2016年3月29日放送

将棋や碁盤のマス目が 日本刀から生まれる…

太刀盛り職人 吉田寅義(よしだ とらよし)さん

埼玉県行田市(ぎょうだし)、水攻めで有名な忍城(おしじょう)のお膝元。
ここに江戸時代より伝わる技術・太刀を使い、
盤に線を盛る職人がいます。盛られるのは無垢な一直線です。

「漆がその毛細管現象でツゥーっと膜を引いて盤上に降りてくるのが分かるんですが落ちた漆が球形の連続ですよね。表面張力じゃないですけど。だからきれいな輪郭になるんです」

碁盤に盛られる線は実に38本。
一本とて誤ることは出来ない仕事です。
この太刀盛り。江戸時代のかるたにも描かれ 今に残ります。

「刀は武士の魂っていうことですから、江戸の方では太刀盛りは少ないっていうんですよね、京都の方公家さんですから刀を使ってやっても武士に失礼じゃないっていう感覚で最初に出たのではないかという説もあるんですよね」

そんな吉田さんが次の世代に伝えたい言葉、それは…

『木鶏(もっけい)』

木彫りの鶏(にわとり)のように全く動じない様を指す故事から生まれた言葉です。

「仕事にゆったりとした心で打ち込んでもらうっていうのを
ひとつの目標にして仕事を覚えてもらいたい…」