明雄さんのにっぽん農業ノート

  • 宮崎県は九州の東部に位置し、総面積7,735k㎡のうち森林が76%を占め、農地は9%。
  • 気候は温暖で、平均気温は17.2℃と高く、日照時間、快晴日数は全国トップクラス。
  • 温暖多照な恵まれた気象条件を活かした完熟マンゴー、完熟きんかん、日向夏といった宮崎ならではの特徴ある果物の生産が盛ん。
  • 宮崎牛や地頭鶏(じとっこ)などのブランド肉が有名で、食肉の飼養頭数は全国で牛が3位、豚が2位、鳥が2位となっている。
  • 太平洋に向けて広がる約200キロにも及ぶ海岸線は、さまざまな種類、サイズの波を年間を通して楽しむことができ日本におけるサーフィンの聖地とされている。
  • 2007年に宮崎県知事に就任した東国原英夫氏。「宮崎をどげんかせんといかん」を合い言葉にマンゴーや地鶏などの県内産品を大PR。知事のキャラクターまで出来る程の宮崎ブームとなった。

宮崎県のキュウリ

宮崎県におけるキュウリの生産の歴史は古く、昭和28年ごろ宮崎市で傾斜地を利用し栽培が始まった。収穫量は日本一。

キュウリ農家
荒川 大輔さん (27歳)

小学4年生の頃からキュウリ農家であるご両親に憧れ、小学校の作文にもキュウリ農家になりたいと書いていた。高校時代は、陸上の三段跳びでインターハイや国体に出場する程のトップアスリートで多くの大学から推薦もきたが、それを断り、農業の道へ進んだ。

キュウリのトゲ

  • キュウリは鳥や動物に食べられない様にトゲがあると言われている。
  • キュウリのトゲは触ると簡単に取れてしまい、そこから水分が抜けてしまう為、キュウリ農家は、なるべくトゲに触れない様に収穫している。
  • 逆に、熟したキュウリは、鳥や動物たちに種を遠くに運んでもらう為、とげがなくなる。

キュウリの水分

  • 果実はほとんど(96%)が水分で、世界一カロリーのない野菜とも言われている。
  • 新鮮なキュウリ程水分が多く、折ってその断面をくっ付けると吸着する。

収穫爪

  • キュウリ等の野菜を片手で収穫できる便利な道具。
  • ハサミで切るよりも早く収穫する事ができる為、多くの農家さんが利用している。
  • 安全ガード付きでケガをする心配もない。

明雄さんメモ

折ってもくっ付くのは、昔から知ってたけど、ギロチンは初めて知ったなあ。あれはハサミを持ち替えたりしなくていいから、便利だな。

ワンタッチきゅうり

ハウス内で厳選したきゅうりを収穫しながら箱に詰めて出荷するため、産地で触れるのは収穫時の1回きり。このことから“ワンタッチ"というユニークな名前がつけられた。店頭でも箱を開封してそのまま販売されるので、2度目に触れるのは消費者ということになる。

接ぎ木栽培

  • 地上部には品質の優れたたくさんの実をならせ、地下には病害に強い根を生やす為に生まれたのが、「接ぎ木(つぎき)栽培」。
  • 根が丈夫で病気に強いカボチャの苗にキュウリの苗を接ぎ木する。
  • 市販されているキュウリの9割以上がこの「接ぎ木栽培」で生産され、今では、農薬を減らし、安全性を高める面からも、接ぎ木は欠くことのできない技術となっている。
  • また、最近では接ぎ木を自動化するロボットも開発され、約2秒で接ぎ木作業を行う事が出来る。

明雄さんメモ

  • キュウリは種から育てた事しかないから、接ぎ木されてることは知らなかった。
  • 昔のキュウリは強かったから、接ぎ木をしなくても病気になんてかかった事なかったな。トマトも今はハウスが主流だけど、露地で栽培してたんだ。
  • 種は自家採種して、代々受け継いでたんだ。根っこに近いものを選別して、大きくして採ってた。
  • 昔のキュウリは、固かったけれど、味が濃くてうまかったな。よく塩を付けて食ったぞ。

綾町役場 農林振興課
田代 ハマ子さん (63歳)

