出張DASH村

栃木県宇都宮市

世界遺産に登録された日光東照宮があることで有名な栃木県は、宇都宮が県庁所在地である。
宇都宮は“餃子の街"とも呼ばれ、市内にはおよそ約300店舗も餃子を提供しているお店がある。
また、夏は暑く、冬の冷え込みが厳しい地域であり、夏場には雷が多発する事で雷都とも呼ばれる。

お世話になった方

山口 幸夫さん (50歳)

ひいおじいさんの代から約100年、この地で畑を守り続ける農家の4代目。多くの方々に梨を好きになってもらえるよう、進んで収穫体験など行っている。また宇都宮の梨の部会長も務めたり、地域の行事にも積極的に参加したりなど、行動力がすごく、周りの人たちからも慕われている。

山口 郁美さん (25歳)

山口家の3姉妹の二女。幼い頃から祖父・父母・地域の農家さんの背中をみて育ち、自分も『農家になって家を守りたい!』という気持ちから、地元の農業高校に進学。そんな中、山口果樹園に研修に来ていた慧さんと出会い、2年前に結婚。一児の母として、経営者として、両立し日々取り組んでいる。

山口 慧さん (32歳)

東京生まれ、東京育ち。東京の大学で林業について学んでいたが、実習の一環で農業に触れたことから、農業に興味を持つように。7年前、知り合いのつてで山口果樹園を紹介してもらい、お世話になったことがきっかけで、郁美さんと結婚し、2人の夢であった梨園で結婚パーティーを開いた。

山口 美輝さん (50歳)

幸夫さんとは、高校生のころから付き合っており、22歳の時に結婚。梨ジュースや梨ジャム、梨のドライフルーツ、紅茶など、様々な分野での梨の可能性を日々考えている。忙しい幸夫さんはもちろん、山口一家を陰ながら支えている。

梨

世界中にある梨の種類は大きく分けて、中国梨、洋ナシ、和梨、の3種類あり、日本に多く出回っているのは、『和梨』である。現在の主要品種は、一番多いものから、幸水・豊水・二十世紀・新高となっている。果実部分の90%近くを水分が占めるため、夏バテの体に最適で美味しく水分補給出来る果物である。また、むくみ解消や血圧を下げる効果があると言われているカリウムが豊富なほか、アスパラギン酸・ソルビトールなど多くの栄養素が入っていることから、昔から「梨は百果の長」とも呼ばれていた。

にっこり

特徴1 栃木で20年前に生まれた品種!

甘みが強く農家がイチオシする『豊水』と大玉で病気にも強い『新高』を掛け合わせ、宇都宮市内の農業試験場で誕生したにっこり。その由来は、栃木県ならではの世界遺産『日光』と梨を『り』と読むことから、また食べてにっこりということも兼ねて、つけられた。20歳といっても、梨業界ではまだまだ若手である。

特徴2 樹上でじっくり育つ大きさは普通の梨のおよそ4倍!

にっこりは、他の梨が終わる頃に旬を迎える。しかし、にっこりの花は、一番早く収穫する幸水より早く咲くため、一番早く実になる。長い時間をかけて、実がどんどん大きく膨らみ、より多く養分を溜め込むことができる品種なため、もともとは180cmの高さにしてあった梨棚も収穫するころには、梨の重さで低くなっている。
また、梨の天敵である『カメムシ』や『ヨトウムシ』などの活動時期ともずれているため、葉っぱや果実が被害にあうことはほとんどない。

特徴3 みずみずしさを保つ、表面のブツブツ

梨の実はまだ青く小さい時、皮の表面にある『気孔(きこう)』という穴から呼吸している。
やがて生長し、実が大きく膨らむとともに皮の表面も伸びて広がるため、『気孔(きこう)』が壊れ、そこから水分が抜けてしまう。この時、皮の表面に出来るのが、人間で言うと、かさぶたみたいな役割・果点コルク。壊れた穴のフタとなって、梨の水分を閉じ込めている。

収穫作業

赤っぽくなっているか熟し具合を見て、手で収穫。
梨を枝の部分から斜めに持ち上げることで簡単に収穫できる。
そのあとは、専用のハサミで他の梨に傷がつかないように芯棒を切って、専用のコンテナに。
最盛期は、1日におよそ7000個も収穫する。
沢山にっこりが入ったコンテナは、運搬専用の屋根のない軽トラックで敷地内にある作業所へ。

選別作業

出荷用のトレーは、梨の大きさに合わせて様々なタイプがある。しかし、どれも同じ、約5キロにするため、梨の重さに合わせてどのトレーに入れるか、勝手に量りが指示してくれる。
傷がついてしまったり、変色していたり、形の悪いものは自宅の直売所で販売している。

調理

にっこり梨餃子

  1. 梨は食感が残るよう、少し大きめの角切りにする。
  2. ボウルにひき肉、塩もみしたキャベツ・ニラに加え、生姜・ニンニクを入れ、最後に梨を入れて混ぜる。
  3. 少し大判の餃子の皮でタネを包む。
  4. フライパンを油で熱したら、一旦止めて餃子を並べ、強火で蓋をして焦げ目が少しつくまで蒸す。
  5. 焦げ目がついたら、ボウル1杯の水を加え、再び弱火で10分で蒸し、最後にごま油をかけて、汁気がなくなるまで蒸したら完成。

鶏手羽の梨ソース煮

  1. すりおろした梨に、醤油、酢、酒、にんにく、生姜、唐辛子を混ぜる。
  2. 1のタレに手羽元を30分漬け込んだら、フライパンに油をひかずに焼いていく。
  3. 手羽元に焦げ目がついてきたら、タレを加え、フタをして10分ほど煮込む。
  4. 煮込み終わったら、お皿に盛りつけ、最後に青ネギをのせたら完成。

梨の肉巻き

  1. にっこりは皮をむき、くし切りにする。
  2. 豚肉を広げて塩・こしょうをかけたら、両端が出るように梨に巻いていく。
  3. フライパンにオリーブオイルをひき、焼いていく。
    途中、塩・コショウでさらに味を整える。
  4. 両面がこんがりと焼けたら、お皿に盛りつけてレモンをかければ完成。

梨のクレープ

  1. ボウルに、砂糖、小麦粉、牛乳、卵を加えて混ぜ、焼いて生地を作っておく。
  2. 梨の皮をむき、輪切りにし、芯の部分はくり抜く。
  3. フライパンにバターをひき、梨を両面焼いていき、白ワインで香りをつける。
  4. お皿に焼けた生地をひき、梨の角切り入り手作りカスタードを真ん中にのせ、その上に焼いた梨を乗せて生地の上下左右を折りたたむ。
  5. 生地の四隅に生クリームをのせ、最後にシナモン、アップルミントを真ん中にのせて完成。