谷津田では、後ろの山が小さいと、日照り続きのときに湧き水が涸れてしまうので、谷頭にため池をつくります。湧き水の量が多い場所ではため池がなく、湧き水が冷たい場所では水を暖める浅い池(温水ため池)があります。地域によってこうした違いがあるものの、谷に沿って細長く続く田んぼと、谷の斜面をおおう林は共通しています。
多くの生き物はいくつかの環境を組み合わせて使いながら生きています。しかもその環境の組合せが重ならないようにすみわけています。そのためこの組合せが多いほどたくさんの生き物がすめることになります。里山では林、水路、田んぼが組合わさってできています。それは人が生活するうえで必要な構造だからです。このような環境の組合せがいろいろな生息場所(ハビタット)をつくりだし、たくさんの生き物がそれらを組み合わせて使い、すみわけてきたのです。
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