約3cm四方に割れた穴。
遠目に見ても壊れているとわかるほど、大きく危険な破損箇所。
大きなつれたか丸に対してたった3cmの穴は小さく感じられるが、水の圧力は凄まじく、数tという海水が瞬く間に流れ込んでしまう。
しかも、水圧で穴が広がることも考えられる。
このままでは浮かぶどころか、沈没してしまう。

修理前

水が浸入するには
十分すぎる穴

修理後
完全に埋まった



「穴」修復作業
 

埋めた材質がしっかり結合するためにも、破損部分を平らにしなければならない。

まず、破損部分をサンダーと呼ばれる電動やすりで削る。
船体のキズが平らになったところでパテで隙間を埋める。

 

ここに樹脂とガラス繊維を交互に6層重ねていく。

この樹脂とガラス繊維が重なり合い、固まった物がFRPと呼ばれている。

 

だが、樹脂を塗る時に混ぜる、硬化剤の比率は非常に微妙。
少し間違ってしまうと塗る前に固まったり、塗っても固まらなかったりする難しい作業。

果たして上手く穴は修理できるのか。

 

しかし、丁寧に樹脂を塗り、完全に固まると、
ちょっとやそっとでは壊れない丈夫なFRPの完成。


ここで使用したのはFRP(繊維強化プラスチック)という材料。
FRPとは、あまり日常生活で聞き慣れない言葉。
だが、実は身の回りにはたくさんのFRPが使用されていて、家の浴槽、プール、車の車体にも使われている。
意外に身近なところで使われていたFRP。
船体も例外ではなく現在は、ほとんどの船体がFRPで作られている。