DASH村 ~新男米~

お世話になった方

三瓶専次郎さん

米づくり歴52年。農業だけでなく蜂の育て方なども教えてくれた。

三瓶金光さん

今年、米寿(数え歳88歳)を迎え、太一とは18年来の付き合い。
炭を焼く技術を太一に夜通し教えてくれた。

三瓶孝子さん

梅干しだけではなく、たくあんやぬか漬けなど、DASH村の保存食をいろいろ教えてくれた漬物作りの名人。

品種改良

2001年 ~TOKIOの米作り・スタート~

福島DASH村で、米作りを始める

<男米>

2002年から育てている品種。「ひとめぼれ」と「タカネミノリ」の交雑種。いもち病に弱い。

<新男米>

毎年、いもち病に悩ませられていた「男米」といもち病に強い「ふくみらい」を配合し、病気に強いTOKIOオリジナルの品種「新男米」が誕生した。

<ふくおとこ>

さらなる美味しさを目指して、2016年から品種改良に挑戦。
掛け合わせたお米は、明雄さん自らが作っていた米「チヨニシキ」。

2018年の米づくり

田植えまでの記録

2018年6月24日「2018年 ~ふくおとこ~」
1ヶ月遅れてしまった田植え。そのため、苗は黄色く枯れかけてしまっていた。
米づくり18回目の今年は、今までで一番厳しい状態に。

<8月> 酷暑

今年、日本列島を襲った酷暑。特に今年は埼玉県熊谷市で41.1℃を記録し、国内の最高気温を更新。福島でも、7月の半分は35℃越えの、猛暑日が続いた。
これにより、会津地方では稲が枯れる被害も報告されている。
田植えからひと月半が経過し、青々と生長した稲。
田植えがひと月遅れたにも関わらず、稲の長さは去年と同じ80センチ程だった。
しかし、1本だった苗が枝分かれして茎が増える分けつの数は、例年の半分程しかなかった。

米は、田植えを終えると、梅雨の時期の気温が低い間に分けつして茎の数を増やす。
そして梅雨が明け、気温が30℃以上になると、たくさん光合成するため葉や茎を伸ばす。
田植えが遅れ、しかも梅雨明けが早かった事で、分けつが進まなかった。

【猛暑対策】

このまま暑さが続くと、モミの中が空っぽの不稔米や白く濁って味が落ちる乳白米が増える。
そこで、この暑さから稲を守る作戦を。

3年前は、吾妻山の雪融け水をかけ流す事で、田んぼ全体の温度を下げる事に成功した。
しかし今年は、7月のうち雨が降ったのはたったの1日しかなかったため、水不足に。
福島県内各地のダムの水は、枯れる寸前。
いつもは豊富にわき出る吾妻山の雪融け水も、今年は全然流れて来なかった。

水不足の中、三瓶専次郎さんに終わった猛暑対策は…
田んぼの水を抜き、ピタピタ水(土が浸かる位)にするという方法。

昼間、水の温度が上がり過ぎると、夜になっても水温が下がらず、稲がゆでられ続ける様な状態になってしまう。
冷たい水を入れられない今、逆に水を抜く事で、夜の間、わずかに残った水が蒸発。
その気化熱で田んぼが冷やされる。
しかしこの時期は、これから出る穂に水と養分を十分与えなければならない。
水を抜いた状態で、この後も雨が一滴も降らなかったら、穂が出てこない恐れもある。
まさに一か八かの作戦。

この作戦が成功し、水を抜いて10日後。葉と茎の間から、やがて米となる穂が、次々に出てきた。

<9月>

いつもなら稲刈りをしている時期だが、今年はまだ未熟な粒。実が熟すには、あとひと月。
ただし、今年の稲はヒョロ長い。その間に少しでも風にあおられると、重くなった穂を支えきれず、倒れてしまう恐れが。
稲が倒れて溜まった雨水に浸かってしまうと、腐ってしまう。

→ そこで太一と難波さんで、4つの稲をひとつに束ねて風に強くする対策を。
特に茎の細い株を選び、4つを束ねた稲は約700株。

→ 台風24号は、最大風速35m、最大瞬間風速50mを記録した大型台風。
10月1日の午前3時から4時間かけて福島を通過して、福島では10月1日の午前5時46分に最大風速11.7m、午前5時40分に最大瞬間風速20.5mを記録した。

台風が通過した後、太一は再び福島へ向かった。
ある程度太さがあったため結ばなかった稲43株は倒されてしまったが、事前に4つ束ねる対策をしてたおかげで、なんとか被害を最小限に抑えることができた。

