2020年4月28日放送

茶筒職人、八木隆裕さん。
京都にある、日本で最も古い歴史を持つと言われる、明治8年創業の茶筒店。
その美しさと機能性から、世界中で人気を集めています。
「うちは明治8年から始まりまして、茶筒は創業当時と大きくは変わらないです。
いまだに100年以上前の缶が修理に来ます。」
特徴は、蓋を乗せると中の空気を出しながら、ゆっくりと閉まるほどの高い気密性。
そこには繊細な技術が詰まっています。
「茶筒の内側の銀色の部分に膨らみが付いていて
その膨らみをどれくらいにしておくのか…そこのバランスですね。
たたく強さと回数で、その膨らみ方って変わるので。たたいた時の音とかで、
だいたいどれくらいのことができているのかわかるんですね。」
130以上ある工程の全てが手作業。この茶筒は、使うほどに深みが増していきます。
「触った人の食べ物によって微妙に色が違ったり、1個1個違うんです。
『大事なものをこの中に入れたいな』という気持ちになってもらえるんじゃないかな、と。」
創業当時から変わらぬ技術を受け継ぐ八木さんが心に想う言葉、それは…

「過去を遠くまで見渡すことが出来れば、未来をそれだけ遠くまで見渡せるだろう」

イギリスの政治家 ウィンストン・チャーチル(1874-1965)の言葉です。

「初代が何を考えてこの茶筒を作ったのかを思い、
そこからヒントを得て、また新たな物作りになる、
どうやったら、茶筒をしっかり使って頂けるのかっていうのを、
考えていけたらなって思っています。」