  • 綾町の伝統的な料理に詳しく、調理師と野菜ソムリエの資格を持っている。
  • 夏場は毎朝、冷や汁を食べている。

冷や汁

  • 宮崎地方、特に農村部でよく食べられる即席のかけ汁。
  • もともとは焼いた味噌を水で溶いて、畑にあるキュウリや青じそ等を刻んで浮かべ、麦飯にかけて食べていた。
  • 農繁期など忙しい時期に手間をかけずに食べられるように工夫されている。
  • イリコとゴマと味噌をすり鉢ですり合わせ、これにお湯を入れてダシを作る。このダシに輪切りにしたキュウリ、ネギ、シソ、豆腐をを加え、冷やしてご飯にかけて食べる
  • 麦飯とも相性が良く合う。

  • マンゴーはチェリモヤやマンゴスチンとともに世界三大美果の1つに数えられている果物。
  • インド東部やミャンマーでは約4000年前から栽培が行われていたといわれている。
  • 日本に登場したのは明治時代で、国内で本格的な栽培が始まったのは1970年頃。

宮崎県のマンゴー

  • 宮崎県は沖縄に続いて、マンゴー生産量は2位。国内の3割程を生産している。
  • 宮崎県独自のブランドで、「糖度が15度以上」、「重さ350g以上」、「色と形がきれい」という厳しい基準を満たした完熟マンゴーだけが「太陽のタマゴ」として販売。
  • 収穫前に実にネットをかぶせ、実が自然落下をするまで待って樹熟してから出荷される
  • 手間がかかる分、価格は高めだが甘みの強さと高級感から贈答品としてよく利用されている。
  • 4月~7月が旬。

マンゴー農家
JA宮崎中央 高岡支部長
中水流 修さん (58歳)

マンゴー栽培歴は20年。音楽が趣味で洋楽からJ-POPまで幅広く、マンゴー栽培のビニールハウスでは、大音量で流している。3年前からは社交ダンスも始めた。また、夏場はハウスが暑くなる為、上半身は裸で海水パンツのみを身につけ作業している。着替え用の海水パンツは9枚もある。

完熟マンゴー(ネット栽培)

宮崎県でマンゴー栽培が始まった当初はマンゴーが完熟になる前に収穫していたが、なかなか美味しいマンゴーができなかった。しかし、ある年たまたま自然落下したマンゴーが、それまでにないおいしさだった事から、樹上で自然落下するマンゴーをネットで受け止める完熟マンゴーが生まれた。今では、宮崎県内の全てのマンゴーがネットをかけて栽培されている。

温度管理

  • マンゴーの栽培は温度管理が大切で、実なりの時期は常に24~28℃を保たなければ、病気になる恐れがある。
  • 南国の宮崎と言えど、夜は20℃以下になる事もあるため、ハウス内には暖房機が設置してあり、ハウス内が27℃以下になると自動で温風がハウス全体に送られる。
  • また、温度が高くなりすぎると、自動でハウスの屋根が開閉するシステムや、携帯電話でハウス内の温度を把握出来るシステムもある。

JA宮崎中央 総合選果場長
平原 茂樹さん (48歳)

JA宮崎中央総合選果場では、マンゴーの他にキュウリやピーマンの選果も行う。

選果作業

  • JA宮崎中央総合選果場だけで、マンゴーの収穫時期は1日約1万個のマンゴーが集められる。
  • まずは、色と形が見た目で判断され、次に重さと糖度が同時に測られランク分けされる。
  • 「糖度が15度以上」、「重さ350g以上」、「色と形がきれい」という厳しい基準を満たした完熟マンゴーだけを「太陽のタマゴ」として販売している。
  • 太陽のタマゴになるのは全体の10%程。
  • その中でも優れたマンゴーをAAランクとして、最も高価な値が付く。AAになるマンゴーは全体の3%程だという。

明雄さんメモ

  • 赤かったしいい塩梅のマンゴーを選んだら、見事「太陽のタマゴ」に選別されたぞ!うれしかったけど、マンゴーでも何でも穫り頃はだいたい分かるんだ。
  • 中水流さんは、面白くてニコニコしてるから、商売人に凄く向いてるな。
  • マンゴーは今まで、あまり食べた事なかったけれど、宮崎で色々勉強して、味わって、好きになった。買ったのを持って帰って、福島のみんなにも分けてあげたぞ。