<10月> 田植えから約4ヶ月

10月下旬、日中も肌寒くなり、周りのほとんどの農家さんが稲刈りを終え、乾燥を進める頃。
1ヶ月遅れで田植えをしたTOKIOの米は、ようやく稲刈りの時期を迎えた。
太一にとっては8年ぶりの稲刈り。
粒は小さく、去年は1本の穂に平均135粒実ったが、今年は110粒程しかなかった。

【稲刈り】

新男米
去年の新男米に比べて、数は少なく、細くて頼りない。

ふくおとこ
新男米に比べて、1本1本が太い。粒の大きさも明らかに大きい。

【天日干し】

乾燥させないと、水分が多く、旨い米にならないばかりかカビも発生しやすい。
天日に干す事で旨味が凝縮する。
→ 乾燥はその土地その土地の環境に合った方法で行われている。

はせがけ
風の通りが悪く、乾燥しずらい場所ではひと束ひと束によく風が当たる『はせがけ』を行う。
福島DASH村ではこの方法で乾燥させていた。


棒がけ
縦に刺した棒に、井桁状に稲を乗せていく『棒がけ』は風にも強い。
難波さんの田んぼは風が強いため、『棒がけ』で乾燥させる。
乾燥を終えて味が分かるまで、約3週間かかる。

<11月>

稲刈りから3週間後、脱穀にやって来たのは城島、太一、松岡の3人。
松岡が難波さんの田んぼに来るのは、3年ぶり。

【脱穀】

脱穀に使うのは、城島にはおなじみの脱穀式『ハーベスター』。
しかし、松岡は足でペダルを漕ぎ、爪のついた筒を回転させることで粒だけを外していく『足踏み脱殼機』しか使ったことがなく、ハーベスターでの脱穀は初めてとなる。
新男米の籾は、去年と比べ横幅が狭い粒が多かった。
品種改良中のふくおとこは、プクッとしていて肩張りが良い。



【籾摺り】

籾の殻を外して、玄米にしていく。

【精米】

玄米を磨きぬかをとり、白米とする。
今年の出来は、酷暑の影響によって青米や乳白米、割れ米が目立つ結果となった。

青米
熟しきれていない米粒。味も落ちると言われている。

乳白米
乳白米は玄米の成熟途中で暑さなどの障害でデンプンがうまく蓄えられなかったため、白色不透明になる米。

割れ米
暑さなどの障害で、割れてしまった米。割れ目から旨みが逃げてしまい、食感も悪くなってしまう。


玄米にした新男米とふくおとこを比べてみると、新男米に比べて、ふくおとこの方が明らかに丸く、厚みがあった。

食卓

18度目の新米が炊き上がり、いよいよ実食。



新男米

茎の数も少なかった上に、精米しても割れ米や乳白米が多かった新男米。
城島曰く、去年の新男米に比べ、香りは劣るが、甘みは変わらず、今年の過酷な環境で育ったとは思えない出来。

ふくおとこ

去年は皆んなで分け合い、ひと口分ずつしか食べられなかったが、今年はお腹いっぱい食べる事ができた。
特徴ある穀物の香りと、後味の良さが際立った。

【入口さんによる評価】

【米鑑定士】 入口寿子さん

米の美味しさを鑑定するプロフェッショナル。
国際コンクールで審査員長を15年間務め、都内有名デパートでは、入口さんが鑑定し、お墨付きをもらった米は一般的には5kg 3000円が鑑定米として倍以上の8100円にもなる。

品種改良2年目のふくおとこは、ほのかな甘み感がある香りで、稲藁のような昔懐かしい匂いがする。
食味、弾力性があり、1粒1粒の粒感がわかる。
さらに、ほのかな甘み感もある。
去年より今年のふくおとこの方が美味しいという事だが、もう少し、インパクトが足りないとの指摘。
甘い 美味いなど最初に感じる強烈な個性が欲しいとの事。

そこで、入口さんからインパクトの強いお米で「龍の瞳」というお米を紹介して頂いた。

龍の瞳とは、普通の米粒より1.5倍程大きい。
岐阜県の農家さんが、栽培中のコシヒカリの中から生えた、ひときわ背の高い稲を新品種として何年もかけて大事に育てたお米。

10年かかると言われる品種改良で、ふくおとこはまだ2年目。
2年目の今年は、田植えが遅れてしまった事や、酷暑・台風など多くの苦難があった。
しかし、明雄さんが育てていたチヨニシキは悪環境に強い品種。
そのチヨニシキと新男米をかけ合わせたことで、ふくおとこにチヨニシキの強さが伝わったため、今年の困難を乗り越えられたのではないかと思われる。
今年残した来年用のタネは3万粒。年が明けたら19回目の米づくりが始まる。