DASH村だより 〜マサヨご懐妊?〜
清「ちょっと見ていただければ・・・」
太一「エッ?ウソ!?」
何やらDASH村の様子が騒がしい・・・
清「お腹のあたりが、ぷっくらと・・・」
と、清が指差すのはマサヨのお腹。
良く見ると、母の証である乳房も出てきているようにも見える。

お嫁に来て7ヶ月。遂にマサヨおめでたか?
本当におめでたなら、いつ産まれるのか?そして、八木橋は立派な父になれるのか?

そんな願いも込めて、男たちは青い空めがけて高らかに鯉のぼりを泳がせる。
遥か上空を泳ぐ鯉を見つめ、笑顔の男もいれば、マサヨと産まれてくる子供たちの無事を祈る男もいる。

一方、北登も悠然と空を泳ぐ鯉のぼりを興味津々の様子。
と、思ったら北登が見ていたのは村役場の前にある桜の樹。
実は今年の春、この桜の樹が大変なことになっていたのである…。
 
DASH村 〜桜物語〜

池の氷が溶け、アイガモたちの動きも活発になり始めたDASH村の遅い春。
今日も男たちは外で汗を流す、といってもいつもより顔色が少し違う様子。
男たちが集まるのは桜の樹。
村役場の前に堂々とそびえるこの樹は、ここがDASH村と言われるずっと前、
50年も前からこの土地を見守りつづけていた。
肌はひび割れ、枝も細り始めたご老体。

まだDASH村ではなかったこの地を訪れた城島、
それは2000年春のこと――――
何も無かったDASH村。
あるものといえば、役場とこの桜の樹だった。
みんなで役場を改修していた夏。
初めて野菜を収穫した秋。
そして、記録的大雪だった2001年の冬。
重い雪に負けないように、土に根を張り、じっと耐え忍んでいた。
やがて雪解け水と共にやってきた春。
素晴らしく美しい花を見事に咲かせることができたのだった。

だけど・・・
2002年になった冬のこと。
それは突然やってきた。
昼間、強風が村を襲い、夜中になってそれは嵐に変わり・・・
迎えたあくる日の朝。
真夜中の暴風がウソのように静まり返ったDASH村に響く、北登の鳴き声。
何かを訴えるような叫びに、異変を感じずにはいられなかった。
無残に折れていたのは桜の左腕。
慌てて外に出た清、変わり果てたその姿に、言葉を失い立ち尽くす・・・
折れた枝先には新芽が、春を待っていた。
もう二度と桜の花は見られないのか・・・
いや、そうはさせない、
男たちは静かに闘志を燃やしていた。

明雄さんと共に清が折れた枝を運んだのは洗い場。
冷たい雪解け水に浸して、枝の一命を取り留める。
だが、問題は残った主幹。
そういえば、以前明雄さんがこんなことを言っていた。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」
梅は切って伸ばすもの。
でも桜は切り口や傷口から菌が入りやすい繊細な木、という意味だった。

そんな木の大きな枝が折れたとなっては、元通りに戻すのは至難の業。
頭を抱える男たち。
一体どうすればいいのか・・・

清、何を思ったのか、主幹の折れた部分をのこぎりで切る。
その傍らには初めて見る一人の男性。
この人は植木職人、窪田和男さん。
実は清が木を切っていたのはこの人の指示だった。

清が切った木の断面は2つの色に分かれていた。
窪田さんによると、木の半分が死んでしまっていたらしい。
目に見えない間にここまで傷んでいた桜の樹。
しかし、窪田さんによると、この桜の樹は自ら枝を落としたのだという。
木は太い枝が折れたとしても、折れた部分の下の枝に
たくさんの栄養が行き渡るようになる。
この桜は生きるために傷んだ枝を捨て、新たな枝に命を託した、
ということなのだ。

男たちがこの桜の樹にしてやれること、それは主幹の切り口に防腐剤を塗って、
腐らないようにしてやることだった。
そして、栄養が行き渡るバランスを取るために、右腕も切って調節する。
慎重に枝を選別し・・・
太い枝もやむなく切り落とす。
残酷ではあるかもしれないが、この桜が長生きするための手段なのだ。

達也が右腕を切り落とす傍ら、清がやっているのはコケを落とす作業。
健康な木には成長するにつれ、自然とはがれていくものだが、
村の桜にはもうその力が無くなっていたのだった。

一方、折れてしまった左腕。
主から離れてしまった新芽たちが、生き延びる方法はないのか・・・?
実は、この新芽も春に花を咲かせる方法があるらしい。
細かい枝ごと新芽を切り取り、わらで束ねる。
その新芽、一体これからどうするというのか?

