出張DASH村

ごぼう

  • ごぼうの食用にしている部分は、長く肥大した根。
  • 漢字で「牛蒡」と書くが、元々は牛の尾という意味の「牛房」と書いた。
  • ごぼうを食用としているのは日本とわずかに韓国と台湾だけで、栽培をしているのは日本のみ。
  • 関東地方は土がやわらかく水はけが良いので、滝野川群を代表とする長根種(70cm~1m)、西日本は土がかためなので、短根種(30~50cmくらい)や葉柄と若い根を食用にする葉ごぼうが発達したが、現在では全国的に長根種の滝野川ごぼうが主流。
  • 食物繊維が、数ある野菜の中でも群をぬいて多い。
    →皮付近に最も栄養が含まれているので、たわしでこすり洗いしたり、包丁の背でこそげ取るのがいい。
    →アルミホイルでこすると、皮だけを綺麗に取れる。

京野菜

  • 平安時代から約1200年もの間、政治経済の中心だったので、全国の様々な野菜が持ち込まれた。
    →当時の交通事情では全国から収穫した野菜を京都まで運んでくることは不可能だったため、主に種子が京都に運ばれ、それが地形の異なる京都のあちこちで栽培された。その結果、優秀な京都特産野菜が数多く育成された。
    →品質を保つため同じ手法で作物を作り続けた農家さんの伝統を受け継ぐ意志が、絶え間なく高品質の野菜を供給し続け、個性的な野菜が誕生した。
  • 農業は、朝廷の台所用のもので、一般農家における野菜栽培ではなかった。
  • その後、宮中の「有職料理」、社寺の「精進料理」、茶道の「懐石料理」など京料理を多方面で支えてきた職人の技が受け継がれ、食材となる京野菜が発展を遂げた。

京野菜が発達した背景

  1. 豊富な地下水と鴨川によって供給される「良質な水」
  2. 腐植質が豊富に含まれた「豊かな土」
  3. 盆地特有の冬の底冷えと夏の猛暑が対照的な「気候」
  4. 海から遠く、新鮮な海産物が入手しにくい地勢なため、優れた野菜を作ろうと品種改良を行ってきた。

堀川ごぼう

堀川ごぼうの歴史 『ゴミの中から生まれた奇跡の産物』

約400年前、秀吉が贅を尽くした聚楽第が取り壊され、周りの堀が住民たちのゴミ場になっていた。そこにゴミの一つとして捨てられたゴボウが越冬し、巨大に生長。そのゴボウの香りも高く、味も柔らかく美味しかったことから、付近の農家が栽培を始めたのがきっかけといわれる。

→ほとんどのゴミが生ゴミだったので、有機栽培の様な状態で、肥沃な土壌だった。
→1887年頃には、堀川および葛野郡大内村中堂寺を中心に栽培。
→その後、都市化によって、洛北方面に移り、左京区修学院、一乗寺付近が主な産地になった。

堀川ごぼうの特徴

  • 長さ80cm、直径5~6cmほど。
    →大きいもので直径9cmになるものもある。
  • 株元から根先まで直径約0.5cmの空洞(ス)がある。
  • 食べる箇所によって違う味わいが楽しめる。
    →太い胴の部分:肉質がち密でやわらか。
    →先端の細い部分:シャキシャキした食感。
  • 滝野川系の細長いゴボウを一度短く切り、植え直してゆっくりと時間をかけて肥育。
    →土の中で生育する時間が長い分、栄養を蓄えやすく、香りも高くなる。
    →繊維が柔らかいため、味が中までしみ込みやすい。
  • 名前の由来は、堀川通に面したお掘りで見つかったからといわれる。
  • 30年ほど前までは高級品で、お歳暮としても珍重されていた。
    →今でも、東京のスーパーでは約3000円で売られている。
  • 栄養成分や食物繊維が、普通のごぼうよりも豊富。
    →ビタミンCは約5倍、ビタミンB1やカリウムも約2倍。
    →余分なコレステロールは吸着してくれ、急激な血糖の上昇を抑え、腸内環境を改善して免疫力をアップする。

栽培方法

  • ごぼう栽培は1000年以上、春まきが主体だったが、堀川ごぼうが出来てから、秋まきが行われるようになった。
  • 秋まきすると、翌春には花芽がでる。すると、ゴボウに蓄えた養分が花芽の生長に使われてしまうが、葉と根先の先端を切り、植え直すことにより、花芽に栄養を取られることを防ぐ。
    →種芋となるゴボウの種を9月下旬~10月上旬に播き、翌年の6月に掘り取る。
    →根径1cm以上になると、花芽分化ととう立ちが起こる。
    →約15度の斜めに植え直すと、また花芽を出そうと、再びゴボウに養分を溜め始めるので、肥大する。
    →11~12月に収穫する。
  • 火山灰土・砂壌土など砂地の土壌が適している。
    →形が良いものが取れやすい。
    →砂地の土壌だと抵抗なく素直に生長するので、香り高く、柔らかくなる。
    →砂土や砂壌土の畑では、太く大きく育ち、火山灰土や粘土質の土壌では、やや細く小さくなる。
    →石などが多すぎると、ごぼうが避けて伸びるため、曲がったごぼうになる。
  • 直根は熟度が過ぎると空洞(ス入り)になる。
    →堀川ごぼうにも、スはあるが、その周りの肉厚な部分が多いため、柔らかくて美味しい。
  • ごぼうは耐寒性・耐暑性が強いが、水には弱い。
    →雨による浸水が2日以上続くと、腐ったり、根が増え商品価値が下がる。
    →常に畝を高い位置に保ち、水はけの良い状態にしておくことが、第一条件。

調理

堀川ごぼうの射込み煮

  1. 堀川ごぼうをたわしで洗い、米ぬかで竹串が通るまでゆでる。
  2. 中心をくり抜く。
  3. 魚のすり身・エビ・金時人参を混ぜ合わせ、くり抜いた穴に詰める具を作る。
  4. 堀川ごぼうのくり抜いた穴に片栗粉を付け、2を詰める。
  5. だし・醤油・酒・塩・片栗粉を加えた鍋で、約20分間弱火で煮る。
  6. 3等分にし、仕上げに柚子を乗せたら完成。

たたきごぼう

  1. あく抜き用に酢を加えたお湯で3分間茹でる。
    ※ごぼうはアクが強く、空気に触れると変色してしまうので、切ったらすぐに水にさらすのがポイント。
    →長く水にさらすと風味や栄養を逃がすので注意が必要。
    →酢を少量加えると、白くきれいに仕上がる。
  2. ゴマをすり、和える。
  3. すり鉢でゴボウをたたき、味がしみ込みやすくする。
  4. 鹿児島の甘口の醤油と山椒で味をつける。

堀川ごぼうの肉巻き

  1. ゆでたゴボウを数本、牛肉で巻く。
  2. フライパンで焦げ目がつくまで炒める。
  3. 醤油・みりんのタレで味つける。
  4. 九条ねぎをたっぷりかけて、完成。

堀川ごぼうのかき揚げ

  1. ごぼうをささがけにして、水にさらす。
  2. 千切りにした金時人参と水菜を天ぷら粉に和える。
  3. 180度の油できつね色になるまで揚げる。
    ※形が崩れないように、固まるまで箸は離さない。