出張DASH村

  • 札幌から約50km。
  • 北海道空知地方の南西部、石狩川流域に広がる石狩平野に位置し、人口約3,800人、面積にして約15000haの小さな町。
  • 「月形」の語源は、その地にあった樺戸刑務所の初代所長、月形潔(つきがたきよし)氏の名前から。

スイカに含まれるシトルリンについて

  • 1930年に日本でスイカから発見。スイカの学名citrullusから命名。
  • シトルリンの作用で【血流改善効果(血管拡張により、血流UP)】が高まることから「冷え性」
    「肩こり」「むくみ」「筋肉成長補助」「運動機能向上」「老化を防ぐ」といったことに効果がある。
    特に「動脈硬化」にも効果がみられるため注目されている。
  • 最近はシトルリンについて研究が進められており、優れた「抗酸化作用」があることや、肥満の人にはシトルリンが欠乏していることなども分かっている。
  • 人間が尿をつくる過程で使われる成分なので、利尿作用で老廃物質を体外へ排出する働きもある。
  • いま注目されているこのシトルリンは、サプリメントや健康食品などにも使われはじめている。

ゴジラのたまご

  • 平成3年デビュー。柳さんが名付け親。
  • 楕円形で、縞模様が無く緑皮が特徴のスイカ。
  • 柳さんがこのスイカをみたときに、恐竜の卵のように見えたため「ゴジラのたまご」と名付けて栽培し、売り出した。(東宝にも許可を得ている)
  • このネーミング、パッケージで販売しているのは、柳農園のみ。
  • 平均7~8kgだが、大きいものだと15kg以上にもなる。
  • この日、食べたゴジラのたまごは糖度12.5度。(通常のスイカの出荷基準は糖度10以上であれ
    ば甘いとされている)
  • 都内デパートでは、1万円以上もの値がつくこともある。(大きさやランクによる)

おつきさまスイカ

  • 平成9年デビュー。柳さんが名付け親。
  • 1991年(平成3年)に柳さんが、たったひとりで品種改良に取り組み、7年かけて改良し、品種登録したスイカ。大玉で黒皮、中身が黄色であることが特徴。
  • 品種改良に取り組み始めたきっかけは、小玉でシマ模様の黄色スイカは存在するのに対し、大玉で黒皮の種は存在しなかったため。「月形町」にちなんで、絶対に完成させようと思ったとのこと。
  • 商品名は「おつきさまスイカ」だが、品種登録名は「だいこくおう」。
  • この日、食べたおつきさまスイカは糖度12度。(通常のスイカの出荷基準は糖度10以上であれば甘いとされている)
  • 都内デパートでは8,000円以上もの値がつくこともある(大きさやランクによる)

ピラミッドスイカ

  • 柳さんが栽培、命名した観賞用スイカ。ラクダの模型と砂入りで販売。
  • 品種は通常の縞スイカ。
  • 花が咲き、実が1cm程度になったら手作りの型にいれ、育てる。
  • 観賞用であり、栽培数、販売数ともに限られているため都内デパートでは2万円を超えることも。
  • 形にこだわっているため、味については「あまり美味しくないのでは」とのことだったが、充分に美味しかった。

スイカ農家
柳 彰憲さん (50歳)

  • 柳農園3代目。農家歴30年(スイカ栽培歴28年)のベテラン。
  • ダイナマイトスイカも柳さんが名付け親。
  • 約100メートルのハウスを31棟所持しており、全長3kmにも及ぶ。100メートルのハウスに約400玉栽培されている。
  • 東京農大出身。大学時代は「土壌」について研究していた。
  • スイカ栽培のノウハウは2代目であるお父さんから学んだ。品種改良の方法などについては、独学とのこと。
  • おつきさまスイカの次に品種改良に取り組んでいるのは、果実も種も赤い「種あかし」。
  • 肥料も自家製(牛糞、籾殻を混ぜ、雪の下でじっくり寝かせたもの)を使用している。