何とその方法とは、わらをさした土の中に埋めておくというやり方。
こうすることで、通気性が保たれ、
枝は枯れることなく眠ることができるらしい。
何でも、木は乾燥してしまうことを最も嫌うのだとか。
そのために、土で覆いある程度の空気が流れるようにわらで隙間を作る。
清「無事に生きててください」
桜の新芽にしてやれることはここまで。
あとは新芽自身が生き延びるために頑張るしかなかった。

そうして迎えた春・・・。
気象庁が桜の開花を発表し、いつもより早く満開になった今年の桜。
でも、村のつぼみはまだ固いままだった。

しばらくして、ようやく膨らんだのだが、どうも成長が遅い村の桜。
心配になって清が呼んだのは、樹木医・鈴木俊行さん。
村の桜、やはりどこかおかしかったのか?
先生の一言が気になるが・・・。
鈴木先生「かなりの重症ですね」
成長が遅かったが重症だとは、男たちも驚きが隠せない。
しかし、去年と同様、つぼみの数はたくさんついている。
これは一体どういうことなのか?
鈴木先生によると、樹とは生きるために花を咲かせるのだとか。
たくさん花を咲かせようとする村の桜は、元気なのではなく、
命の危機を感じているから、ということらしい。

そういえば・・・
城島が気になるのは、桜の根元。
蟻の巣があり、これも桜を弱らせた原因なのかもしれない。
しかし蟻自体、木に害を与えるものではなく、木を腐らせる菌を食べてくれる。
つまり、村の桜が腐っていることを教えてくれるシグナルだったのだ。

やはりこの桜は弱っていた。
そこで鈴木先生が取り出したのは木のハンマー。
木の幹を叩いて音を確かめる、「打診」を行う。
コンコン・・・
スポンスポン・・・
聞いてみると明らかに違う部分が存在する。
折れてしまった左腕の部分はこの空気が入ったような音。

もう一箇所、先生が指摘するのは幹の下のほうから生えてきた新芽。
これは本来生えることのない場所から出てきた「不定芽」といわれるもの。
言葉を話せなくても、ずっとSOSを送りつづけていた村の桜。
何とか元気になってくれる方法はないものか・・・

すると先生、根っこが見たいという。
ユンボで石をどかす、大作業。
さらに土を掘りつづけていると・・・
何と、養分を吸わなければならない根っこが腐っていたようだ。
より深い部分を見るために、根っこを傷つけないよう、水圧ポンプで土を除く。
何と土深くから見えてきたのは太い竹の根っこ。
DASH村の一角には竹の密集地がある。
桜の樹からは離れた場所にあるが、実は土の中ではその竹の根が真横に伸び、
桜の樹にも襲い掛かっていたのだった。
確かに桜の根元からは数本の竹が生えている。

太くて固い竹の根っこ。
これを除去したいが簡単に抜けそうもない。
力自慢の達也が格闘すること十数分。
やっとの思いで引き抜いた竹の根っこは約1mもの長さだった。
達也「これじゃ桜が負けるのも無理ないよ・・・」

竹の根っこを取り除いてようやく見えてきた桜の根は白くてとても細い。
桜の樹は通常地下30mのところで養分を吸う。
しかし、長い年月の間に土が積もり、根は窒息して腐ってしまった。
そこで新たな根、二段根を生やしたのだった。
二段根まで出して懸命に生きようとしていた村の桜。
しかし、そこに立ちふさがった強い竹の根。
どちらも生き延びるために、桜の根元に生えている竹を移植する事にした。
そして、この根っこに薬を塗る。
その薬とは木酢液。
DASH村の炭づくりで取れた、貴重な木酢液を根っこに吹き付けることで
桜の樹の生長を助ける。
貴重な栄養源として腐葉土を、
保水性や通気性を保つ、パーライトという白い石をかぶせる。
後は元気に花を咲かせてくれることを静かに見守るのみ・・・。

順調に土から栄養を吸っているのか、
あたたかい風とやわらかな日差しを浴びながら、
ふっくらつぼみが膨らんできた。
そして、一年の眠りから目を覚ますように花びらをいっぱいに広げる・・・
城島「咲いとる咲いとる。」
達也「咲きすぎてるくらい咲いてるね。」
春めいた青空に一際鮮やかに開いた桃色の花びら。
男たちもこれを見て胸をなでおろす。

そしてもう一つ。
忘れてはならないもう一つの仕事が。
土に埋めた、折れた枝についた新芽。
あれは今ごろどうしているのだろうか?
早速掘り返してみると・・・
あの新芽たちも土の中で無事に育っていた、
大切にして育ってくれた新しい命。
・・・そういえば、もう一つの新しい命はどうなったのか?

