2021年1月26日放送

杜氏、寺澤善実さん。
東京・港区にある4階建てのビル。実は、23区で唯一の酒蔵です。
「酒造りには、紫外線などを避けたい。ここは周りに高いビルがたくさんあるので
光が直接当たらないから適している。全ての原料を東京産でつくっています。」
お米は主に八王子で栽培されたもの。
そして酒造りには欠かせない“水”にも驚きのこだわりが。
「やっぱり東京らしさってことで、今使っている水道水、これでやってみたいと思った。
調べてみたら鉄であるとかマンガンであるとか、
酒造りに絶対入っていてはいけないものが、全く入ってないというのが分かった。」
高い浄水処理技術で評価される東京の水道水ならではの味が生み出されました。
「水は、硬度という硬い軟らかいというのが部分があるんですけど、
軟水は甘いお酒が仕上がりやすい、硬水は辛口のお酒に仕上がりやすいです。
水道水は中硬水で、丸いお酒、胸焼けしないような感じのお酒になっていますね。」
およそ100年前まで酒蔵だったというこの場所で、
日本酒を復活させた寺澤さんが共感する言葉…

「常識は誰でも知っているありふれたものではない。」

フランスの哲学者、ヴォルテール(1694-1778)の言葉です。

「水道水で造っているのが“潔くていいよ”という、
1回飲んでみようというきっかけになったりして、
100年ぶりに出来上がった酒蔵なので、100年後にここに存在していきたいです。」