畑の必需品〜鍬(くわ)

土地を耕すときや畝(うね)を立てるとき、また整地作業などに使われる鍬は、
農具の中でも最も多い用途を持つものだ。

その歴史は古く、縄文時代にまで遡る。
縄文時代の平手遺跡(長野県)には、刃を尖った石でつくった打製石鍬が、
さらに、弥生時代の登呂遺跡(静岡県)からは刃の部分も木製の鍬が、
その後、刃が鉄製の鍬が大陸から伝来し、
平安時代には農具の中で一番重宝される存在になった。

 
鍬は用途により、「打ち鍬」「引き鍬」とに分けられる。
打ち鍬は、土を掘り起こす時に使われる。
打ち込みの衝撃に耐える為に、刃は重く頑丈につくられており、
固い土壌でも耕せるように刃先の方がやや狭くなっている。
一方、引き鍬は土寄せなどに使う。
刃は軽く、土地をならしやすいように、平べったくなっているのが特徴。

打ち鍬
引き鍬
備中鍬

この他にも、雨の後など土が湿っているときや、水田でも使える鍬として、
「備中鍬」がある。
これは、刃がフォーク状に分かれており、
湿った粘質の土の粘着抵抗を少なくするために開発された物である。
その名の通り備中(岡山県)で発明されているが、
この地方も粘質の土だったことから誕生した。

DASH村では、他のものに比べて万能な引き鍬を使っている。
明雄さんの「マイ鍬」も引き鍬で、掘ったり盛ったりと自由自在に使いこなし、
70歳を越えているとは思えない驚異的なスピードで、作業をこなしていく。

明雄さんによると、
鍬を使いこなすコツは「縦に深く入れるよりも水平に入れること」だという。
適度な量の土をいかに地面に水平に差し込むかがポイントなんだとか。
 



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