マサヨのおっぱいからは乳が出てきているらしい。
もしかして本当におめでた?!
そんなマサヨの変化を見つめていた太一と城島に、
ダンナ八木橋、深く嫉妬。
というより、マサヨを守ろうと、こちらを威嚇しているようだ。
角を研いで臨戦体制を整えている・・・

もしもそうなら、心配なのはおめでたのマサヨを、
八木橋と一緒にしておいても大丈夫なものか。
太一もそれだけが気がかりなようだ。
しかし・・・
それも要らぬ心配だったようだ。
寄り添うように体をすり合わせる八木橋とマサヨ。
おしどり夫婦のヤギ夫婦。
ともかく、マサヨにとっては大事な時期。
男たちは、そっと見守ることにした。

夫婦たるもの、いつかはやってくると思っていたマサヨのおめでた。
しかし、いつも側にいる清でも子どもがいるかどうかは、なかなかわからない。
果たして本当にそうなのか?
そのため、清はいつでもお産の準備ができるように
大量のタオルを抱えて寝るようになったらしい。
 
恐竜を発掘できるか!?

隊員の中でただひとり、首長竜化石未発見者であった城島も、とうとう首長竜の歯(らしき物)を発見し、大興奮!
さらに、青柳・神田両隊員も、相次いで歯の化石を発見!
出土ラッシュはまだ続くのか・・・


-155日目-

首長竜研究の第一人者である、群馬県立自然史博物館館長・長谷川善和博士の所にやってきた隊員たち。
首長竜の歯と思われる化石3本と、太一のナゾの化石を、博士に鑑定して頂く。

まず、城島と青柳隊員〔通称:ハンマー〕の掘り出した歯は、どちらも首長竜の歯であると結論づけられた。
ということは、神田隊員〔殿下〕の見つけた歯も首長竜の物か?
しかし、長谷川博士は「これは違う」と意外な言葉を口にした。
改めて先の二つと比較してみると、確かにこれは短く、太い。かなり頑丈そうだ。サメの歯とも違う。
では一体・・・?
隊員が固唾を飲んで見守る中、長谷川博士は「ソウリュウの歯でしょう」と推理する。
ソウリュウとは、漢字で書けば「滄龍」。英語で言えば『モササウルス』のこと。
中生代白亜紀の後期(およそ7000万年前)の海に生息していた大型の爬虫類で、通称『海の大トカゲ』。体長10mにおよぶ種もあるという。
陸上で進化を続けていたトカゲ類の一群が、再び水中に生息場所を求め、このような生物になったのだ。

「(首長竜に続いて)2種類も掘り出したよ!」と興奮を抑えきれない太一。
一方、「これだけではモササウルス(滄龍)と断定しにくいなぁ」と、まだ慎重な姿勢を崩さない長谷川博士。
すると太一は、「博士、もうひとつ見てもらいたい骨があるんですけど。首長竜にこんな骨は無いな、と思って…」と、さらに別の化石を差し出した。
長谷川博士は、「私を試す?」と苦笑しつつも、興味津々の様子。

太一が見せたのは、151日目に自ら掘り出した化石。
その後、神田隊員と共にクリーニングを行ったものの、どんな生物の、どの部位の骨なのか見当もつかないだけに、母岩(化石以外の部分)を完全に削り落とすことができず、クリーニングは不完全なまま。

化石を見て、おもむろにスケッチを始める長谷川博士。
高橋先生と鈴木先生も加わって協議した結果、いわき市の石炭化石館に行き、モササウルスの復元模型と照合してみることに。

石炭化石館でに着き、早速、神田隊員の掘り出した歯を、モササウルスの実物の頭骨化石の歯と比べてみたところ、喉の近くの歯と、ほぼ完全に一致!
長谷川博士の推測通り、モササウルスの歯であると断定された。

では、太一の掘り出した奇妙な化石は、どうなのか?
太一が、「博士、あれでは?」と、モササウルスの"後ろ足の付け根の骨"を指し示す。
長谷川博士も「似てることは似てるね…」とつぶやいたが、よく見比べてみると、形状が微妙に異なるのが分かる。
結局、今日も、正体は分からずじまいだった。
長谷川博士も「まずは完全にクリーニングしてからだね」と語る。

発掘隊をここまで手こずらせるナゾの化石。その正体が判明するのはいつの日なのか・・・


-156日目-

いまだに正体が判明しないナゾの化石を、神田隊員が慎重にクリーニングする。
苦闘すること6時間、ようやくクリーニングが完了し、化石全体が姿を現した。
いよいよこれで、正体を突き止められるのか!?


