2015年6月2日放送

人の想いも蘇らせる。
絵画修復士 青木享起(あおき きょうき)さん。

「その絵には、その人と一緒に暮らしてきた歴史や思い出がいっぱい詰まっている絵ですよね。それを直した時の持ち主の喜びを見て、それは大きな喜びですね。」

時と共に劣化した絵画。
当時の状態に戻すのは、繊細な作業です。

「凹凸を合わせるのは根気のいる作業なんですよ。これが合っていないと、いくら色が合っても、修復した個所はわかってしまうんですね。」

元々は普通の会社員でした。でも・・・

「システィーナ礼拝堂の修復の記録をテレビで見まして。すごく感銘を受け、ああいう仕事をしたいという風に思いました。」

58歳で会社を辞め、絵画の修復を学ぶため単身、イタリアへ。

「授業を全部テープレコーダーに録って、それをうちに帰ってもう一回聞き直すとかですね。そういうことやりました。」

そんな青木さんが共感した言葉、それは・・・

『人間、志を立てるのに遅すぎるということはない』

イギリスの政治家、ボールドウィンの言葉です。

「やりたいことが見つかって、もっとやりたいもっとやりたいっていう、そういう気持ちだったですね。」

志という筆が、新たな人生を描きます。