津軽の海に完膚無きまでに叩きのめされた前回の反省をふまえ、完璧な防寒対策で漁に臨む。 長瀬船長も僕たちも、重ね着すること９枚！ ダルマのように膨れているが、外見なぞ気にしている場合ではない。 朝７時に龍飛漁港を出発。気温は−８℃。 しかし、波は至って静かで、漁をするにはうってつけの日だ。 前回は足をやられたディレクターも、今日はベタに“津軽海峡冬景色”を口ずさんで上機嫌。 …などと喜んでいたのも束の間、沖に出るに従って天候が崩れ始め、波も高くなってくる。 いつしか、ジェットコースターのように大きく揺れる つれたか丸。 船体のいたるところから、ギシギシとしなる音。寒さと恐怖で、皆の顔がひきつる。 とその時、頭上から、赤茶色の物体が降ってきた！ なんとそれは、つれたか丸の錨（いかり）。 舳先（へさき）に積んであった錨が、荒波の勢いで吹っ飛ばされたのである。 これ以上沖に出るのは危険と判断したディレクターは、牧野さんと相談、港に戻ることを決めた。 幸いにも、船体に傷は無く、長瀬と僕たちにも危険は無かったものの、 津軽の海は、あまりにも過酷な試練を与え続けるのであった。