2019年3月19日放送

邦楽器糸職人、橋本英宗(ひでかず)さん
滋賀県の木之本では、
平安時代から三味線や琴などの糸(弦)が作られてきたといいます。
「絹の糸の特色である艶のある音や、シャリっとした音が、
響きやすいと言われているんですね。」
細い生糸を数百本束ねて元となる糸を作りますが、
生糸1本単位で太さを調整します。
「繭の糸自体に太細が小さく存在するんですね。
同じ本数を束ねると必ずこの太さになるとは限らないもんですから、
“目方合わせ”と言いまして、重さで決めていくと音質的には同じようになっていく。」
この糸を強く撚(よ)り合わせるのが“独楽撚り”という伝統技法。
「楽に回しているように見えて、
最初はすごく力が入ってしまって独楽が回らないんですよ。
ふらつくし、撚りムラが出やすくなるんです。
ちょっとした撚りの違いで音が変わるので、
常に変わらない状態にもっていくというのが難しいですね。」
独楽撚りの糸でしか出せない音を作り出す橋本さんが共感する言葉…

「仕事を追え 仕事に追われるな」

アメリカの政治家、ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)の言葉です。

「この作業を守って、音色や感触を変えないという、
演奏家の皆さんのためにしたいなっていう風に思いますね。」