2020年1月21日放送

老舗すき焼き店、宮本尚樹さん。
明治2年創業、都内で最も歴史がある老舗のすき焼き店。
味へのこだわりは炭火で提供することと、もう一つ、1枚1枚肉を手切りすること。
「1mmか1mm弱くらいの厚さで切ります。
召し上がる時に筋は、やはり少し口に残ってしまいます。
薄いからこそ食べても気にならない筋もありますけども、厚くなると気になってしまう。」
肉の状態を見極め、最適な厚さに切るのも、7代目、20年の経験がなせる技。
「同じ部位でも柔らかさが変わってまいりますので、しっかりしているものは薄めに切る。
薄すぎると、逆にペラペラになって、持った時にちぎれたりもしますので、
厚さを微妙に変えます。」
丁寧に切りそろえられた手切りの肉は、食感だけでなく味も変えるのです。
「断面がお肉の表面になるように切るので、
そこに割下がからみやすいという点もあります。」
甘さ控えめ、すっきりとした味わいの割下は、門外不出の味。
「親族しか作れないものなので、一般の従業員は作り方を知らないです。」
150年以上続く味を守る宮本さんが共感する言葉…

「改めて益なき事は 改めぬをよしとするなり」

随筆家、吉田兼好の言葉です。

「1枚1枚気持ち込めて切っていれば、自然と上達すると思っていますので。
1歩ずつですね、本当に。」