2017年1月10日放送

藍色で染め分けた糸が綴る、優しい文様。
久留米絣の工芸家、松枝哲哉さん。

福岡県久留米市で生まれた久留米絣は、一本の糸をあらかじめ染め分け、
それを正確に積み重ねることで模様に織り上げます。

「糸の状態で括って染めますと白から微妙なグラデーションになってる訳ですよ。
そういう色の変化で模様の立体感を付けるとか、それがやっぱり絣の良さで、
美しく見えるんじゃないかと思いますね。」

風合いの変化も楽しい藍色、染料の調子を見るのも大事な仕事です。
「1年中、いい状態を保っておかないといけない訳ですね。
アルカリと糖分のバランスで状態を保っているから、
舐めてみても分かるし、糖分は水あめを足してあげたり、
人間がいい加減に藍の管理してたら、色もきれいな色を出してくれない。」

そして最も難しいのが、緻密な模様を描き出す織りの作業。
「この絣の難しい所って言うのは、縦と横を合わせ織るという、
一寸間に縦が何本、横が何本計算してますので、打ち込みすぎたら縮んじゃうでしょ柄が。
打ち込みが甘ければガーゼみたいになっちゃう。一回打ち込めば後は動きませんので、
一発勝負なんでね。」

そんな松枝さんが心におもう言葉。

「偉大な仕事をする唯一の方法は、自分がしていることを愛することだ。」

スティーブ・ジョブズの言葉です。

「特に手間がかかる仕事じゃないですか。愛ってものがないとなかなか成し遂げていけれないんじゃないかって言う気がするんですよ。」