スイカの栽培と出荷までの作業

「玉返し」

  • 「玉返し」は、スイカの重さによる形の変形や、光りのあたり具合による変色や味の違いを防ぐために行うもので、手作業でスイカの玉を40~45度ほど回転させる作業である。
  • 全て手作業で行う。尚かつゴジラのたまごは、とても大きいため、かなりの重労働。
  • 一週間に1回、収穫時までに最低4~5回は行う。

明雄さんメモ

  • 真っ白くなるから、地面を這う作物はたいてい玉返しをしなきゃいけないんだよな。ただ、一個一個やっていかなきゃいけないし、収穫まで何回も返さなきゃいけないから大変なんだ。
  • 出荷するとなると、もっと色・形に気をつけなきゃならないから、大変なんだ。

スイカと一緒に植えてあるネギ

スイカと一緒にネギを植えることによって、ネギから分泌される成分や、ネギの根などに付着している微生物が、スイカの病害虫や連作障害を防ぐ。

明雄さんメモ

  • 村では、マリーゴールドで試した事があったな。
  • いいのは知っていたけど、自分ではなかなか難しくて、やった事はなかったな。

収穫

スイカのランクは、「秀」「優」「良」の3つ。大きさはL~6L。

「秀」…空洞がない。キズがなく、見た目、形も最高のもの。
「優」…空洞がない。多少キズ有。
「良」…空洞、亀裂有。多少キズ有。形が少し歪んでいるもの。

柳さんは収穫する際に、まず畑で大きく2つのランク「秀」と「良」に選別する。方法は、手で叩き、その音で選別を行う。

「秀・優」ポンポンと高く響く音 中身に空洞がなく、実が詰まっている。→ ツルを残して収穫
「良」ボテボテと低く鈍い音 中身に空洞や亀裂がある。→ ツルを残さず収穫
※ツルであらかじめ「秀」「良」に分けておき、倉庫へ運んだ際に更に「秀」と「優」に選別をする。

運搬

  • 収穫したスイカは、柳さん手作りの運搬機に乗せて軽トラックまで運ぶ。
  • 運搬機は、歩行型田植機を改良したもので、エンジン搭載。荷台の部分はスイカにキズがつかないようにカーペットを貼付けてある。
  • 通常の一輪車であれば5~10個程度しか積めないが、この運搬機だと20~30個積めるため、効率がいい。

オオカミのおしっこ

  • スイカを荒らすネズミやキタキツネ、さらに柳農園では4~5年前から姿を現すようになった
    アライグマ対策として、アメリカ大陸などに住むハイイロオオカミのおしっこをハウス入口に設置している。(オオカミの天敵であるその他様々な動物に有効。)
  • オオカミを天敵としているアライグマなどは、オオカミのテリトリーだと本能的に察知し、近寄らなくなるとのこと。
  • 「嫌いな臭い」であれば動物はすぐに慣れてしまうが、天敵がいるという本能に訴えかけるので、効果は長続きするという。
  • 輸入品で4,200円~

明雄さんメモ

スイカは育てても、イノシシやカラスに必ず喰われてたから、昔はあまり育ててなかったな。けれど、今では色々な対策方法があって、本当に感心した。輸入しなければならないから、試してみるのは難しいが、いい勉強になるな。

水拭き

おつきさまスイカは黒皮のため、ブルームが目立ってしまい、農薬や汚れに間違われてしまうこともあるので、濡れ布巾でよく拭き取る。贈答用としてふさわしいようにするためでもある。

磨き

  • ツヤを出すために、更に磨き機にかける。
  • 磨き機は、柳さんの手作り。
  • 米麦乾燥機をベースにタイヤやカーペットなどの廃材を使って制作。
  • 一見簡単そうに見える作業だが、向きをかえたり均等に磨くことは案外難しい。
  • おつきさまスイカのパッケージのフタを開けたときに一番最初に目につくヘタの部分は、最も丁寧に、念入りに磨く。

箱詰め

水拭き、磨きが終わったスイカは、柳さんの名前入りおつきさまスイカのステッカーを貼り、大きさとランクに合わせて、箱につめる。