『放送内容』

ＤＡＳＨ村　～冬支度～

ＤＡＳＨ村に今年も雪が降りました。
広大な夢の実験場が白一色に染まるのも、もうすぐそこ。
しかし、それまでにはやっておかなければならないことがありました。
そう、それは"冬支度"。

刺すような冷気の中、雄大にそびえる日本家屋。
実は本格的な冬がやって来る前までに、間に合わせなければならないところがあった。

土壁を塗り、柱に柿渋という染料を塗って、床板を並べた。
見た目は十分、日本家屋と呼べるもの。
「立派だよ。立派な家だよ。」と達也も出来あがりに自信を深めた。
しかし、これからの冬を乗り切るには、まだ不安な部分が山積みであった…。

こちらも冬を迎えるには欠かせない炭を作る炭窯では、驚くべき事態になっていた。
「あーっ！何だこれ！？」
何と炭窯に大きな穴が開いていたのである。
その原因は夏に降った大雨。シートを被せるなどの応急処置も及ばなかった。

しかし、これでは冬をしのぐ為の炭が作れない。そこで、この炭窯を再びつくることに。
雨の被害を受けぬように、溝を掘っておく
炭窯の全てを崩し、再度木を並べ、その上から土をかける。
前回よりも高く土を盛り、強度も強くする。

そして、いよいよ釜の中にある木に火を付け、炭化させる。
炭窯作りの師匠、金光さんによると、炭を作り続けることで良い炭ができるというが、
果して、前回を上回る良質の炭は作ることができるのか？

炭窯を作り直していた頃、男たちは他にもこんなものも作っていたのである。
それは黄金色に実った稲が収穫間近だった頃のことである。

「せーの！」「コン！」「せーの！」「コン！」
男たちの威勢の良い声と、木槌の音がリズミカルに響く。
男たちが作っていたのは収穫した米を貯蔵する為の「穀物倉庫」。

収穫に合わせて作業は急を要した。
しかし、そこは炭小屋、日本家屋を作り上げてきた男・達也の指導でピッチに進み、後は屋根板を張るのみとなった。

コン・コン・コン…
ＤＡＳＨ村の乾いた空気に小気味良い音が響く。しかし…。
「アッ！！やばいー！」と突然、叫び声を上げる城島。

実は、安全ベルトを屋根を支える部分に縛り付けたまま、屋根板を張ってしまったのである…。当然、城島は動けない。休憩する時も１人で屋根に上ったまま…。

しかし、達也と清はドンドン屋根板を張り続け、何と張り終えてしまった…。
その真意に気付いていないのは城島だけであった。
すると、しばらくして「あっ、ベルト外せばよかったんやな…」
城島の独り言が、空しく秋の空に響いた…。

安全ベルト付ではあるが、見事に穀物倉庫を作ることができた。
もちろん、収穫後の米は米俵に入って保管されている。

その頃、こちらも完成の様子。
炭窯の中に入って、出来あがった炭を取り出す太一。
すると、炭を見る目が肥えている太一も満足するほど、作った炭は上出来だった！

一方、今まで見てみぬふりをしていたあの部分。
実は、屋根の裏手の一部分に茅が足りずシートを被せておいていたのである。
雨はなんとかしのげるが、雪は到底しのげない。

茅の原料である葦は長い時間の乾燥が必要。しかしそんな時間はない。
そこで今年の冬を乗り切るための応急措置として、板を並べることに。
これで何とか雪には耐えることができる。しかし…。

「寒いよ、まだ。建具とは入れないとこれじゃ、雨宿りだよ。」と太一。
気付いている方が殆どだが、実はまだ戸板や雨戸が一枚も入っていない。
これでは冬の刺すような冷気を防ぐことなど到底できない。

今でもＤＡＳＨ村の近くでは、昔ながらの日本家屋に住んでいる人たちも多いのだが、
そのお宅なら、使っていない建具があるかもと考えた太一と達也。
早速、近所のお宅へと向かい、使っていない戸板や雨戸を頂くことができた。

