2020年11月24日放送

額師、坂井智雄さん。
職人の町、東京・合羽橋で大正13年創業の看板彫刻のお店。
坂井さんは今では数人という手彫りで看板を作る額師です。
「小刀と呼んでいますけども、これだけで彫ることが看板屋の技術ですね。」
それは板に貼った文字の輪郭に沿って、筋を入れてから彫る「伝統技法」。
「僕らは、『かまぼこ彫り』と言っていますけど、
輪郭に沿って深く彫って徐々に丸めていくと、文字が飛び出して見える。」
かまぼこ彫りで難しいのは意外にも、曲線ではなく「直線」の部分。
「途中で木の逆目に入ったりすると、どうしても曲がってしまうので、
それをどうにか修正していくって感じですね。」
中でも毛筆の文字を彫るのが、腕の見せ所。
「文字のかすれが多ければ多いほど、全部が全部表現できませんから、
省略しながら筆の流れの勢いとか消さないように彫らないといけないので。」
見る人の心に響く手彫りの看板を作り続ける坂井さんが共感する言葉…

「芸術は経験より高尚な形の知識なり。」

古代ギリシャの哲学者、アリストテレス(紀元前384-紀元前322)の言葉です。

「看板という字は、手の下に目という字なので手をかざしながら見る、
そのお店の風格になっていきますから、それはすごくやりがいのある仕事だと思います。」