出張DASH村

熊本県熊本市西区

熊本県西部に位置し、西側を有明海、中央部には、夏目漱石の「草枕」の舞台にもなった金峰山を構える、人口約92000人の地域。
熊本市全体では、ナス、トマト、スイカなどの生産量が、全国でトップクラス。
その中でも西区は、温州みかんの生産量が特に高い。
西区の小島地域は、阿蘇山の辺りから流れる「白川」と、熊本城の辺りから流れる「坪井川」に挟まれた、三角州。上流からの土砂が堆積していて、砂質の土壌のため、水はけが非常に良い。
干満の差がある有明海に面しており、海苔の養殖も盛ん。

お世話になった方

子出藤 税(ねでふじ ちから)さん

自動車会社、保険会社、ガス会社の営業の仕事を経て、就農。
今では、サッカー場6面分・150万本のタマネギを育てる子出藤農園の3代目に。
さらに、地元の小学校ではPTA会長を務めている。

子出藤 孝一さん

税さんの父。20年前までは、タクシーの運転手との兼業農家だった。
陽が昇る前に10か所程ある畑を全て回り、玉ねぎの様子をチェックするのが日課。

子出藤 佳奈さん

税さんの奥様で、2男2女の4児の母。
税さんと一緒に、玉ねぎ栽培の作業をしながら、8人家族の家事をこなす。

タマネギ

貯蔵性が高いため1年中出回る野菜のひとつ。
北海道が主な産地の春まき秋どりの玉ねぎ(3月頃に播種、8~10月に収穫)と、淡路島や九州が主な産地の秋まき初夏どり(10月頃に播種、3~5月に収穫)が中心。
特に、秋まき初夏どりのものは、「新タマネギ」と言われ、2~3日乾燥させてすぐに出荷される、生食向きのタマネギ。
一方、北海道では、貯蔵施設で保管して翌年4月まで出荷される。

原産地 中央アジアのイランやパキスタン(諸説あり)
栄養素 主な栄養素は、ビタミンB1、B2、ビタミンC、カリウムなど。

  • ビタミンB1の体内での吸収を高め、利尿・発汗の作用を促す効果。
  • 強い殺菌力があり、食欲不振やイライラを防いだり、疲労回復。
  • 豚肉などのビタミンB1が多い肉類と組み合わせると栄養的にも効果的である。
  • さらに、玉ねぎの大きな特徴の一つ「辛味」の原因と言われる「アリシン」には、血液をサラサラにしてくれるという効果が期待できる。
    →しかし、水にさらしたり、熱を加えることにより、失われてしまう。
    →「新タマネギ」は生で食べることができるので、栄養をよりよく摂取することができる。

子出藤さんのタマネギ「塩たまちゃん」

特徴1 『海水のパワー』で、梨のような甘さ

『塩トマト』にヒントを得て誕生

  • 2012年・城島と太一、明雄さんも訪れた、同じ熊本の八代市で作られる「塩トマト」は、海だった場所を埋め立てた、微量な塩分が含まれる土地で育つ。
  • その環境で育つトマトは、土壌の塩分に邪魔されて水を十分に吸えず、ストレスを感じ甘いトマトになる。
  • そんな「塩トマト」の存在を知った子出藤さんは、海水のパワーに着目し、様々な農法を研究。「塩」と「ニガリ」、つまり、ほぼ「海水の成分」を水に溶かし、苗の時期~実が膨らむ時期に、タマネギの葉に散布する方法を独自に編み出した。

塩とニガリの効果

  • 海水に含まれるマグネシウムには、光合成を促進する効果が期待出来る。
  • タマネギは光合成によって、葉の部分でたっぷりと糖分を作り出し、実に送られ甘くて、ミネラルが豊富なタマネギになる。
    →海水のパワーで育った子出藤さんのタマネギは、「塩たまちゃん」と名付けられた。

特徴2 辛みが少ない

そもそも、タマネギが辛い理由
タマネギを、切ったりかじったりすると、タマネギの細胞の結合が壊れ、「アリシン」という辛味成分が発生する。この現象により、タマネギを生でかじると辛味を感じたり、切ると涙が出たりすると考えられる。

辛くない理由・・・自然に近い栽培でタマネギの水分を増やす!

