2016年1月26日放送

書道の始まり、「“磨る”墨」を作る…

「鈴鹿墨」の四代目、墨匠 伊藤晴信(いとう はるのぶ)さん

平安時代からの“墨”の名産地「鈴鹿市」

「にじんだ墨とにじんでない墨を重ねたような立体感のある線が一本の墨からできるっていうのが特徴ですね。」

繊細な「黒」を生みだす“鈴鹿墨”の原材料は
様々な植物油(しょくぶつゆ)の「煤(すす)」。

そして、「煤」をまとめるのは「ニカワ」です。

「ニカワ」は腐りやすく、作業ができるのは冬だけ。
朝4時から「墨玉」を練り始めます。

「ちょっとでも時間を空けてしまうと、(墨玉が)固くなって練りにくくなってしまうので。最初は全身が筋肉痛にずっとなっているんですね。」

天候の影響が大きい墨づくり…
その勘所を追求する伊藤さんが共感する言葉。
それは…

「死して後にやむ」

生涯死ぬまでが修行…という、『論語』の一説。

墨作りをはじめて7年…。
伊藤さんがこの道に入ったのは、鈴鹿墨を「生涯の仕事」にしてきた、
父親の技と、その伝統を後世に残したいと思ったから。

「高いものになると3年寝かせるので。そうなると新しいものを作って答えが出るのが3年後なので。引退してしまう最後の一丁まで模索してやっていくんだろうなぁと思いますね。」