2019年2月26日放送

南部裂織 井上澄子さん。
極寒の青森では、暖かさを求め、
昔から古着の布などを再利用した“裂織”が受け継がれてきました。
「江戸時代、この地域では綿がとれないので、着古した浴衣などを裂いて横糸にして、
布にしていました。」
古着を裂いて横糸にする。ここに先人の知恵が…
「厚みを出すために1cmぐらいの幅で裂いていく。
古いものほどこなれているの。だからすごくぬくもりがあるんですよ。
新しいのは何となくゴワゴワしてるから、密度が埋まらない。」
布は折り返しの部分を作って、切れないよう一本のひもに。
「バッと裂いてしまうと重ねる部分が無駄になるでしょ。
もったいない、その心を私が伝えてあげたい。」
腰でたて糸を引っ張って織る地機(じばた)で、一段一段織り上げます。
「出来上がりが想像できないんですよ。
『あっ裂いた生地に赤があるから、今度はこの赤がここに来るんだな』という感じで、
柄がどこに来るか分からないでしょ、それがいいんですよ。」
もっと裂織を伝えたいと、
今ではバッグや小物なども作っている井上さんが心に思う言葉…それは

「東奔西走」

忙しく駆け回るという意味の四字熟語。

「裂織をやりたい人がいれば、そこに行って教えてあげる。
やっぱり伝えていかなきゃいけない、私の義務があるわけ。」