このたび、私、清はDASH村を離れることに決めました。
これまでの日々を振り返ると、まず思い出されるのが壊れかけた家がぽつんとあるだけだった、住み始めた夏のことです。あれから、三年近く。家を直し、畑を耕し、水車や井戸も作りました。DASH村は日々成長を続け、変わりました。

DASH村は本当に居心地のよい場所でした。様々な困難もありましたが、多くの人に支えられ、仲間も増え、少しずつですが暮らしやすくなってきました。
こちらで暮らしたこれまでを思うと、これは私個人のことで申し訳ないのですが、わからないことを教えて下さる年長の方々と触れ合い、四季折々の自然に触れ、ものづくりの方法のみならず、心の内面の部分においても、成長していくことができたかと思います。
ただ、そんな暮らしの中で、ふと、勝手ながら自分のことを考えたとき、このすばらしい環境を安住の地として暮らしていくのもいいのですが、DASH村で学んだことを活かして、いろいろなものを見てきたいという思いがふくらんでいったのも事実です。一番のきっかけは去年6月、マサヨが無事に出産をしてくれたことでした。それまでの農作業やアイガモたちの誕生とは違う、命の実感と、自然の流れをからだ全体で受け止めることができたのです。
もっと何かを考え、もっと何かを感じて、自分がモノを書いたり、写真に残したりという仕事に没頭したいと思うようになりました。

そんなことを心の中でぼんやりと考え始めて迎えたこの冬、大きな出来事が重なりました。みんなで作った村役場も燃えてしまうのはあっと言う間でした。そして、小さな命が幕を下ろしてしまうのは、もっとあっと言う間でした。悲しみも後悔も、すべて現実です。誰も予言できるものではありませんが、可能性は常にある・・・・すべて命あるものなのです。受け止めて、次へいくこと。私自身、弱くて意気地のない人間だと思っていたのですが、しっかりと受け止めることができました。そして、先日、マサヨがDASH村で二回目の出産をし、二頭の仔やぎが誕生しました。春を迎えたDASH村で、この成長を見つめるたびに、自分たちは大きな自然の流れの中でなんとか生きているのだということを実感します。

DASH村での生活は、常に何人かの番組スタッフと一緒でした。このスタッフは、みな、動物にも優しく、私のようなものと比べものにならないほど、頼もしい面々です。私から言うのもなんなんですが、彼等がいれば大丈夫です。日々の作業も、動物たちの健康への注意など気を配ることも山ほど。でも、自然はいつも流れ季節は前へ進んでいくことを、みな、よく知っています。何卒、宜しくお願い申し上げます。
最後に、これまで、こちらのホームページの文章及び、写真を見てくださった方々、本当にありがとうございました。人と接することが苦手だった私が、少しでも周りから信用をもらったり、こんなに大勢の方々とコミュニケーションをとったり、恥ずかしながらテレビに出てしまったり、そんなことができるなど、本当に本当に本当に思いもしませんでした。幸運でした。勉強でした。厚く御礼申し上げます。