『放送内容』

築200年　伝統の日本家屋は蘇るか！？　～解体編～

春うららかな五月晴れのＤＡＳＨ村。池のほとりのタラノキの芽も暖かい風に揺られながらグングン成長しています。

そんな中、なにやら家の前で穴掘りをしている明雄さんと清。さらに里山から１３ｍもの長い杉の木を切り出して一体何を始めるのか！？

この日は５月５日。ＤＡＳＨ村にも鯉のぼりを泳がせようとしていたのだった。
「鯉のぼり」とは中国の古い言い伝え「鯉の滝登り」が立身出世の例えとされ、それをかたどったのぼりを子供の成長を祝って端午の節句に上げるようになった江戸時代からの伝統。
ＤＡＳＨ村の成長を願い近くで使われなくなった鯉のぼりを借りて上げようとしていたのだ。

杉の木の柱を明雄さんと清が持ち上げようとしたものの、２人では重さに耐え切れず柱を手放してしまった！

地面にたたきつけられた柱の先には、借りた大切な矢車がついていたのだが、このショックで壊れてしまった。清、明雄さんの指導もあって何とか飾りを修理。もう一度柱を立て直す事に。

結局近所の人の手を借り、男６人がかりで立てた柱。土台に固定してこれで柱は完了。長さ１０ｍにも及ぶ"真鯉"とその下に緋鯉を取り付ける。合わせて５匹！もう１匹取り付けようとする清だが、明雄さんに「七・五・三」のほうが縁起がいいと言われ結局５匹で上げる事に。
屋根より高く鯉が上っていく！ＤＡＳＨ村で始まる新たな試み、その成功への願いをこめて、暖かい風に鯉のぼりは空高く優雅にそよぎだしたのでした。

そんなＤＡＳＨ村近くのとある場所で、かつてない壮大な計画が動き出そうとしていた・・・。

「いつか自分の手で家を建てたい…」
それは、男達が抱く永遠の夢。そんな夢を抱いていた一人である達也。

ＤＡＳＨ村に自分の家を建てる為に、今年の始め、大工の棟梁のもとに弟子入りし、家作りの基礎を学んだ。

夢の実現のステップとして、北登の犬小屋、ＤＡＳＨ村に必要な炭を保管する炭小屋などを作ってきた。そして、今回いよいよ念願の家作りが始まる…。

しかし、ＤＡＳＨ村にいきなり人の住める家を建てるのは非常に大変。
そこで、日本建築の知識を活かし、解体する予定の民家を移築し再生する事に。

軸組み工法で基本的に釘を使わない日本建築は木材が腐りにくく、保存状態さえ良ければ何百年も使う事ができるのである。

そんな折、達也にこんな知らせが。ＤＡＳＨ村から程近い所にある築２００年の日本家屋。現在誰も住んでおらず取り壊す予定で解体すれば古材は頂けるという。

果して、この古民家を解体し、ＤＡＳＨ村に蘇らせる事はできるのか？

家作りの師匠である島崎英雄棟梁と共に古民家を見に行く達也。
「うわぁー、立派だなー」と、しばらく雄大に構える古民家に見とれる。
しっかりとした欅（ケヤキ）の大黒柱、その上の梁、そして茅葺きの屋根。
どれを取っても日本建築の技術の粋を集めた、まさに芸術品とも言える建築物である。

「すごいねー、これよく組んだね。」と先人達の技術に感心する達也と棟梁。
よく見ると、さらに柱には手斧（ちょうな）と呼ばれる鍬（くわ）型の斧による削り跡がきれいに残っている。
骨組みは、雪の重みなどに耐えられるよう合掌（手を合わせる）に組んだ「合掌づくり」。これも、経験により生まれた先人達の知恵。

解体して十分使える材料であると、棟梁との視察を終え、次はいよいよ解体作業に入る。
解体１日目に集まったのは城島、太一、長瀬、清。
「まず骨組みにしないといけないからまずこの土壁を崩そう」

日本家屋の壁に使われている土壁。実は以前、再生したＤＡＳＨ村の民家でも土壁を使っていた。
「こんなにいい土壁は無いよ！これもＤＡＳＨ村に持っていくから！」
と張り切る達也。土壁は水で戻せばまだ再利用できるのである。

