2021年3月16日放送

鍛金職人 長澤利久さん。
美しい銅製の急須。
“鍛金”と呼ばれる伝統技法で作られています。
金属を金づちでたたき、その形を仕上げていくのです。
「たたいて延ばしたり、柄を付ける。それとたたくことによって、硬くなる丈夫になる。
そういう効果を得ることもできます。」
700度近くまで熱する事で銅を柔らかくし、加工しやすくします。
「たたく回数というのは、急須の場合だいたい1000回から1200回くらい。
間隔とか、同じようにする意識でいるんですけど、出来上がったものを比較すると、
やっぱり表情は違いますよね。」
一番人気の急須。こだわりは“注ぎ口”。
注いだあと、お湯は1滴も垂れずにピタリと止まります。
「ずいぶん自分なりに研究しました。決まった金づちで、決まった角度、反り具合。
時間に直すと、10秒とかからない作業になるかと思いますけれども、
やっぱりキャリアを積まないと思い通りにはならないですよね。」
この道30年。丹精込めて、銅をたたき続ける長澤さんが共感する言葉…

「井戸を掘るなら水の湧くまで掘れ」

明治時代の農業指導者、石川理紀之助(1845-1915)の言葉です

「手に取った時に、“良いものと出会えたわ”と思って頂けることが何よりの喜びです。」