2016年4月19日放送

そのひと筆が常識を塗り替えていく…

漆塗り職人 小坂康人(こさか・やすと)さん

400年の歴史を誇る、木曽平沢の漆器。
本来、木工品などに塗る漆を、小坂さんはガラスに塗っていきます。

「ガラスは透けるので、それを生かした塗りができるのが魅力。」

器の外側。模様を施したその上に、さらに漆を重ねます。
すると、ガラスが透けて見える内側にまったく異なるデザインが浮かびます。

「汚れを途中で付けてしまったり、指紋を付けてしまうということがないように注意をしてやっていますね。」

若い人にも漆塗りに注目してもらおうと、
小坂さんがガラスの漆器を生み出したのは、およそ20年前。
漆がはがれやすいガラスに、特殊な加工を施すことで実現しました。

「ガラス板に漆を塗ると、漆がはげてくるっていうのが定説だったので、それをくつがえさなきゃいけない。これは何かをしていかないといけないと思い、いろいろ考えましたね。」

そんな小坂さんが共感した言葉、それは…

「変化は不可避であり、変化は不変である」

ディズレーリの言葉です。

「今まで売れていたからと、今までと同じものを作っていたのではダメだと、
切々と感じますね。」