2016年12月27日放送

新潟県村上市、冬の食卓を彩る鮭料理。
鮭専門店 吉川哲鮏(きっかわ てっしょう)さん

「村上では鮏を“いよぼや”と呼んでいます。魚の中の魚、
一番大切で身近な魚ということになりますね。」

米が不作の年でも、鮭を食べて飢えをしのいだと言うこの地では、
100種類以上の鮭料理があり、
頭の軟骨から内臓まで余すことなく使います。
「私たちの命を活かしてくれる “魚”ですから。無駄にはしない」

軒下に吊るされる塩引き鮭は、村上の冬の風物詩。
しっかりと塩をすりこみ1か月。
村上の冷たく湿った風で熟成させると、豊かな旨みが生まれます。

塩引き鮭は、大みそかの何よりのごちそうです。
「今年の恵みですからね。」

吉川さんが造り酒屋を鮭料理の店へ変えたのは戦後のこと。
「アメリカナイズした食べ物が最高の文明なんだと言われるもんですから。
大事なおふくろの味を絶やすなと言って商品として訴え始めた。」

鮭の魅力を伝え続ける吉川さんが共感する言葉。

「艱難汝を玉にす」

苦労が人間を成長させるということわざです。

「嫌なことは本来ないんだと。私にとって鮭が人生を導いてくれる師匠です。」