2018年1月28日 放送内容 DASH海岸

神奈川県横浜市にある、横浜市歴史博物館。
その館内には、1万年以上前に作られた縄文土器、
1500年前の埴輪などが展示されている。
そして、それらの横に飾られているのが、
古代の東京湾で使われていたと思われる、サメの歯を使った漁具。
これを作ったのは、TOKIO。
去年10月、TOKIOが釣り上げた、体調3mにもなるヨシキリザメ。
こいつを釣り船丸十丸の小菅船長が、頭の部分の肉を削ぎ、2時間煮込んで、
顎と歯だけにして送ってくれた。
改めてその歯を見てみると、骨の内部の空洞にたくさんの歯が。これは、
木村さん「どんどん生え替わってくるんですよ」
サメの歯は、一生のうち約6万本生え替わる。
一週間単位で新しい歯に入れ替ることで、鋭い状態を保ち、
いつでも獲物を襲うことができる。
そして、さらに進化を遂げたヨシキリザメの歯は…
城島「鋭いね。上の歯はステーキ屋さんのナイフみたい」
達也「ギザギザ」
つまり、刺して切る事に優れているということ。
それを見てピンときた。
達也「銛とか?」
木村さん「実際に大昔に銛で使ってたらしいですよ」
それは縄文時代のこと。
サメの歯が銛として使われていたらしい痕跡が遺跡から出土しているが、
その銛の形、使われ方などは、未だに解明されていない。
そこでお呼びしたのが、木村さんの学者仲間で、
横浜市歴史博物館の学芸員であり、25年にわたって
様々な漁具を発掘する、日本の銛研究の第一人者の高橋健さん。
高橋さんによると、サメの歯が"返し(抜けない為の引っ掛かり)"の役割を
果たすように、木の側面に埋めるようにして固定し、先端にも歯を付けていた
ような形状だったのでは、とのこと。
縄文人はこの銛を使ってクロダイやスズキだけじゃなく、
巨大なクロマグロも獲っていたというが、あくまでも仮説。
実際に魚を突けるかを実証した人はいない。そこで…
達也「縄文人になろうぜ」
こうして始まったサメの歯の銛づくり。
まずは、サメの歯をペンチで抜き、抜いた歯を改めて見てみると、
高橋さん「サメの歯の表面はエナメル質で硬いんです」
その硬さは硬度7で、なんと鉄よりも硬い。
達也「強いは強いね」
さらに鋭くする為、紙ヤスリで磨いて、歯垢と汚れを落とし、ピカピカに。
達也「どれくらい切れるか?」
試しにペットボトルを切ってみると、
軽く力を入れただけでスパッと切れるほどの切れ味に!
達也「人の肌だったら、ひとたまりもない」
続いては、銛の柄となる木材探し。見つけたのは、
高橋さん「樫ですね。水にも強い」
その見つけた樫を、細く削って柄にしていく。
高橋さん「今回のことは、学術的にもすごく価値のあることだと思います。」
「サメの歯で銛を作るのは、私の知る限り、初めての試みで、
実験考古学的にも意味のある試みです」
こうしてできた柄に、歯をはめる溝を作る。
ここからはまさにミリ単位の作業。
歯の形に合わせながら、ノコギリ・彫刻刀だけで慎重に樫を削っていく。
ぴったりとハマるよう調整を繰り返し、銛の先端の完成!
水の力で木が膨張して締め付けるので、接着剤を使わなくてもがっちりと
固定された。
さらに柄の側面にも歯をはめて、サメの歯の銛の完成!
達也「かっけー!」
木村さん「まさにどこかの遺跡から出土してきたような感じ!」
高橋さん「実際にこれで魚が獲れたら、うちの博物館にも貸してほしい」
実際に使えるかどうか試すのは、東京湾の入り口の城ヶ島。
お世話になるのは、城ヶ島漁協の甲田豊さん。
10年の修行を経て、東京湾で数少ない銛使いの名人になった。
そんな名人に、サメの歯の銛を見て頂く。
甲田さん「しっかり歯が固定されて、先が尖ってて痛いですね」
そんな甲田さんが普段使う銛の長さは、なんと7m。
甲田さん「城ヶ島では、“ぼうちょう漁"って呼び名ですね」
およそ400年続く伝統漁法。透明度の高い冬の時期に深場の獲物を狙う。
そこで、長さを足すため、サメの歯の銛を延長させる。
船底が低い2人乗りの小型船に乗り込み、早速海へ。
達也は、甲田さんの船に乗り込み、一方、城島がコンビを組んだのは、
2年前にもお世話になった、城ヶ島漁協の石橋英樹さん。
城島と同い年なのに8人の子供をもつ一家の大黒柱。
港から10分で狩りのポイントに。海を覗いてみると、
達也「岩場だ。深く落ち込んでる所がある」
甲田さん「こういう凸凹した所に、魚がいます」
箱メガネを担当する達也が、早速発見!
