2020年4月14日放送

絵の具職人、鈴木竜也さん。
東京・銀座の月光荘画材店。1940年に初めて、純国産の絵の具を作りました。
「自然の鉱物から顔料にするんですけど、そこから初めて絵の具を作ったのが、
月光荘のコバルトブルーなので。それを貰った日本の洋画家を背負って立っている方々が、
『おめでとう』と、1つのボードに色々書いてくれた。」
作り方は当時と同じ。顔料と油などを混ぜ、ローラーにかけて練り合わせます。
「ローラーにかければかけるほど、いい絵の具になっていく。
最低、8時間。10時間くらいですかね。ずっと付きっきりですね」
出てきた絵の具はまたローラーへ。それを何度も繰り返すので片時も離れられません。
前に作った絵の具と見比べながら仕上げます。
「絵の具の表情というのは、刻一刻と変わっていくので、艶が増したり、
『あ~絵の具になってくれた』という瞬間があるんです。
1日中、見ていると分かるんです。」
1日1色しか作れない月光荘の色を生み出す鈴木さんが、共感する言葉…

「空を飛ぶことを可能にしたのは、空を飛ぶことを夢見たからである」

イギリスの哲学者 カール・ポパー(1902-1994)の言葉です。

「色というのは時代によって変わってきているので、
私が作ったコバルトブルーが、新たな基準になる可能性がある。ロマンがありますね。」