2019年2月19日放送

音叉(おんさ)職人、本田 泰さん。
音叉とは楽器の調律や音響測定に使う道具です。
「ドレミファソラシドの『ラ』の音。440ヘルツになるように作られた音の基準器です。」
音叉を作る際、440ヘルツの調整に使うのは…
「私の耳です。」
わずか1ヘルツでも違えば、基準となる音叉と一緒に鳴らすと
音がうなるように聞こえます。
「うなりをなくすことが正確な音を出すということなんですよ。」
調整はヤスリを使って、ほんのひと削り、しかも削ったらすぐに鉄板の上へ。
「鉄板の上に置くのは摩擦熱を冷ますためです。
すこし削ったことによっても金属は膨張します。
ヤスリを入れては冷まし、うなりを究極的なゼロに近づける。」
調整後、もう一度確認すると、音のうなりはなくなりました。
「音を愛する人たちに絶対の音を与えるのが使命だと思うんですよ。」
自分の耳を頼りに音の基準を届ける本田さんが共感する言葉。それは…

「人間は負けたら終わりなのではない 辞めたら終わりなのだ」

第37代アメリカ合衆国大統領、リチャード・ニクソン(1913–1994)の言葉です。

「悪い音叉なんかつくるわけにいかないじゃないですか。 死ぬまでやるつもりです。」