2017年11月28日放送

茅葺(かやぶき)屋根職人 田中栄作さん。
世界遺産・白川郷にならぶ合掌造りの家々。
冬の豪雪の前に行う茅葺屋根の葺き替えは、職人と村の人との共同作業です。
「“結(ゆい)”と言って、白川郷の合掌造りの家を持っている方がみんな集まって作業します。
今度は、その代わり自分の家が屋根葺きになったら来てもらいます。」
田中さんは生まれ育ったこの地で、茅葺屋根職人になることを決めました。
「ずっと住んでいるところでしたし、守っていかなきゃと言う気持ちもありました。」
出来を左右するのは、“端”の仕上げ。これは職人の仕事です。
「茅を真横の状態から縦に扇状に戻していく中で、
茅の選び方とか上手く詰めていかないと穴が出来たりします。
結構、悩むこともあります。」
伝統的な合掌造りの家屋を守る屋根の葺き替えは、およそ30年に一度の大切な作業です。
「今日葺いた屋根は30年持てばいいんですけど、
10年後に傷むかもしれませんし、20年後かもしれません。
上手くいったか、今は分からないです。」
そんな田中さんが心におもう言葉。

「師資相承(ししそうしょう)」

師の教えや技を受け継ぐという意味。

「今日やった仕事は30年くらいしか持たないけれど、
技術だけは何百年も続くので、
次の世代の人がやってくれるように伝えていけたらいいなと思います。」