2011年10月18日放送

映画を通して、地元の人々に感動をあたえ続ける人がいます。
映写技師 渡邊真吾(わたなべしんご)さん。
昭和32年創業、塩山(えんざん)シネマ。50年以上続く、この映画館の三代目として、
劇場を守っています。しかし、来客者は年々減る一方。
そんな時、渡邊さんの父は「この辺が潮時だ」と言ったそうです。

「潰したくなかったですね、正直やっぱり。
子供の頃から、親父がやってる姿をずっと見てたんで」

幾度となく、訪れた閉館の危機。そのたびに、彼を奮い立たせた言葉。それは…

「ある四字熟語があって『粉骨砕身』という言葉がね、好きで•••」

「粉骨砕身」

(唐の時代の小説“霍小玉伝”より)

「この身が粉骨砕身になろうとも、そなたのことを見捨てるものか」と、
妓女に言った言葉が転じ、「心身のつづく限り尽力をすること」という意味。

「霍小玉伝」(かくしょうぎょくでん)という、唐の時代の小説にある言葉。

「やるしかない。とにかく自分の体で自分がやるしかないんで。」

「映画を観た後の子供たちの笑顔を見るのが幸せ」という渡邊さん。
今日も映写機を回し続けます。