに合わせたそれぞれのサイズ(乳児用・幼児用・学童用)があり、大きな体の子供でも、十分に対応できるようになっているのです。