達也「岩盤の下の所にタコがいる」
甲田さん「このサメの銛でちょっと探ってみます」
甲田さんが銛で突いてみると、達也の言う通り、岩にへばりついたタコが!
しかし、タコは全身筋肉でむきむきのマッチョマン。
銛に強度が無ければ折れてしまうため、サメの歯の効果を試すには絶好の相手。
そして、見事、甲田さんがタコを突いた!
しかし、問題はここから。タコは異物を自分の筋肉を使って弾き出そうとする。
サメの歯の銛は、壊されずに、銛としての機能を果たせるか?
タコを海面に上げるのも問題なく、突いた後も壊れることがなかったサメの歯の銛。
甲田さん「強いですね、サメの歯」
甲田さん「いいですね。自家用に一本欲しいくらいですね」
一方、城島と石橋さんの47歳組が見つけたのは、ハコフグ。
警戒心が薄く、岩陰に隠れる事はほとんどない。
その理由は、進化の過程で、鱗を硬くし骨状になった体。サメの歯も通さない。
石橋さん「これじゃ突けねえな」
城島「ヤスだと挟めますか?」
それは、銛作りの時に作っていた、銛の種類の一つのヤス。
サメの歯の返しがついた木を4本束ねたもので、その先でガシっと、
クレーンゲームのように魚を掴んで捕まえる。
折れたり抜けたりせずに掴む事ができるのか?
石橋さんが狙いを定め、ハコフグへ一直線!
そして、こちらも見事捕まえることができた!
石橋さん「返しがうまく引っかかって獲れた」
ハコフグは、箱型の骨をそのまま容器にして食べる味噌焼きが絶品だが、
毒があるため、調理には免許が必要。
さらに達也が、エイを発見!
かつて東京湾でも、見突き漁で沢山取られていたエイ。
今回も、見事一発で獲物を突いて見せた甲田さん。しかし、
達也「返しが一本取れちゃった」
エイを引き上げる際に、サメの歯が取れてしまった。とは言え、
甲田さん「エイの皮は硬いからね」
木村さん「刺せて立派ですね」
獲れたのは、ヒラタエイ。
横浜DASH海岸にもいるアカエイとの違いは、尾っぽの形。
長い毒針を持ち、最悪の場合呼吸困難にも。
関東では、あまり食べられていないが、
その味はアカエイよりも甘みがありジューシーだという。
そこで港から5分の、TOKIO馴染みの宿「民宿 さんご荘」へ。
今回も調理していただくのは、城ヶ島の地魚にこだわり、
魚の持つ旨さを引き出すプロの青木良勝さん。
ちょうど今が旬だというヒラタエイをさばき、ヒレの部分を使う。
そんなヒレを使った料理の一品目は、片栗粉を軽くまぶして油で揚げ、
醤油・酒・砂糖・ケチャップで作った特製のタレを絡めて作った、
『餡かけから揚げ』。
城島「おいしい!サクサク!」
達也「うまいね」
そして、もう一品が、『ヒラタエイの煮付け』。
木村さん「美味しいですね」
石橋さん「美味すぎて僕には足りません」
達也「お子さん何人いるんでしたっけ?」
石橋さん「8人です」「同級生ですから、(リーダー)頑張ってください」
城島「まだ独り身ですもん…」
そして後日、番組宛に横浜市歴史博物館からの依頼が。
これまで誰も試したことがなかった縄文時代の銛で獲物が捕れた、と聞いて、
今後の研究、博物館の展示のために使わせてほしいとのこと。
こうして、TOKIOが作ったこのサメの歯の銛が、今後の研究に活かされ、
未来に残していくこととなった。
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