2012年6月12日放送

江戸時代から受け継いできた木工技術を守り続けている人がいます。
船大工、佐野末四朗(さのすえしろう)さん。
彼が今、手がけているのは、木製の自転車。
木を知り尽くした職人だからこそできる匠の技。
柔軟性を活かした木の自転車はカーボン製と比べても
ひけをとらない走りをみせます。

「木というのはこんなに素晴らしいものだって形にして示すのが
私達の役目だろう。200年も木でメシ食ってきたんだぜ。」

先代たちの技を見て、腕を磨いた佐野さん。
15歳の時に手掛けたヨットは世界的な評価を受けました。

船大工の佐野さんが、自転車を作り始めた理由。
それはバブル崩壊…。船の需要が激減したのです。

「食べていくので精一杯だった。必ず船造ってやるから。
今にみてろよって思ってたよね。」

忘れることのできない船への情熱。
そんな彼の支えとなった言葉、それは…

「情熱は船の帆を膨らませる風である。」

「何をやるにも、情熱をもてば前に進む」という意味。

「必ずまた起き上がれる。気がついてみれば、船を作ってる。
将来の為に残していこうと思います。」

時代が変わっても、熱い思いは変わらない。
作業場には誇りと希望が満ち溢れています。