2020年12月15日放送

老舗桜鍋店、4代目 中江白志さん。
東京・台東区、吉原大門。
明治38年創業の老舗が作るのは、馬肉の「桜鍋」。
「実はれっきとした東京の郷土料理です。
ここら辺は耕作地でしたから、耕作用の馬がたくさんいました。」
そのおいしさの秘けつは、馬肉の切り方にありました。
「厚さは2~3mmですね。出汁もでるけれども食べた時にしっかり肉の味がする。
そこら辺の、厚みを変えていくという技術が必要になってきます。」
鍋の中央に置くのは、みそだれ。初代が考案したこの店発祥の味付けです。
「色んな調味料を合わせたみそだれ。それぞれの成分がかたよらないようにするという
練り方は一子相伝で、習得するには1年くらいかかったかもしれないですね。」
そして直径16cm、深さ2cmの小さな鍋にも秘密が…。
「江戸っ子は気が短いので、すぐ沸騰してササっと食べて、
ササっと目的地の方に行くということでこの大きさになった。」
創業当時の味を守り続ける、中江さんが共感する言葉…

「だれかを食事に招くということは
その人の自分の家にいる間じゅうの幸福を引き受けるということである」

フランスの政治家 ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン(1755-1826)の言葉です。

「馬のことを後ろ足で蹴飛ばすので、『蹴飛ばし』という言い方もするんですね。
まさに年末に、嫌なことがあったのを蹴飛ばして、
新年に向けてやっていきたいなと思っています。」