2021年3月2日放送

ひな人形着せ付け師、小寺香さん。
江戸時代、ひな人形の産地として栄えた所沢。
ここで“ある物”から世界で一つだけの人形が作られます。
『お客さんの思い出の帯を預かって、製作してお返しするという形をとっています。』
1番目立つ胸の部分に、どのように模様を使うかを決めるのが最も大事な作業。
『生地の厚みがあって、上に重なるものなのでズレなんかもありますから、
2次元の世界を3次元の世界に置き換えて判断するのがすごく難しいですね。』
形を崩さぬよう、模様が見えない裏側に和紙を貼り、大切な帯を切り取ります。
『絶対に間違いは出来ないですから、くり抜いちゃうと元に戻りませんからね。』
妻・広子さんが縫製を担当。縫い上げた着物をまとわせたら完成ですが、
ここが着せ付け師の腕の見せどころ。
『胸の部分を強く引っ張って、襟が開いちゃったら柄が合いませんからね。
生地の厚みによっても違ってきますから、そういうことも考えながら着せ付けます。』
思い出と共に子どもへの願いを衣装に込める小寺さんが共感する言葉…

「焼野の雉(きぎす) 夜の鶴」

親鳥がひなを守る様子から、子を思う親の情の深さを意味することわざです。

『タンスに仕舞っておいて寝かせておくよりも1年に1回出して、心がそのまま伝わる、
愛が伝わる、そういう形で残して頂きたいですね。』