  • 普通、農作物の畑は、放っておくと雑草だらけになってしまい、農作物の栄養まで雑草が吸収してしまったり、農作業の妨げになるため、できるだけ除草するのだが、子出藤さんは、手作業で雑草を取り、その際に畝の脇の雑草あえて少し残している。
  • 通常の畑(特に水はけが良すぎる子出藤さんの畑など)は、雨など畑の水分源は、土に留まらず、地下に流れ落ちてしまい、タマネギは限られた水分しか吸収ができないが、敢えて雑草が残っている事で、雑草の入り組んだ根の周りに水が蓄えられるため、その分、タマネギにもより多くの水分が行き渡る。
  • 辛味成分は、水に溶ける性質を持っている。水分が多い子出藤さんのタマネギは、辛味成分を溶かして吸収するため、辛みを感じにくくなる。

※雑草の根が広がっていることで、酸素を地中深くまで送り込んだりと、土の中の、水分や酸素のバランスが良くする効果が期待できると言われている。

特徴3 長くてまっすぐな根っこ

子出藤さんの畑のある小島地域は、水はけの良い砂地なので、タマネギが水分を吸おうと、根を長く太く伸ばし、よりたくさんの栄養を吸収したタマネギになっている。

収穫作業

1本1本手で抜いていく。葉はすぐに枯れてしまうので、収穫後、茎を1cmくらい残してハサミで切る。同様に根っこも切り落とす。


らくらくベンチ

腰につけて、しゃがむと、そのまま座れるベルト付きの椅子。
中腰やしゃがんでの作業が多い収穫作業に役立つ、便利グッズ。
発泡スチロール製で、重さは卵3こ分。地元の農協やホームセンターで購入できる。

乾燥

専用のハウスで、2日間だけ乾燥させることによって、甘みが増える。

出荷

  • 自宅横にある作業場で、2S~3Lまで大きさごとに選別。
  • 箱詰めし、出荷。「塩たまちゃん」のロゴが入ったオリジナルの箱には熊本のゆるキャラ「くまモン」もプリントされている。
  • 地元の直売所やスーパー、通信販売などで全国に出荷している。

調理

塩たまちゃんのレンジ蒸し

皮をむいたタマネギに十字の切れ目を入れ、軽くラップをかけ、電子レンジで約5分熱する。
カツオ節とポン酢をかけて食べるのが、奥様・佳奈さんのオススメの食べ方。
※タマネギは、加熱すると、(辛味成分「アリシン」の細胞が働かなくなるため、)さらに甘さが増す。

丸ごとホイル焼き

  1. 皮を剥いた玉ねぎの両端を平行に切る。
  2. 十字に切り込みを入れる。
  3. 隙間を作らないように2をアルミホイルで包み、炭火の中に入れる。
  4. 約30分熱して取り出す。
  5. 黒くなった玉ねぎの皮をむき、バターしょうゆをかけ完成。

塩たま×塩トマト コラボカレー

  1. 玉ねぎを繊維に沿って、1cm幅にくし切りにする。
  2. 鍋にオリーブオイルを少量入れ、続けて玉ねぎ・生姜・ニンニクを加えサッと炒める。
  3. 2に一口大に切ったあか牛を加え、色が変わったところで具が被るまで水を入れる。
  4. 3にニンジン・ジャガイモを入れ強火で20分ほど煮込んだ後、一口大に切った塩トマトを加えてさらに煮込む。
  5. 煮込み終わったところで大きめに切った玉ねぎを入れる。
  6. 余熱で少し煮込んだところで完成。

フライドオニオン(カレーのトッピング)

  1. 塩たまをスライスし、キッチンペーパーで水気を取る。
  2. ボウルに入れた1に小麦粉を万遍なくまぶす。
  3. フライパンに油を1cmほど引き、中火で温めたものに2を入れて揚げる。
  4. こんがり茶色になったところでパーパーに出し出来上がり。

熊本名物・馬刺と塩たまちゃんサラダ

  1. 塩玉ねぎを薄くスライスし水気を切る。
  2. 熊本県産の馬刺に添え、最後に有明海産の海苔をのせて完成。

塩たまちゃん串カツ

  1. 小さめの玉ねぎを2cm程度の厚さに輪切りし、さらに半分に切る。
  2. 肉、玉ねぎ、肉、玉ねぎの順に串に刺す。
  3. 小麦粉→卵→パン粉の順につけていく。
  4. 170度の油で5分ほど揚げて完成。