2016年12月13日放送

ニッポンの大掃除の 必需品…。

江戸箒職人 神原(かんばら)良介さん。(37歳)

江戸時代に始まったとされる、年末の大掃除。
およそ180年前、庶民の掃除道具として生み出されたのが座敷用の「江戸箒」。

神原さんは当時と変わらぬ製法で、今に伝えます。

『特徴で言うと、まず軽い。持った時に手首に負担をかけないで掃除が出来る』

奥まで届く穂先の細さ。なめらかな掃き出し…
上質な掃き心地を生むのは 材料となる“ホウキモロコシ”という植物。

『(ホウキモロコシは)弾力性があるのと、折れにくい。天然のアク(油分)が
強いのでツヤを出すって言う効果もあるんです。』

迷いの無い手さばきで編み上げ、仕上げるのにおよそ1時間。
出来映えを左右するのは、一本一本異なる草の選別作業です。

『柔らかさを見るのと、色と、長さと。天然の物なので、その時その時で
合わせるように作っていかなければいけない。“今度の草はこう来たか“みたいな』

箒と真摯に向き合う神原さんが共感する言葉、それは…

『もしあなたが善良な心を持っているなら、
 それは常にあなたの作品の中に現れるだろう。』

フランス人画家、コローの言葉です。

『やっぱり気が緩んでいれば、緩んでいる箒になる。それは売りたくない
ですからね。(お客さんに)使ってもらって、また買いにきて頂いて(江戸箒を)
次の世代につないでいければ言うことはないかな、と。』