出張DASH村

千葉県館山市

千葉県の房総半島南端に位置する、人口約5万人の都市。
年間平均気温は16℃以上の温暖な気候であり、市内にはヤシの木が多く植えられ、南国の香り漂う街並み。さらに、34.3キロの海岸線を持ち、サーフィンをはじめとしたマリンスポーツや海水浴の適地としている。サンゴやウミホタルの生息域として、貴重な海洋資源を有する地域でもある。
レタス、びわ、イチゴなどの農作物が名産。船形漁港ではイセエビ、アワビ、アジなどの新鮮な魚介類が水揚げされ、山の幸と海の幸に溢れる。

お世話になった方

安西 淳さん

農家の家に生まれるが、高校卒業後、都内の大手百貨店に就職。
お父様の病気で地元館山に戻り、就農。(5代目)
百貨店勤務で培った、トーク力で、子供たちや観光客の方々に、農業の楽しさを伝える、収穫体験も行う。とうもろこし以外にも、ナスやレタス、米、イタリアン野菜など、種類豊富に作る。また、夏場はすぐ近くの海でサーフィンをする、パワフルな農家さん。

安西 美香さん

淳さんの奥様。
もともとは、淳さんと同じ、百貨店に勤めていて、当時は婦人服を担当。
今では、野菜の箱詰めや発送を中心に行っている。4人の子供も育てるお母さん。

とうもろこし

原産地

イネ科の植物。祖先にあたる野生のとうもろこしが見つかっていない為、原産地は明確にはわかっていないが、メキシコ、グアテマラ等の中南米付近だと言われている。

日本に伝わったとうもろこし

1579年にポルトガル人から長崎または四国に伝わったと言われている。
当時は南蛮船が運んで来たことから「ナンバンキビ」と呼ばれ、九州や四国の山間部で栽培が定着。
本格的に栽培・流通するようになったのは明治時代初期で、北海道開拓に伴いスイートコーンの品種をアメリカから導入したことが始まりと言われている。昭和60年代にはスイートコーンである「ピーターコーン」が登場したことでおやつとしての国内需要が急増した。
その頃には日本全土でのとうもろこし栽培が始まったと言われている。
今では北海道、千葉、茨城、長野が主な産地である。

栄養価

とうもろこしは、乾燥させる穀物としてのコーンと、未熟な野菜としてのスイートコーンの両面があるが、乾燥コーンは、米や小麦と並ぶ三大穀物の1つで、たんぱく質や脂質、炭水化物、食物繊維を多く含む。
スイートコーンも、炭水化物を多く含む上、リノール酸(多価不飽和脂肪酸)やオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)も多く含み、それらは善玉を増やし悪玉コレステロールを減らす働きがあり動脈硬化の予防、改善に効果がある。
さらに、エネルギーの代謝を良くする、ビタミンB1やB2が豊富で、熱い夏を乗り切るエネルギーの補給に繋がる。

とうもろこしの豆知識

  • とうもろこしは下から栄養を吸収するため、頭よりお尻のほうが甘い。
  • ひげ(めしべ)の数と粒の数は同じなので、ひげがフサフサしているものの方が実が詰まっていて美味しいと言える。
  • 茹でるととうもろこしの栄養が水に溶けてしまうので電子レンジで加熱したものの方が栄養を十分に摂取できる。

とうもろこしを朝採りする理由

とうもろこしは、人間と同じように、昼間は活発に呼吸していて、その際、実の中の糖分をエネルギーとして、たくさん使う。そして、夜になると、呼吸が減少。昼間使ったエネルギーを補うため、自ら作り出した糖分を実の中に溜め込む。したがって、朝方のとうもろこしが一番甘い状態である。
また、収穫後も呼吸を続けてしまうため、糖度はどんどん減ってしまうので、収穫後なるべく早く食べると良いとされる。
また、採れたてだけが、甘みも水分もたっぷりと詰まった状態なので、『生で食べる』事ができる。

安西さんが作るとうもろこし

特徴1 美味しさの秘密は、館山ならではの環境!