-157日目-

神田隊員は、昨日クリーニングを終えた化石を手に、群馬県立自然史博物館の長谷川博士のもとへ。橋本隊員〔トモちゃん〕と、自称"隊員一の強運の持ち主"である金子隊員〔ラッキー〕が同行する。

化石をしげしげと見つめた長谷川博士は、「形から見て、首長竜ではないですね」と断言した。
では、155日目に判明した歯に続いて、これもモササウルスの骨なのか!?
隊員3人の期待が膨らむ。
英語で書かれた分厚い専門書を取り出し、化石と比較する長谷川博士。
そして・・・「モササウルスと考えていいと思う」。

ついにナゾが解けた!
151日目に太一が掘り出し、神田隊員と共にクリーニングを行った化石は、モササウルスの骨盤の一部だったのだ。

隊員が発掘作業をしているあの川一帯は、今から数千万年前には海であった。
そして、首長竜と共に、モササウルスも悠然と泳ぎ回っていたのだ。
だが、両者の化石が同一地点で発見されるのは、極めて珍しいという。
化石研究歴50年の長谷川博士も、「私も初めての体験ですね」と感嘆。


-159日目-

今日は、発掘班とクリーニング班に分かれて作業を行う。
ナゾの化石はモササウルスの骨盤であった、との報告を聞いて、これまで以上に気合いが入る太一と城島。また新たな生物を! と、川でエアピックを操る腕にもカがこもる。

一方、本部でクリーニング作業を行っていた神田隊員に、またもや幸運の女神が微笑んだ。
5cmほどの大きさの岩を割ったところ、断面から黒く光る歯化石が出てきたのだ。その岩は、モササウルスの骨盤化石が発見された岩盤の、すぐ下から掘り出された物。
ということは、これもモササウルスの歯なのか?
神田隊員は、長谷川博士のいる群馬県立自然史博物館へと急いだ。

化石を見た長谷川博士は、「よく見つけたね!」といたく感心した様子。
博士が着目したのは、歯が埋まっていた母岩。歯と接していた面が、金色に光り輝いているのだ。
「黄銅鉱がついてるね」。
この黄銅鉱(おうどうこう)とは、銅・鉄・硫黄の化合物の事。

博士の鑑定により、この歯はモササウルスの化石であると判明。
モササウルスの化石は、これで早くも3個目となった。


-169日目-

発掘開始からまもなく半年。
これまで掘り当てた化石を、本部に並べてみる。
首長竜とモササウルスの化石だけでも、なんと52点!
琥珀や植物、貝、魚などの化石に至っては、もう数え切れないほど。
「最初は全然出なくて苦労したのにね…」と感慨深げな太一。


-174日目-

今日は全隊員が川原に出て、発掘作業を行う。
新たな化石を求め、そして『新種発見』という最終目標を達成するために。
城島は自信ありげに、「なにか出そうな予感が・・・」と口にする。
予感は的中するのか? はたして…

長谷川博士のいる群馬県立自然史博物館にうかがった時のこと。
持参の化石を鑑定して頂いた後、どこで食事にしようかと思案する隊員に、長谷川博士は、「館内の喫茶店に美味しいモノがある」と、教えてくれた。
空きっ腹を抱えた隊員は、迷わずその喫茶店に向かう。
博士おすすめのメニューは、その名も『恐竜カレー』!
器の形は、なんとティラノザウルス!
おまけに、カレーの具もティラノザウルスの肉!!・・・であるはずはなく、きわめてまっとうな、実に美味しいカレーであった。

それにしても、恐竜の肉って、一体どんな味がするのだろう?
以前、「恐竜の皮膚化石」を見たことがある某隊員によると、それはちょうど"鳥皮"のように、表面がブツブツしていたそうだ。
ならば、味の方も鶏肉ソックリなのだろうか?
だとしたら、映画のように大量に養殖して、『恐竜のフルコース』なんていうのも堪能してみたいものだ。

そんな妄想はともかくとして、群馬県立自然史博物館へお立ち寄りの節は、ぜひ『恐竜カレー』をお試しあれ。