2014年3月9日 放送内容DASH海岸 ~東京湾の深海魚~

都心では、45年ぶりの記録的な大雪となった今年の2月。
一面の銀世界となったDASH海岸の水に、この時期ならではの変化が。
城島「水が澄んでるね」
水温が下がる冬は、海中に漂うプランクトンが少なくなり、水が濁りにくいため、透明度が増す。
そこで、手作り観測船『ウミンボ』に乗り込んで、海中調査を開始!
2つのゴムボートの間に、水中を覗くことできる透明なアクリルで出来た箱を取り付けた。
これで、海に入ることなく、海中の様子を見る事ができる。
達也「めっちゃキレイだね」
『ウミンボ』を漕いでやって来たのは、1か月前に発見した、オゴノリが大量に生えている地点。
しかし、何やら様子がおかしい。
城島「白っぽい…死んでる?」
通常のオゴノリは、赤みがかかった色をしているが、この日のオゴノリは、全体的に白っぽくなってしまっていた。
海の専門家の木村さんは、すぐにその原因がわかった。
木村さん「水中に雪みたいのが漂ってるでしょ?マリンスノーです」
正体は、プランクトンなどの有機物の死骸。
そのマリンスノーがオゴノリに積もっていたため、オゴノリが枯れたように白く見えていた。
そんなマリンスノーは、海の生き物にとっては、寒い冬を乗り切るための大切な栄養源。
オゴノリの近くを漂っていたのは、カミクラゲ。
木村さん「春になる頃に一番最初に現れるクラゲです」
さらに、海底を這っているナマコも発見。
先端に口があり、大きく開けて無数の触手を出し、海底に積もったマリンスノーを砂ごと食べ、砂は綺麗な状態で排出する、海のお掃除屋さん。
さらに、城島が発見したのは、イッカククモガ二。
体長わずか2cm程の小さなカニだが、その特徴は、
城島「体にマリンスノーがついてますね」
体中に付いたマリンスノーをびっしりとつけ、それを掻くようにしてハサミを器用に使って取って食べる。いわば保存食のようなもの。
そして、マリンスノーは迷彩服代わりにもなり、外敵から身を守る事もできる。
このイッカククモガニは小さいが、木村さんによると、
木村さん「東京湾には世界最大級のカニがいますよ」
その巨大ガニがいるのは、DASH海岸に漂うマリンスノーが行き着く先の、横浜からわずか20kmの東京湾の入り口。
そこには、深さ200m以上の深海、その名も東京海底谷があるという。
その深海に世界最大級の巨大ガニがいるという。
木村さんの案内でやってきたのは、千葉県富津市。
今回お世話になるのが、東京湾で唯一の深海魚・漁師の手嶌久雄さん。
達也「深海魚獲れますか?」
手嶌さん「獲れますよ。200~350mくらいの所にいますよ」
早速、船でその深海に向けて出発。
深海の入り口付近は、船の往来も激しく、海上交通の要衝。
ポイントに到着し、城島が取り出したのが、ステンレス製深海カメラ。
水深200mでは、水圧がかかり、一般的な水中カメラは壊れてしまう。
しかし、この深海カメラは、そんな水圧にも耐える事ができる。
発泡スチロール製のリーダー人形を搭乗させ、いざ謎多き深海へ!
深海カメラを海へ投入し、どんどん潜らせ、あっという間に水深は110m。
だんだんと光が届かなくなり、150mほどで真っ暗に。
カメラの上にライトは付いているのだが、照らすべき対象物が無いため、
達也「もう何も見えない」
そして、海底の到着。深さは200m。
堆積していたマリンスノーが湧き上がる様子がバッチリ映されていた。
DASH海岸などのある東京湾の浅い所で生まれたマリンスノーが、最も深いこの部分に流れ落ちて来た、という事。
木村さん「これだけマリンスノーがあれば、栄養がたくさんあるという事」
そして、海底では、キホウボウの仲間や、クモヒトデの仲間、チゴダラ、コウイカの仲間などの深海に住む生き物たちの姿が。
豊富なマリンスノーをエサに、数多くの生き物たちが生息している事がわかったが、目当てだった巨大ガニの姿は発見できず。
そこで、さらに水深の深い場所へ移動する事に。
引き上げたカメラに乗せていたリーダー人形は、水圧によって縮んでしまっていた。
船が向かった先は、3日前に手嶌さんが網を仕掛けた、深海270mの真上。
手嶌さんが行う深海刺し網漁は、長い網を降ろし海底にカーテン状に設置し、暗闇の中、その網に絡まった魚を獲るというもの。
その中に巨大ガニが掛かる事があるという。
電動ウインチで網を巻き上げること10分、
達也「さぁ何がかかるか。いるかな、巨大ガニ」
網にかかっていたのは、ニチリンヒトデ。
このヒトデは、太陽のように見える事からこの名前で呼ばれるが、個体により、足の様なでっぱりの数は、バラバラ。
続けて、網にかかっていたのは、ゴカクヒトデ科のヤマトホシヒトデ。
手嶌さんは、その形から「五稜郭」と呼ばれ、また、その名前から合格祈願のシンボルとして展示している水族館もある。
さらに網を引き上げていくと、巨大ナメタガレイが!