日照時間の長さ

  • とうもろこしは、乾燥と高温の環境下で育つという特徴を持つ。
  • たくさんの太陽の光を受けることで、光合成を活発に行い、糖分をより多く実に蓄える。
  • 千葉の最南端に位置する館山市は、関東でも有数の日照時間の長さを誇る地域。
    特に、とうもろこしの実が生長する7月の日照時間は、全国トップクラス。
    そのため、とうもろこしが大きく、甘みをためて生長する。

海に近い土壌

  • 安西さんの畑は、海まで1.5km程度しか離れていない。
  • 土質は、砂地。水はけが良すぎるため、水が抜けてしまいがちだが、その分、とうもろこしの根が、土の中の水分を求め、奥深くまで伸びる。
    また、余分な水分を吸収しないため、味が薄まらず、甘みと旨みがギュッと凝縮した味になる。
  • また、安西さんの畑がある地域は、大昔海だったため、天然の貝殻が土の中に含まれている。
  • 貝が含まれる土壌、さらに海風も吹くというミネラルが豊富な環境で育てられている。

特徴2 背丈が低く、数少ない実に凝縮!

南房総の強い潮風にも耐えられる

  • とうもろこしの栽培は、風による倒伏の被害に悩まされる。
    倒伏のタイミングが悪いと、生長不良になり、うまく実がつかなかったり、変色してしまう。
  • 特に、南房総は海に面しており、強風が吹きつける。
  • 一般的なとうもろこしの背丈は2m程で、人の背丈ほどのものが多いが、安西さんは背丈の低い品種を植えている。
    ⇒倒伏の恐れがなく、とうもろこしを育てられる!

甘みや旨み、栄養素が1個に集中する

  • 一般的に、とうもろこしは、一つの木に、1番節、2番節、3番節と3個の実ができる。
    しかし、出荷できるのは、ちゃんと実ができた1番節のみ。
  • 2、3番節は、綺麗に実がつかないが、味は変わらないため、加工品で使われてることが多い。
  • また、3番節は、「ヤングコーン」として、食べられることもある。
  • 安西さんの品種は、ほとんど1つの実しかできないため、甘みが集中するので美味しい。

特徴3 純白のとうもろこし「ピュアホワイト」

  • 雪印種苗が開発し、2002年に発表した、実の色が白い品種。
    他の品種との交配を避けるため、一定の距離(300m以上)をあけたり隔離しなければならないとされ、広大な土地がある北海道など、生産地が限られてきたが、近年では各地で見かけるようになってきた。
  • 果皮が柔らかく、独特の甘みがあるのが特徴。
  • 安西さんは、黄色のとうもろこしの畑から500mほど離れた、隔離された場所で作っている。

収穫作業「収穫の目安」

  1. おしべ(ヒゲのようになっている部分)が茶色くなる。
  2. 手で触ってみて、実が上までしっかり詰まっている。
    ・1本1本手で収穫し、コンテナに入れる。
    ・安西さんは、1日約1000本を収穫する。


出荷

  • 自宅横にある作業場で、大きさごとに選別。
  • 箱詰めし、昼までに出荷する。地元の直売所やスーパー、通販で全国へ発送。
  • 安西さんのとうもろこしを使った料理を出している、有名ホテルや高級割烹もある。

調理

伊勢海老入り!パエリア

[下ごしらえ]
とうもろこし:2本分のとうもろこしの実をほぐす。
伊勢海老:縦半分に捌く。

  1. オリーブオイルをひいてニンニク・玉ねぎを・鶏もも肉を炒める。
  2. 鶏肉に火が通ったら洗った米3合を入れて軽く炒める。
  3. 2に和風だし・醤油・酒・塩・胡椒を入れる。
  4. 伊勢海老を殻ごと入れて、ほぐしたとうもろこしを敷き詰める。
  5. ハマグリ・赤パプリカを乗せて蓋をし、中火で約10分待てば出来上がり。

とうもろこしのかき揚げ

  1. 水気をきったコーンと、一口サイズに切ったホタテ・インゲンをかき揚げの衣に入れて混ぜる。
  2. 食べやすいサイズに整え、160度の油で揚げたら完成。

コーンたっぷり!コロッケ

  1. 茹でたじゃがいもを潰し、そこに炒めたひき肉と玉ねぎ、コーン・塩・こしょうで味付けをして、よく混ぜてタネをつくる。
  2. 俵型に形を整え、小麦粉・溶き卵を付けてから埋め込むようにしてコーンをたっぷりつける。
  3. その上からパン粉でコーティングをし、180度の油で約5分揚げたら完成。

コーンの肉巻き

  1. 肉巻き用にコーンの芯と実の間に包丁を入れてブロック状に切る。
  2. 豚のバラ肉でコーンを崩さないように巻いてフライパンで焼く。
  3. 2に醤油・みりん・酒で味付けをし、蓋をして1分間蒸す。
  4. 皿に盛り付けてタレもかければ出来上がり。