「せーの！ドン！！　せーの！ドン！！」
リズムを合わせ、ハンマーで土壁を落とし袋に詰める。
巻き起こる土ぼこりに苦労しながらも、ハンマーを振り上げる４人。

たまった袋を台車に乗せ…、
「イチッ、ニッ！」「サン、シッ！」「ニィ、ニッ！」「サン、シッ！」
「桂！」「三枝！」「いらっしゃーい！！」
掛け声も元気に（？）ＤＡＳＨ村へと運ぶ。

土壁を落としては袋に詰め、そして運ぶ。この作業を繰り返す事数十回以上、
４日間かけてやっと運び出す事ができた！
袋の数は何と合計２００袋にもなった！

１日目に土壁落としと平行して行われていたのが「天井板外し」
バール（鉤状になっている金属の棒）を使い、床板を外す。
隙間に引っ掛けて一気に引っ張ると…。「ガッシャーーン！」
轟音と土煙と共に床板が外れた。すると太一が何かに気付いた。
「何か落ちてきたよ、あっ！ボールだ！」「もう一回やったら又落ちてくるかも…。」
バールを引っ張ってみると…。
「今度はビーチボールだ！」「絶対ドリフだよ！」
とオチもついて次の作業へ。

土壁を全て運び終えた作業５日目、次は床板を外す作業。
なかなかはかどらないが達也だったが、島崎棟梁のアドバイスで作業ペースも上がる。２日かけて床板を外す作業は終了。

作業７日目は茅（かや）を取り外す作業。しかし、その前に行うのが茅を覆っているトタン外し。トタンを手作業で外すのは至難の技。
そこで必要になってくるのが、先日城島が免許を取得した油圧ショベルである。

今回は普段とは違い、トタンを外す為、解体用フォーク仕様。
余分な力が民家に加わると、民家が倒れてしまう。大事な古材に傷をつけないように慎重にトタンを剥がなければならない。果して大丈夫か？

慣れない作業だけになかなか上手くできなかったが、次第にコツを掴んだのか
ペースが上がっていく。そろそろトタンが剥がし終えるか、と思われたその時！
「あっ！危ない！倒れる！倒れる！」民家に近づきすぎた為に
クレーンのツメで民家を押してしまったのである。
あと１歩でみんなの苦労を代無しにする所だった城島。気を取りなおし慎重に作業を進める。そして全て剥がし終え、見事、茅葺きの屋根が表れた。
そして７日目は終了。

８日目は茅葺き屋根の茅を取り外す作業。
高い所での作業に加え、茅は滑りやすく屋根の勾配も急な為、素人だけでは危険な作業となる。そこで助っ人として来てくれたのが茅職人の方々。

茅職人の見事な職人技に見とれた長瀬、一緒に作業をさせてもらう事に。
茅をまとめて藁（わら）縄で縛る。そして下で落とす。下では清が拾い集め、台車に積む。この茅も再利用できる。

屋根からは下が見えず、茅を落とす長瀬も清が気になる。
「清君、行くよー」と茅を落としたその時！
何と、他の茅に気を取られていた清の顔面に、長瀬の落とした茅が直撃したのである！「大丈夫です…。」と言いながらふらつく清だが、ヘルメットをかぶっていたお陰で大丈夫だったらしい…。

この後、雪が降り出すなど困難が続いたが、なんとかＤＡＳＨ村に茅を全て運び出す事ができた。茅の束は何と２００束にも及んだ。

解体１４日目になり、残るは軸組みのみとなった。
軸組みの解体には、前回の炭小屋づくりでもお世話になった棟梁のお弟子さん達が助っ人として参加。

靴から足袋に履き替えた達也、気合を入れて作業に入る。
安全祈願の為の塩をまき、まずは上部の合掌部分を取り外す。

一本一本外しては時間がかかると、リーダー操作のクレーンで一気に引き上げる事に。トタンの時の事もあり慎重に作業を進めるクレーン城島。
合掌部分を終え、梁部分も取り外す。

解体した古材のあちこちには江戸時代の大工による文字が刻まれていた。
ちなみに棟梁によると、大黒柱の継ぎ目の中に家を建てた大工の名前や建てた年号が刻んである事があるという。２００年前にこの家のを建てた当時の事を想像しつつ、作業は進む。

