出張DASH村

神奈川県三浦市

神奈川県の三浦半島の先端に位置し、西に相模湾、東に東京湾と、海に挟まれている。
遠洋漁業で水揚げされるマグロが有名で、街には、マグロの競りが行われている魚市場やマグロ専門料理店などが立ち並ぶ。
また、三浦市の総面積の約4割が畑で、漁業・農業ともに盛んな街である。

三浦市での大根栽培

市町村別の大根の生産量が全国で一位を誇る、大根の名産地。
三浦市では、約780ヘクタールの大根の畑があり、約4500万本の大根を出荷していて、冬の時期、関東に出回っている約7割の大根が三浦市で作られたもの。
海岸や道路沿いに、たくあん用に大根が干してある様子は、三浦市の冬の風物詩として有名。

歴史

三浦市での大根栽培の歴史は古く、江戸時代の天保十二年(一八四一年)刊行された『新編相模風土記』にも記されている

青首大根の台頭

昭和54年(1979)、台風20号が海水の塩分を多く含んだ強い風をもたらし、一晩で三浦大根の畑はほぼ壊滅状態になってしまった。
その年にまだ収穫が可能であった青首大根が応急処置として播かれた。
そこからは、三浦大根より収量も多く、土を選ばずに育つ青首大根が主流になった。
小振りな青首大根のサイズが消費者のニーズに合っていたのも理由の一つ。
現在は99%が青首大根。三浦大根1%に満たない。
※三浦全体で約1000軒の農家がいるが、三浦大根を作っているのは40~50軒程。

お世話になった方

川島さん一家

川島義徳さん
(45歳)
川島勝徳さん
(71歳)
川島智徳さん
(17歳)

川島さん一家は200年以上前から三浦で大根を育てている専業農家。
また、3人とも同じ地元の農業高校出身である。
息子・智徳さんも学業の合間に手伝いをし、親子3代で大根の栽培をしている。

吉田和子(ともこ)さん(71歳)

地元の料理自慢。三浦大根を使ったオリジナルのメニューを考案し、料理教室も行っている。

三浦大根

誕生

お尻が膨らんでいる形のねずみ大根の一種「高円坊大根」と、長細い形が特徴で、東京で作られていた「練馬大根」を掛け合わせ、独特の形をした「三浦大根」が大正時代に誕生した。

特徴

  • 大きいものは長さ70cm、重さ7kgになるものもある。
  • 下にいくにつれて太くなる「中ぶくら」の形。
  • 水分が多い。大根の周りを囲む維管束が太いため、煮物などにすると、水分が多くみずみずしいのに煮崩れしない。
    しかし・・・
    水分が多いため、日持ちがせず、割れやすいため、広くは流通しない。
    市場に出るのは12月24~26日の3日間だけで、それ以外は三浦市や周辺地域の直売所で売られる。

美味しさの秘密

1.葉の大きさ

大根は日光を浴びることで、葉で糖分が作られる。
三浦大根の葉は青首大根の葉に比べて、かなり大きく、その分、作られる糖分も多くなる。

2.三浦名物“三崎のマグロ"を使った肥料
(川島さんオリジナル)

三崎港にあるマグロ加工場「三崎恵水産」では、冷凍のマグロを解体する際に出る“切り粉"と呼ばれているカスが毎日約50キロも出る。それを、専用の機械で粉末状にする。
川島さんの作業場で、米ぬかと合わせ、小さく固めて肥料にして大根の畑に入れている。
調べた結果、窒素・リン酸・カリウムなどの要素がバランスよく入る事がわかった。
これをは、三浦名物「三崎のマグロ」を、同じく名産である大根作りに活かしたいという「三崎恵水産」の担当者と川島さんが考えたアイディア。

3.三浦半島の地形

三浦市がある三浦半島は、南に向かってなだらかに下る地形。
このため、日光が一日中よく当たる上、海水のミネラルを含んだ風が吹き上げることによって、大根の甘さや質の良さに繋がる。

4.三浦の土壌

水はけの悪い土では腐りやすいのだが、三浦市は、富士山の噴火によって降り注いだ火山灰が土に多く含まれているため(黒ボク土という土質)、水はけが良く、大根が育ちやすい環境である。

収穫・出荷

  • 下にいくにつれて太く膨らんでいる三浦大根は、垂直に力を入れて抜くのがコツ。
  • 葉をつけたままだと、水分や養分が葉に流れてしまい、味が落ちるので、収穫した大根は葉をパンきり包丁のようなもので切る。
  • スポンジとブラシが回転する、専用の大根洗い機で洗浄。
    ※川島さんの作業場では、井戸水を使用して大根を洗浄している。
  • 青首大根とは異なり、大きな三浦大根は、箱詰めではなく、袋に入れて出荷、店頭に並ぶ。
  • 三浦市、横須賀市の野菜直売所などで購入することができる。

調理

マグロ大根

  1. 大根の皮を剥き、大きめの半月切りにして10分程下茹でしておく。
  2. マグロの尻尾を、皮を剥いてぶつ切りにする。
  3. 下茹でした大根、人参、昆布を水、砂糖、醤油、みりんが入った鍋にを入れて煮る。
    ある程度煮えたら、マグロを入れ、中火でさらに煮込む。大根が柔らかくなったら完成。
  4. 盛りつけたら、上に大根の葉を刻んだものをのせて彩りをつける。

雪蒸し大根

  1. 大根は皮付きのままおろす。
  2. ボウルに1と、とろろいも、水気をしぼり、つぶした木綿豆腐、細かく刻んだしいたけ、ピーマン、カニカマを入れ、よく混ぜる。
  3. 2に片栗粉、塩、砂糖を入れさらに混ぜる。
  4. 3を適当な大きさに丸め、ラップに包み、絞って巾着のように形を整える。
  5. 熱した蒸し器に包んだものを入れ、15分ほど蒸し、蒸し上がったら冷ましておく。
  6. 蒸し上がったら、だし汁、砂糖、醤油、みりん、片栗粉で作ったくずあんをかけ、蒸したエビと、大根の葉を添えて完成。

大根フライ

  1. 大根を5ミリ程度の厚さに切り、下茹でする。
  2. 小麦粉をまぶし、チーズとハムを挟み、さらに小麦粉をつける。
  3. 2を卵、パン粉の順につけ、180℃の油に入れ、きつね色になったら完成。
  4. 味付けは、塩かソースで。

大根のくずきり風

  1. 大根は皮をむいて、大きめの半月切りにした状態にしておく。
  2. ピーラーで短冊状に薄くスライスし、水に浸しておく。
  3. 2に、ムラにならないように片栗粉をまぶし、熱湯でさっと茹でる。
  4. すぐに氷水で冷やして、透明になったら、ボウルに取り出し、水気をきる。
  5. 器に盛りつけ、きな粉と黒蜜をかけて完成。

大根めし~三浦半島産じゃこ入り~

  1. 三浦大根は、皮をむきさいの目に切る。
  2. 炊飯器に、切った大根と、酒、塩を一緒に炊き込む。
  3. 刻んだ大根の葉と、三浦半島産のジャコをごま油で炒め、ふりかけを作る。
  4. 炊きあがったご飯の上にふりかけをのせ、完成。