2020年2月11日放送

ゆず栽培、川島弘明さん。
幕末の志士、中岡慎太郎が推奨したという、高知のゆず栽培。
川島さんは代々、希少なゆずを栽培しています。

「種から育てて100年超えたものを枯木(こぼく)と言うんですけど、
普通のゆずというのは、2年くらいで実をつける。
枯木は15年から時間がかかるんですよね。
それも最初はそんなにおいしくないですよね。やっぱり50年くらいしないと。」
木は高いもので20mを超えますが、収穫は手作業、手間がかかります。
「皮が厚くて、厚い分香りが強くて、
本来ゆずだから酸っぱいというのが正しい表現だと思うんですけど、
酸っぱいんじゃない、甘みが強い。これの最高の食べ方があるんです。
なっている実を取らないで、そのまま吸いつくんです。」
その風味を味わってほしいとの思いから、収穫後すぐに搾ります。
「ゆずの香りの部分というのは、やっぱり皮ですから。
酸化してくると風味がおちてきますから。
このゆずにふさわしい香りを出すとなると、やっぱり手搾りの方がいいと思います。」
今や2000本ほどしかないという枯木ゆずを守る川島さんが共感する言葉。

「人生の唯一の意味は人のために生きることである」

ロシアの小説家 レフ・トルストイ(1828-1910)の言葉です。

「演劇でもみた人しかわからないというのもあると思うんですけど、
昔こういうゆずがあったと話すのと、これ本物なんですというのでは
全然違うじゃないですか。
『これはすごい』と言われる瞬間があるんですよ、それがやっぱり励みになる。」
時代を超えて実る、味と香りです。