2019年7月30日放送

鍋島焼の職人、川副隆彦さん。
涼やかな音色を響かせる鍋島焼の風鈴。
佐賀の大川内山で江戸時代から作られている焼物です。
「佐賀県の鍋島藩が有田焼の優れた31人の職人だけを連れてきて、
関所を設け、技術が漏れないようにして作っていた焼き物なんですよ。」
その特徴の一つが、身分の高い人が用いるため、高台が設けられていること。
「作る時に空気が入りやすくなって割れやすい。
きれいに粘土をしめて、空気を抜きながら作る。」
下絵は、和紙に桐(きり)の炭で描いたものを写します。ここにも秘伝の技が…。
「つばきの葉で、こすって写すというやり方。
つばきの油分が和紙の強度を高くするとも言われていますね。」
赤、青、黄、緑の4色だけで絵柄を描くのも大きな特徴。
「季節によっても色の出方が違うし、絵具をつけた時に水分が多いのか、少ないのかとか、
うまくいっているなと思いながら描いても、焼きあがったら違ったりとか。」
明治時代になり世に広まった鍋島焼を作る川副さんが共感する言葉…

「機会を待て、だが、決して時を待つな」

ドイツの詩人 ヴィルヘルム・ミュラー(1794-1827)の言葉です。

「4色の色構成で、これだけ世界中の人々をワクワクさせられる。
これをどう残していくかっていうのは、今の僕たちの課題でもあるんじゃないですかね。」