順調に解体は進み、いよいよ残るは大黒柱のみとなった。家の要となる大黒柱を折ったり傷をつけてしまうと、今までの苦労も２００年前の棟梁の思いも代無しにしてしまう。果して、大黒柱には棟梁の名前が刻んであるのか？クレーンを動かす城島の手にも力が入る。

残念ながら棟梁の名前は刻まれていなかったが、大黒柱をはじめとする全ての古材には、傷一つつけることなく解体する事ができた！
翌日も現場に訪れた達也と城島と清。何をするかというと、実は大黒柱を支えていた束石（つかいし）も運び出すつもりだった。三人がかりで何とか掘りだす事に成功！

いよいよ、古材をＤＡＳＨ村に運ぼうとしたその時、
「なんだ、これ？」
達也が見つけたのは小さな手作り鉋。「大事な大工道具忘れやがって！」
といきり立つ達也。しかし命の次に大事な大工道具を忘れる大工はいない。
「いや、もしかして家を建てた棟梁が証として置いていったのかもね」
と考え直す。

実は似たようなエピソードがあの有名な東大寺にもあったのである。
東大寺の南大門を改築しようとした明治１２年、何と梁の上から建設された
飛鳥時代の物と思われる墨壷が発見されたのである。

誰に言うでもなく、職人が自分だけの証としてそっと置いた墨壷という見方もある。この鉋を置いた棟梁もきっとそんな気持ちだったのかも知れない…。
２００年の時を経て、蘇った大工の気持ちが込められているかもしれない鉋をしっかりと胸にしまった達也。

いよいよ最後の作業、古材の運び出しへ。

しかし、ここで重大なアクシデントが起きたのである。
道路交通法により車輌の長さの１/１０をはみ出して荷台に積んではならないという規律があり、車で古材を運ぶ事ができないのだという。

という事は残る手段は人力のみ。３人では到底無理、とスタッフも総出で古材を運ぶ。１３ｍという長さもさる事ながら、その重さはなんと重いもので５００ｋｇ！

「ヨイショ！ヨイショ！」野山に男達の声がこだまする。
しかし、この古材を全て運び終えてからが移築計画の本当のスタートライン。今度は解体した木材を組上げ、見事伝統の日本家屋を蘇らせる事はできるのか！？

一方ＤＡＳＨ米づくりのための溜め池が完成されようとしていた。
作業は夜まで続き、ようやく掘削作業が終了！その深さはなんと３,５ｍ。
そしていよいよ水入れ。達也が作った竹製のといから湧き水を流し込む。
少量ながら確かに溜め池に水が流れてゆく。後は水が溜まるのを待つのみ。

翌日、溜め池の様子を見に来た清。池の中に降り、確実に溜まっているのを確認しホッと一息。湧き水で顔を洗い、喜びをかみしめる清だった。

そこに明雄さんも様子を見に来た。どうやら特に問題はなさそう。

水を溜め始めて４日目、遂に水深３ｍのところまで水が溜まった！無事に溜まった池を見て明雄さんも「田植えに間に合う」とひと安心。アヒル村長も溜め池完成に大喜び！

水問題は何とかなった。が、ＤＡＳＨ米づくりの本番はまだまだこれから。無事ＤＡＳＨ米はつくれるのか！？

実は古民家の隣に別棟があり、それを解体した時になんと掛け板に江戸時代の人が書いたのでは？と思われる文字が発見されたのである！
その文字とは達筆で「招和福」と書かれていた。
大工の方の名前とは断定できないが、これも江戸時代の大工が残した証である。
当時の大工の方々に恥じる事のない日本家屋をＤＡＳＨ村に蘇らせる！と誓う達也だった…。

そんな達也の手助けをしていただいた、棟梁のお弟子さん達。
前回の炭小屋づくりでは、達也の事を「山口くん」とちょっと他人行儀で呼んでいたが今回は「達也！」と名前で呼び、いつもより厳しい態度だったという。

棟梁によると、皆が達也の事を一人前の大工と認めたからだという。
先輩達に一人前と認められた達也、次回いよいよＤＡＳＨ村での日本家屋再生が始まる。果して！？