2019年8月6日放送

矢師、安田正清さん
江戸時代、武家の心身鍛錬のために確立した弓道。
その矢を作る技を継ぐ職人がいます。
「私で10代目になるんですけども、祖父から手ほどきを受けて始まったんです。」
半年以上天日干しした矢竹という竹を使います
「ともかく、真っすぐでないといけない。そしてなるべく当たる矢、なるべくじゃない、
当たる矢じゃなくちゃいけない。当たる矢。」
灰で作ったドーム型の窯に竹を通し、炭火で温めやわらかく…
タメギという道具をつかって何度も曲がりを正してまっすぐな矢に。さらに…
「竹は丸いんですよね、元は丸いんだけども
変な作り方しますと、多少いびつになっちまう事がある。
だから丸く真っすぐな、使う人に合っている矢を作ります。」
オーダーに合わせて、重さや重心の位置を調整。
完成までには実に60以上の工程を要します。
「1日で出来ないんですよ。
羽根がつけあがるにはね、1週間ないし10日かかります。」
およそ300年続く技を守る安田さんが大切にしている言葉、

「万里一空(ばんりいっくう)」

迷いなく一つのことに励みなさいという意味の
宮本武蔵(1584-1645)の『五輪書』に書かれている言葉です。

「少しでもいいものができるように。その気力がなくなったら
それからは進歩でなく退歩になっちゃうんじゃないかなと思います。」