カレイの中でも最高級品として知られ、1匹1万円以上の高値が付く。
城島「見た事無いヤツばっか獲れる」
その後も、煮物にすると美味しいエンザラ、右のハサミだけ大きい
サガミクリツノガニなど様々な深海魚が揚がるが、巨大ガニの姿は見えない。
すると、網に掛かったのは、アカザエビ。
イタリア料理やフランス料理では「スカンピ」とも呼ばれる高級エビ。
築地市場では、1匹8000円以上することも。
手嶌さん「アカザエビが掛かったって事は、大きなカニも近くにいる」
このアカザエビは、巨大ガニと同じ環境に暮らしているという。
達也「カニ来ないかな~」
と、言った矢先、姿を現したのは、想像をはるかに超えたサイズの巨大ガニ!
城島「なんやコレ!重い!」
その巨大ガニの正体は、現存する世界最大の節足動物、タカアシガニ。
しかし、よく見ると足が2本抜けてしまっていた。
足がすべて揃っている状態なら、数万円はする高級品!
実は、深海にも天敵となるサメなどがおり、襲われ、足を失ってしまうことも少なくないという。
タカアシガニは食べると旨いが、滅多に獲れないため、大都市に流通することは少ない。
続けて獲れたタカアシガニは、足も全部そろっていて、さらに大きさは達也の身長とほぼ同じ。
手嶌さん「今年一番の大きさ」
達也「改めてすごいな、東京湾」
この日、網に掛かったタカアシガニは2匹。
手嶌さん「食べてみる?」
手嶌さんは、資源保護のため深海から減らない程度の量を地元の旅館に卸しているという。
やって来たのは、創業160年の老舗旅館『かぢや』。
この旅館の名物は、手嶌さんが獲った新鮮な深海の生き物たち。
獲れたてのタカアシガニの1番美味しい食べ方を料理長の黒川さんに教えて頂く。
まずは、足の付け根をハサミで切り取り、鍋で湯通し。
10秒ほど、湯にくぐらせると、スポッとキレイに身を抜く事ができる。
城島「これは大きい!」
この巨大剥き身にオススメの食べ方は、
黒川さん「今日はしゃぶしゃぶにします」
ポイントは、身にしっかり出汁が浸みるように、包丁で切れ目を入れる事。
出汁作りも深海にこだわり、アカザエビと昆布で旨みを十分に引き出す。
出汁を取っている間に、もう一品。
カニの甲羅を腹と分けて、カニ味噌が入った甲羅をそのまま網に乗せて温める。
達也「初めて見た、こんなの」
その甲羅の中に、ほぐしたカニの身、冷や飯を入れ、仕上げに地元名産の香り豊かな高級ノリ、ハバノリをかければ、タカアシガニの味噌雑炊の完成!
達也「超いい匂いがする!」
そして、ダシも良い感じに出来上がったところで、お待ちかねの深海しゃぶしゃぶ。
特製ダシにくぐらせ、カニの身が花が咲いたように開いたら良い頃合い。
そのまま、味付けせずに豪快にかぶりつく!
城島「美味しい!甘い!」
続けて、カニみそと身の旨みが米に絶妙にマッチした雑炊。
達也「これは美味い!これは、キング・オブ・雑炊!!」
東京湾の深海の神秘と、そこから生まれた絶品の味を堪能できた。
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