さらに清は、島崎棟梁にいらない建具がある方を紹介してもらいに富山に行っていたのである。戻ってきた清が乗る軽トラックには、建具が山のように積まれていた。
お手柄の清、これで家屋の全てを覆う分の建具は揃った。

早速、はめてみると、なんとサイズがぴったり！
実は日本建築では、建具の種類毎にサイズが決められているのである。
そうすればその家を解体する時でも、また建具を再生することができる。
これもまた、日本建築の良さのひとつ。

「なんか家が締まった気がするね。」と達也。
戸板を仮にはめこみ、また重厚さを増したように見える日本家屋。
しかしまだ障子も無く、枠も割れているところも多い。

戸板の数に余裕があるので、一度分解して壊れている部分は取り除き、
使えるものと取りかえる。サイズが同じなのでそのようなことができるのである。
これもまた日本建築の良さである。

分解したものをキレイに洗い、もう１度はめ直す。しかし、これが実は大変な作業。
内枠の部分は釘などを使わず、木材同士を組み合わせており、
さらに組み合わせ方を間違えると、全て組むことができないのである。

「えー、何か、頭がゴチャゴチャしてきた！」
そんな２人の応援に駆けつけたのは建具職人の門間さん。
この道２０年以上年の大ベテラン。

門間さんの説明を受けて「なぁるほどー！」と納得した２人。
組み方の仕組みを理解した２人。あっという間に内枠を組上げることができた。
そこで外枠を合わせてみる。しかし、内枠は非常に細いので、少しの衝撃ですぐ割れてしまう。果して、大丈夫か？すると…

「あっ！！」何と内枠の一本が割れてしまった。
取りかえるには、再び分解しなければならない。落胆の色を隠せない２人。
予備の木材を組み、差込口をノミで広げて再度チャレンジ。
すると、今度は見事にはめ込むことができた！
しかし、完成したのはたった一枚。そう考えると余分に枠を作ったほうが良いと判断した達也、新しい枠を作ることに。

「でも、あの凹みはどうやって作んの？ノミでかな？」
そこで門間さんが取り出したのが門間さんの仕事道具。
内枠をまとめて、この道具で引くことによって一気に溝をつけることができるという。

定規を当て、一気に引く。すると見事、直線的に削ることができた！
「うぉー、すげぇ、すげぇー！」と作業する横で、感動する太一。
「上手ですよ。」という門間さんの言葉に、達也に代わって（？）お礼を言う。

一束にまとめていた止め金を外すと、見事に細い内枠が完成していた！
「スゴイ！、何か、長いさいばしみたいやな。」と妙な感激の仕方の城島も加わり、
新たに障子作りに取りかかる。

「こうやって複雑に組むから、強度が増すんだよね。」と妙に経験者顔の太一。
組み方が雑な城島に、「親指で押して下さい！」と注文も厳しい。

そんなやり取りの中、事件が起きた！
太一の指摘の後、慎重に組んでいた城島だったが、つい力が入り過ぎてしまい、
内枠の一本を折ってしまったのである！
しかし、折れたのは横に組む部分。縦に組む部分が折れると、
全て取り替えなければならなかったのでとりあえずは一安心であったが、
深く反省した城島であった…。

その頃、達也はまた門間さんの仕事道具を使っていた。
じつは戸板の中の一枚の"腰"と呼ばれる部分が折れていたのである。
"腰"とは戸板の中で「さん」が無い部分のこと。
継ぎ手をしている形跡があるのだが、その部分が折れていたのである。
久しく作っていない継ぎ手であったが、そこは"大工"達也。
あっという間に作ってしまった。そこに柿渋を塗って見事に修復完了。

八木橋が物欲しそうに見つめる中、清が障子戸に付いた古い和紙を剥がしていた。
それを集めて水に浸しているようだが…？
実は清、古い和紙を再生しようというのである。
和紙は繊維を一度バラバラにしてまた漉けば、復活するのである。

