ミノの強度は極めて頑丈で、カマキリなどの肉食昆虫や鳥などが切り裂こうとしてもあきらめる事が多い。またミノの役割は、外敵からの防御効果の他に、内部の調温効果もある。
(ミノの内部はフェルト状になっていて、空気を溜める構造)
■ミノムシの一生■
■冬
ミノ内部で頭を上にした状態の幼虫が冬眠。
■春〜初夏
冬眠から目覚め、やがて頭を下に向けると、7月頃までに、幼虫〜サナギ〜成虫へと脱皮していく。
羽化
雄は羽化して成虫になると、大きさ23〜26mmの翅を広げてミノから出て飛び立つが、雌は成虫になっても翅を持たず、一生ミノから離れる事はない。
(成虫の体の構造は、子孫を残す目的のみに特化されているため、雄、雌ともに口は無く、唯一口のある幼虫期に蓄えた栄養のみで活動。更に雌の体は、羽や口、手足はおろか、目などの感覚器すらない大きな蛹のような姿。)
■夏
交配
雌の出すフェロモンを頭の触角で感知した雄が引き寄せられる様に飛来。
ミノの底部にとまった雄は、腹部を3倍以上に伸ばして、雌の尻部まで差し込み、約20分かけて交尾を行なう。(交尾は決まって夕方に行われ、ミノガの種類によってフェロモンの成分が異なるため、異種交配はおきない。)
産卵
雌は交尾が終わるとすぐミノの中に約3000〜4500個の卵を産み、体が約1/3に縮む。
孵化
約2〜3週間で卵が孵化。親はここで役目を終え一生に幕を閉じる。
生まれた時点での新たな幼虫の大きさは約1〜2mm程度。
分散
やがて孵化した幼虫たちは、口から吐いた糸をミノに付着しぶら下がり、各々がエサ不足にならないよう、風を利用し広範囲に分散。
分散後すぐ葉や小枝の表皮を噛み砕き、糸で固めてミノを作り、体に纏う。
その作業時間は30〜60分程度。
■夏〜秋
それからの2〜3ヶ月間は、ミノを纏ったまま歩いて、或いは糸でぶら下がって移動しつつ、葉や枝を食べながら7回ほどの脱皮を繰り返す。
体が大きく成長するとともにミノも大きく補修していき、冬前に安全な場所を定め、そこでミノを閉じ、糸でしっかり固定し冬眠を向かえる。