水に浸した古和紙をさらに洗って不純物を取り除き、再度漉く。
前回の白菜和紙は漉くのが困難であったが、今度は見事漉くことができた！

それをハケで形を揃えて乾かすのだが、日光を浴びて白さが引き立つ和紙の横に
何やら色の違う和紙らしきものが干してあるが…。

実は、この和紙らしきものを作ったのは城島。
その色のもととなったのは、なんと今年収穫したあの"デカカボチャ"である。
カボチャにも繊維分は多く含まれており、白菜と同様にその繊維分を取り出すことで和紙を作ることができるのである。

そこで、このデカカボチャの使い道を考えていた、育ての親である城島が
このカボチャ和紙を作ったのである。

これに清と達也が作った白菜和紙と杉和紙を加えて、計４種類の和紙が揃った！

一方、戸板を作り終えた達也と太一が何やら取りつけている。
これは「戸袋」と言い、雨戸を開ける時にその雨戸を締まっておく部分なのである。
この戸袋を作ったのは松岡。
戸袋だけが集まらなかったと聞いて、自分で作ることにした松岡。
実は意外な古材を使ってこの戸袋を作ったのである。

その古材とは、あのＤＡＳＨ村史上、最大の大事件であった「露天風呂崩壊」の時に外れた外枠に使われていたものだった。
作った城島本人も忘れていたこの古材を有効に活用したこの戸袋を
太一と達也が取りつけ、新たに柿渋を塗った雨戸をはめ込んでみる。
「あっ、雨戸もピッタリだね！」と仕上がりも上々。

最後の仕上げになった頃にはもう日も落ち、辺りはすっかり暗くなっていた
達也、太一、城島、清の４人で戸板に４種類の和紙を貼る。
大きさに合わせて和紙をカットし、貼りつける。
和紙の数が制限されているため、失敗は許されない。
八木橋の動向も気にしつつ、慎重な作業は続いた。

「よし、完成！」という男たちの声が村中に響いた。
正面にはまっている４枚の障子戸は、
杉のピンク、白菜の緑、カボチャの黄色、再生和紙の白が
見事に春夏秋冬を表現している。
その他の箇所にも、先人たちが作った遺産たちが見事に現代に蘇っていた
「心なしかあったかいよね！」「何か"家"って感じだよね」と完成にはしゃぐ４人。

この達也曰く「雨宿りするところ」から「人が生活できる住居」となった喜びを分かち合うために今夜も男たちの調理が始まった

かまどの上で嬉しい音をたてる食材たち…鍋の上を色鮮やかな野菜たちが踊る…
釜の中からは湯気を伴いながら純白の宝石たちが光り輝いている…

今夜のメニューは、
ＤＡＳＨ村で採れた野菜をふんだんに使った中華あんかけ
春菊のしゃぶしゃぶ
ごはん（ひとめぼれ）
味噌汁　　　　　　　　など

「美味―い！」「うぉーいしー！」「こりゃ、うんめぇな」などリアクションも様々。

本格的な冬が訪れる前に、何とか冬支度が間に合った。
去年の冬は、初めての経験にただ驚いた時間であったが、
この冬は万全の冬支度のもと、新緑の季節と共に創（はじ）める試みを
今から待ち遠しく思う男たちであった…。

日本家屋に使われている柱や雨戸の光沢を取り戻す為に使われた柿渋。
実はこれ、とーっても臭いらしいんです！
放送では達也さんも「臭っ！」と言っていましたが、
何というか酸っぱい臭いらしいのですが、実はこの柿渋のやっかいなところは、
一度肌に付くとなかなか臭いが落ちないそうなんです。

柿渋を塗る作業を主にやっていた清。
柱に塗っていた時はしっかりと注意していたらしいんですが、
悲劇は雨戸に塗っている時に起こってしまったのです！

「あっ！」気付いた時にはもう遅く、手にはたっぷりと柿渋がついてしまいました。
「清、臭ぇー！」「こっち来んなよ！」と散々だったそうです。

ロケ終了後、スタッフからも近づかれなかったらしく、
「やっぱり、私にはお前たちしかいないようだね…」
と、八木橋と北登に近づいた途端に吠えられてしまったそうです。

それから１週間、彼の体から柿渋の臭いは取れなかったそうです…。